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第一章3-5 領主の家に呼ばれて・・・ ◆

――――キルア――――



ユリアっ!!


やっと・・・やっと宿屋に戻ってこれた・・・!!


マリーと宿屋の前で別れてすぐ、走った!!


宿屋の主人も通り過ぎて、部屋を開ける!


ユリアは、まだ眠っていたが関係ないっ!


ユリアっ!!



急いでベットのそばに駆け寄り、覆いかぶさる。


ああ、ユリアの匂いだ・・・。


怖かった・・・怖かったよぉ。たったの半日なのにもう100年も逢ってなかったように感じる。


もう、何人の人間に会ったかわからない・・・。次から次へ人間が出てくるのだ。


馬小屋みたいなところに5人も10人もいる家もあったし、もう当分。人間見たくないよぉ・・・。



「う、うーん・・・」


「ユリアッ!」


「・・・キルア様? どうしたんですか?」



よかった。目が覚めた! 生きててくれた! ユリアの胸に顔をうずめてユリアの存在を感じ取る。



「ちょ、ちょっと! ・・・キルア様っ、近いです近すぎます! 私お風呂に入ってないんですよっ・・・ちょっ!」


「ユリアっ、ユリアっ、ユリアっ・・・!!」



思う存分、抱きしめた!



コンッコンッ


部屋のドアがノックされた。



「ちょ、誰か来ましたよっ! 離れてくださいっ!」


「うう・・・」



無理やり引き離された・・・。



「はい、いますよ」


「失礼します」



ガチャとドアのぶが回され、茶髪を後ろに流すようにまとめた。黒いスーツに赤い蝶のようなネクタイをつけた老人が入ってきた。



「私は、この街の領主をしている。ゴルドー様の執事をしているビジターです。あなた様が救世主様ですか?」


「救世主様じゃない勝手に呼ばれているだけだ・・・」



クソっ、ユリアに甘えたかったのに・・・邪魔しやがって・・・!



「領主様のご息女もベゼルリッターの毒に」


「わかった。治せばいいのだろう」



ビジターが言葉を言い終わる前に言う。


さっさと治して、ユリアに甘えたいんだよっ!!



「ほら、さっさと連れて行けっ」


「はいっ、こちらでございます!」


ビジターが先導しキルアはその後ろに不機嫌そうに続く。


「あっ・・・ちょっと! キルア様!? 救世主様ってなんですか!? というか、ここどこですか?? あっ! どこいくんですか! ちょ、ちょっと! 待ってくださいよぉ!」


キルアの後ろにユリアが戸惑いながら続いた。





ビジターは豪華な馬車を用意していた。


キルアやユリアが今まで乗っていた荷馬車と呼ばれる馬車と違い、人を運ぶためだけの馬車だった。



「これも、馬車なのか?」



ビジターに尋ねてみる。



「はい、これが馬車でございます。荷台の付いた馬車は荷馬車というんですよ」



ビジターは我の質問に一つ一つ丁寧に答えていく。うん、コイツいいやつだな!



ビジターにいろいろ聞いているうちに、領主の家に着いた。


領主の家は大きく、宿屋の三倍ぐらいあった。門には大きな柵とレンガで出来た外壁。初めて見た。


こういう家のことを屋敷と言うんだそうだ。ビジターが教えてくれた。




ビジターに領主のいる部屋に案内された。



「私がここの領主をやらせてもらっているゴルドーと言う者です」


「キルアだ」 「あっ、えっと、ユリアーナです・・・」



腹の出た中年の・・・蛙をそのまま魔法で人間に変えたような男だな・・・。


早く済ませよう。



「それで、娘はどこにいる?」


「救世主様っ! お願いします。娘をお助けください・・・!」



このあたりは、教会に初めに来た男と変わらないな?


人間の親というのは、よほど子供が大事なんだろうな。



「まかせておけ」


「ありがとうございますっ・・・」



この蛙見たいな顔のゴルドーが泣くと、少し気持ち悪いな・・・。早く済ませて宿屋に戻ろうっと。



今度は、ゴルドーも加わって先導される。



「ここで、ございます。」



ビジターが部屋の扉をノックをしてから開け、入ってくださいと頭を下げる。


ゴルドーが先に入って、娘に近寄る。



「大丈夫か? テスター? 今治してもらえるからなっ」



ベットに寝ている娘に向ってゴルドーが優しく語り掛ける。


そんな様子にはもう散々するほど見飽きているので、さっさと済ませようと布団から顔だけ出した状態で治癒の光を娘に浴びせる。


娘の呼吸が安定した。うむ。治ったな。



「じゃあ、俺は帰らせてもらう」



部屋を後にしようと後ろを向いたら、ゴルドーに肩を掴まれた。・・・嫌な予感がする。



「おっ、お待ちください!! 救世主様!! なにか・・・! なにかさせてください!!」


「いや別に・・・いいよ」 宿屋に帰してくれれば・・・


「おお、なんて人なんだ・・・! 無償の愛を振りき、決して対価を求めないっ! まるで・・・まるで、慈愛の神だっ!!」



また、ひざまずいて拝んでくる。もう何回目だよ・・・。


ビジターなんてハンカチを目に当てたまま嗚咽を漏らしている・・・。



「いや、ほんとにもういいから・・・」



もう、いやだぁーー帰りたいーーなんなんだよぉ、こいつら・・・。



「なにをおっしゃいますか! 街の領主ともあろう者が助けてもらっておいて何もしないわけには、いられません! なんでもおっしゃってください! なんでも用意しましょう!」


何か貰わないと返してくれないようだ・・・。


なんでもか・・・。


そうだ!まだ見たこと無いやつがあったな。


あれなら、ユリアも喜ぶし。


また、キラキラする金髪が見たいし。うん。決めた。あれにしよう!


「だったら・・・だったらユリアをお風呂というモノに入らせてもらえるか?」

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