第一章5-2 今度は寝室で・・・ ◆
ナターシャパートは、もうすぐです
今回はキルアが風呂場と同じで何かやるかも・・・
――――キルア――――
風呂を済ませ寝室に戻ると、ユリアがベッドに寝転がりながら、何か考えていた。
「あがったぞ。お前も風呂に入ってこい」
「はいっ!?」
どうやら、部屋に戻ってきたことに気づいていなかった様で、ユリアが驚いて、ベットから慌てて起き上がった。
「風呂。あがったから、お前も入ってこい」
聞こえていたか定かではないので、もう一回言ってやる。
「あっ、はい! 入ってきますねっ」
よっぽどユリアは風呂に入りたかったのだろう、駆け足で部屋を後にした。
さてと、ユリアが風呂に入っている間に、眠る用意をするか。
まだ、眠るときに服を着て眠ることには、慣れていないので服に手をかけて、また脱ぐ。
「っ! ・・・」
なぜか、ナターシャが体を強張らせ、震えだした。
服を脱いで、ベッドに潜り、ナターシャを誘う。
「お前も眠る準備をしろ、早く寝ないとユリアがうるさいぞ」
「は、はい・・・」
ナターシャが諦めたように服を脱ぎ、先ほど風呂場で見た美しい裸体を晒し、我のベッドに恐る恐る入ってきた。
「失礼します・・・」
シーツを優しく捲りすぐ隣に仰向けで寝そべる。
やすい部屋なので、ベッドは小さく2人で入るとギリギリで必然的に肌を触れ合わせることになる。
ナターシャは、少しも動かずに岩のように塊り、目を強く瞑っている。
「どうした? なにを怯えている?」
「いえっ・・・私は経験したことが無いので・・・」
「そうなのか?」
「はい・・・初めてです」
「まあ、これから慣れろ」
ナターシャを抱き寄せ、大きな胸に顔を埋める。
柔らかくていい匂いだ。明日は、きっと気持ちよく目が覚めるだろうな。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・あの、何もしないんですか?」
ナターシャが、不思議そうに尋ねてきた。
「ん? なにをだ?」
「なにってっ・・・そんなこと女の口から言わせる気なんですか?」
「なにかしたかったのか?」
「えっ! い、いいえっ」
「そうか。ならいいだろう」
「・・・」
顔をあげてユリアの顔を見ると、なにかを言いたそうに、恥ずかしそうに頬を染めていた。
「なにか、言いたいなら言え。僕に隠し事されるのは好かん」
「うっ・・・えっと・・・せ、性行為をしないんですか・・・?」
ナターシャは搾り出すような消え入りそうな声で我に尋ねてきた。
「性行為・・・子作りのことか?」
「・・・・・はい・・」
「子作りか、まだこの体になったばかりだから、出来るか分からんな。人間の体に慣れれば出来るだろうが」
「・・・まだ、人間になったばかり?」
「そうか、お前にまだ我の正体を話していなかったな」
「正体・・・と言うことは人間ではないのですか?」
「ああ、そうだ。今は人間の姿をしているが我の本当の姿は黒竜だ」
「・・・」
「どうした? なにを呆けている?」
「ほっ・・・本当なんですかっ!?」
ナターシャがベッドから起き上がり、大声で詰め寄ってきた。
シーツが、捲れ、上半身が灯りに晒されているのにも気付かす。顔を近づけてくる。
「嘘を言ってどうなる? それよりも、声が大きい。うるさいぞ」
「ほっ、本当に黒竜様なんですか?」
怪しむような目で見つめてくる。
「そうだと言っているだろう? どうしてそこまで驚く?」
「おっ、驚きますよ! えっ、あっ、こ、黒竜様はなぜ下界へ?」
「ん? 死の谷で暮らしていたら、ユリアがやってきてな、いきなり戦いを挑まれて・・・」
「まっ、まさかっ、負けたのですか・・・?」
「人間ごときに我が負けるか、最後まで聞け」
「はいっ、申し訳ありませんっ」
「ユリアとの勝負は、我の圧勝で終わったが、瀕死のユリアを死なすのは惜しいと思って、秘術を使い、力の大半を支払って、ユリアの体を治した。我の今の人間の姿は、そのとき力を失った影響だ」
「それは、分かりましたが、なぜ下界に? 今は力を失っていらっしやるんですよね?」
「うむ。我も下界には興味があったが、力を失っている状態に死の谷から出たくは無かったが、治療を終えたユリアから不意打ちをくらってな、気づいたらどこかの人間の村の宿屋で、ユリアから脅されて契約を結ぶハメになった」
「・・・あの、それは、なんと言いますか・・・酷いですね」
「そうだな、我も恨んだが、契約を果たせば、ユリアは完全に我の僕になるからな」
「その、契約とはなんなのですか? よろしければお教えくださいませんか?」
「契約か。契約内容は、我がこの国の王族を病気から救うこと。そして、対価は、ユリアの全て」
「・・・あなたには、あまり得の無いことでは?」
「そうだな。正直言うと拒否しようと思ったが、手足を切り取るとまで脅されたし仕方が無いだろう?」
「えっと・・・それはそうですね」
「まあ、お前も手に入ったことだし、悪いことばかりではない」
「わ、私ですか・・・?」
「うむ。お前のその美しい容姿と態度、深く引き込まれそうになる瞳、我はお前が欲しくて堪らない」
「あ、あなた様にそう言われると、こ、光栄です」
ナターシャは、恥ずかしがりながらも、目に涙を溜めて心から喜んでいるようだった。
「なんだ? なくほどのことか?」
「はいっ、私たちエルフなどには、竜は力の象徴であり神。私などがあなた様の僕になれただけで、今までの人生がこの幸せのための布石に思うほどです」
とうとう、涙を抑えられなくなり、大粒の涙をポタポタとシーツに落していく。
そんなときに、またドアが開いた。
「ふ~っ、いいお湯でした・・・ってキルア様っ!? また、何をやっているんですか!! 女を泣かすなんて最低ですよ!!」
ユリアが鬼のような形相で、詰め寄ってくきた・・・。
たぶん、説明を間違えたら酷いお仕置きを受けるだろう・・・。
今夜は、眠るのが遅くなるかもしれない・・・。
それとも、ずっと眠ったままか・・・。
評価をもらえたら嬉しいです。




