表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/62

第一章5-3 思い出と楽しみと出発 ◆

更新頑張りますね

――――キルア――――



久しぶりに両親の夢を見た。


あれは、まだ生まれて100年ほど過ぎたころの思い出だった。


我は、両親に尋ねた。


何故いつも人間の姿で遊んでいるのかを、黒竜の姿ではいけないのかと、尋ねた。


そんな、我の問いに対して、2人は口をそろえて、「こっちのほうが、温かいし、楽しいのよ」と本当に楽しそうに言っていた。


そのときの我は、人間や他の生物は全部虫けらだと思っていたので、両親が人間の姿でじゃれあっている姿は、好き嫌いではなく、ただ単によく分からなかった。


しかし、今、我の肌に伝わるナターシャの温かさを感じると、両親が黒竜の姿ではなく、人間の姿をよく使っていた理由がわかる。


黒竜の姿では、お互いの肌が漆黒の鱗に覆われているので、体温や感触は味わえない。


窓の外から、太陽の光が差込み、小鳥のさえずりが聞こえるが、まだナターシャを感じた足りない。



「あのっ・・・んっ・・・キルア様っ・・・」



意識は覚醒しているが返事はしない。


今、我の口は、ナターシャの胸の先端を咥えているからだ。



「キルア様っ、そろそろ、おっ、起きましょう・・・?」



頭を優しく撫ぜてきた。仕方が無いか。また明日、楽しむか。


ベッドから起き上がり、ナターシャと朝の挨拶を行う。



「おはよう。ナターシャ」


「おはようございます。黒竜様」


「黒竜様はやめろ。キルアがいい」


「では、キルア様で呼ばせていただきます」


「うむ。そうだな」



起き上がったことで、ナターシャにかけてあったシーツが捲くりあがって、素肌を晒すが、ナターシャは気にしていないようだ。



「ユリアさんは、まだ寝ているようですね」



反対側の壁に置いてあるユリアが今、使っている、もう1つのベッドに視線を向けると、シーツの白い塊が規則正しく、上下していた。



「そうだな・・・昨日はいろいろと大変そうだったからな。もう少し寝かせてやろう」


「はい。ユリアのお説教には苦労しましたね」


「そのことは、もう思い出したくないな」



昨夜のユリアの二度目の乱入の際、ユリアは鬼そのものだった。問答無用で床に正座させられお説教をくらった。


ナターシャが誤解を解こうと話そうとするがユリアは「あなたは、黙っていなさい!」と一脚、ナターシャはユリアのあまりに激しい怒気に当てられ、黙ってしまい、永遠と説教を受けることになった。その間、ナターシャはずっと裸でベッドから説教が終わるのを見ていた。


説教が終わる頃には夜もだいぶ更けたころで、実はあまり寝ていない。




そう言えば、本当にユリアは怖かった。我が怯えるほどに・・・。


昨夜のユリアの形相を思い出し、少し怖くなった。


ナターシャに抱きつき、また胸の先端に吸いつく。


口に含んでいるだけで、安心する。


我が、まだ幼竜だからかな?



「ちょ、ちょっと・・・んっ、キルア様」



見上げるとナターシャは顔を赤らめ、目を細めていた。



「こうしていると、安心するな」


「あのっ、そろそろ着替えて出発の用意をしないと・・・」


「んー・・・それもそうだな。とりあえず着替えるか」


「はい。お手伝いしますね」



ベッドから出て、ナターシャに服を着替えさせてもらう。


ナターシャが自分の着替えをしている間にユリアを起こす。



「ユリア! 起きろ、朝だぞ?」


「はっ、はい! 今すぐ起きます」



ユリアは飛び起きた。



「おはよう。ユリア」


「お、おはようございます。キルア様」


「落ち着いたようだから話しておくが、ユリア。昨日のことは誤解だぞ」


「へっ? 誤解ですか?」


「ああ、我がなにもしていない僕に酷い仕打ちをすると思うのか?」


「・・・えーと、それはそうですね・・・」



今は、ユリアの怒りが収まっているから、話をきちんと理解してくれるだろう。



「誤解だと理解したか?」


「で、でも、なんでナターシャは泣いたんですか!?」


「それは、とても嬉しかったからですよ」



いつのまにか、着替えを済ませ侍女服となったナターシャが言った。



「私は、人間の奴隷になるか、それとも処分されると考えていたのに、黒竜様の僕に選ばれたのですから、嬉しさのあまり泣いてしまったんですよ」


「そ、そうだったんですか・・・」


「これで、誤解だとわかったか?」


「はい・・・すいませんでした・・・」


「うむ。それでいい。さて、それではお前も身支度を済ませろ。出発するぞ」


「はい」



ユリアは手早く着替えを済ませる。今日も変わらずの赤と白を基調とした服だ。


我洞窟にあった。人間の服には魔法がかけられていて、朽ちたり汚れることは無いので、着続けても新品のままだ。



「朝食はどうする? 荷馬車で食うか?」


「はい。荷馬車で移動しながら食べましょう」


「では、私が荷馬車を宿の入り口まで引いてきますね」



そう言って、ナターシャは部屋を出て行った。



「あの、キルア様」


「なんだ?」



ユリアがナターシャがいなくなった途端。すぐに話しかけてきた。



「あの、ナターシャという女は信用できるのでしょうか?」


「ん? 出来るに決まっているだろう? 我の僕だぞ?」


「それは、そうでしょうけども・・・ダークエルフですし、首輪や腕輪をすぐに外すのは・・・」


「我は、ナターシャが気に入った。それに、首輪や腕輪など最初から必要ない」


「でも、逃げられたり、反抗したりしてきたらどうするんですか?」


「さっきから、なにを言っている? ナターシャは我の僕だ。奴隷ではない。我は、人間のように逆らえないように首輪を着けて飼うつもりはないぞ? ナターシャは我の家族のようなものだからな」


「か、家族ですか?」


「ああ、我の僕になるからには家族と同じだ。もちろんお前もなユリア。主従の前に家族だからな」


「え、はい。ありがとうございますっ」



ん? さっき部屋の外でなにか物音がしたが・・・まあ、いいか他の客だろうな。


我は、またマントを纏う。今度は街を出ると言うことでユリアもマントを纏ってから、部屋に置いていた荷物を持ち、部屋を後にする。




宿屋の前に来ると丁度、ナターシャが荷馬車を引いて来たところだった。



「お待たせしました」



ナターシャの目元が少し赤かったが、寝不足だろうな。


とりあえず、出発するために荷馬車の荷台に乗り込む。


荷馬車の荷台は少々狭くなったが、窮屈きゅうくつで不快になるほどではない。


それよりも、食事を摂りたい。



「ユリア。食事の用意を頼む」


「はい。キルア様」


「では、馬車を進めますね」


「はい。このまままっすぐ進んで街から出てください」


「わかりました」



ナターシャが馬の手綱を操り、ゆっくりと歩かせていく。



「どうぞ、キルア様、ナターシャ」


「うん」


「ありがとうございます」



朝食は、白パンと、水だった。あまり腹は膨れないが、まあ、朝だからこんなものか。


荷馬車には屋根は無いので風が頬に当たる。


ナターシャを後ろから見ながら、今回の街ではいい事ずくめだったと思う。


前回の町が悪かったのだ。


人間の街には良し悪しがあるみたいだな。


王都は、ここよりも大きい街のはずだ。


どんな街なのか楽しみだな。


強く美しい女が多いといいな。


第一章の最後に人物設定を書きますね。


ちなみに身長は


キルア・170cm


ユリア・165cm


ナターシャ・180cm


です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ