小話 最近できたパン屋がすごい
本編に全然出てきてない人のお話です。突然こんなのぶっこんですみません。
新しいパン屋見つけたんだよーと言って夫のアランがパンを買ってきてくれたのは三ヶ月くらい前だったか。
クルミパンと甘いペストリー。
体調を崩してからずっと、食欲が戻らずに痩せてしまった私を心配して、夫は暇を見つけてはおいしいと言われるお店のものを色々と買ってきてくれていた。
グレーズドの甘いペストリーを一口食べると、そのあまりの美味しさに驚いた。いつもなら甘いものは胃に重く感じて全部食べきれないのだが、その時は一息に食べてしまった。
私の食欲を見た夫は喜んで、それからほぼ毎日、仕事帰りにそのパン屋で買ってきてくれることが日課になった。
優しい夫を持って幸せだな・・。
早く元気にならなくちゃ、と出来るだけ体を動かすようになり、気鬱から滞りがちだった家事も頑張ってこなすようになった。
ある日洗濯を干しているとお隣の奥さんとそのお友達が話しかけてきた。
「リリアさん最近顔色よくなったわね、具合はもういいの?」
「はい、最近おいしいパンを夫が買ってきてくれるので食が進むようになって。ようやく元気になりました。いつまでも夫に心配かけてちゃいけないですしね」
「アラ、パン屋って町はずれの辺鄙な場所に出来たあそこかしら?」
「あ、奥様もご存じなんですか?おいしいですよねあそこのパン。主人ってば私のために毎日のように足を延ばして買ってきてくれるんですよ」
私がそこまで言うと、隣の奥さんとそのお友達は顔を見合わせ、急に声をひそめて私に言った。
「ここだけの話―――旦那さん浮気してないかしら。あそこのパン屋、えらく美貌の店主がいるらしいのよ。うちの旦那も店主の顔を見にわざわざ仕事場と逆方向のそこへ行ったりしていたから、アタシこの前とっちめてやったのよ」
「そうそう、さすがに毎日なんておかしいわよ。結構遠いのよ、そこまでして行くなんておかしいわ。きっとその店主に会いに行ってるのよ」
気を付けなさいね~といかにも親切そうに言って二人は帰って行った。きっとこれから言いふらしにいくのだろう、近所のおばさん達はこういう下種な噂が大好物なのだ。
苦い気持ちになりながら、先ほど言われた言葉を考える。
私がおいしそうにパンを食べるといつも嬉しそうに笑っていた。体調を崩してからなかなか笑顔になれなかった私だったが、夫の笑顔をみると自然と私も笑顔になった。あの顔が嘘だなんて信じられない。きっとお人よしの夫は騙されているに違いない。
パン屋の店主がどんな人だかしらないが、パンを買わせるために訪れる客に色仕掛けをしているんじゃないだろうか。男に媚びて店を繁盛させるなんてとんでもない悪女だ。
町はずれの森の近く・・。体力の落ちた私にはかなりキツイ距離だが、絶対に行ってやろうと心に決めた。その女に文句のひとつも言ってやりたい。
私はクローゼットを開け上着を取り出した。
***
王都を抜けると民家も少なくなりひたすら田舎道が続いている。だだっ広い景色を眺めながら歩を進めるが、半分来たくらいでだいぶ息が上がってきた。ここ最近こんなに長く歩くことがなかったのですっかり体力が落ちていた。気力を振り絞り歩き続ける。
また夫は今日もパンを買って帰ってくるだろう。もう何も知らないふりをしてそんな夫を迎えることは出来ない。その店主とどんな関係になっているのかどうしても知りたい。
店まであともう少しというところで私は軽い眩暈に襲われてしゃがみこんだ。一度しゃがんでしまうと疲労が一気に押し寄せて立ち上がれなくなってしまった。こんなところで動けなくなってしまい私は途方に暮れた。
不甲斐ない自分が情けなくて、悔しくて涙がにじむ。
「―――大丈夫ですか?」
しゃがみこむ私の上から声がかかった。
見上げるとそこにはなんとも美しい瞳の美女が私を覗き込んでいた。
豊かな黒髪がサラサラと流れ落ちる。それを片手で押さえながら私に顔を寄せてきた。
えっ?なにこの超ド級の美女は?どこのお姫様ですか?ここはどこかの宮殿ですか?
唖然とする私を見て、喋れないほど具合が悪いと思ったのかその美女は私の背中をさすりながらおでこをくっつけてきた。ぽってりとした唇が超至近距離に迫って、ものすごく慌てた。
近い!近いよ!キスされるのかと思ったよ!
「熱はないみたいだけど、とても顔色が悪いわ、貧血かしら。お嬢さんお家は近いの?」
私は黙って横に首を振る。いえお嬢さんていう歳じゃないです。でも彼女は、やせっぽちで童顔な私を少女だと思ったようだ。
「じゃあ具合が良くなるまでウチで休んでいくといいわ。ここからすぐだから」
そういうと美女は大きなカバンを体の前に抱え直し、しゃがんで私に背中を向けてきた。えっ?どういう事?おんぶしてくれるって事?いやいやいや無理でしょ。痩せているとはいえ成人女性の体重なめんな。そんな細腕で私を背負うとか無理だから。
私がもじもじしていると彼女は私の腕を取って自分の背中に乗せた。どこにそんな力があるのか、ぐいっと私を背負って軽々と立ち上がる。度肝を抜かれた私の気など知らずに彼女はスタスタと歩き出した。
長い黒髪を肩の横に流しているので彼女の白いうなじが見えてちょっとドギマギしてしまう。
その辺ではまず見たことのない美女に背負われている超庶民な私。なにこれ?戸惑いがすごい。
「ついたわ、このパン屋が私のウチなの」
着いたところはまさに私が行こうとしていた例のパン屋だった。
ん?ということは・・・。
「一応ここの店主なの。私はマリー。あなたは?」
「・・・リリア、です」
「リリアちゃんね、可愛い名前。今横になれる場所作るから待っていてね」
この超ド級の美女が夫の浮気相手とかマジですか。予想外すぎます。
****
彼女の自室のベッドに案内されそうになったが、そこまでしてもらわなくても大丈夫と言って、お店の一角にある椅子で休ませてもらうことにした。
すると厨房からこれまたタイプの違う大人っぽい美人が出てきたので私はもう一度貧血で倒れたくなってしまった。
ええと、ひょっとして浮気相手はこっちかもしれない!童顔の私とは全然違う、切れ長の目が色っぽい大人の女だ。こりゃまずい、どっちが相手でも勝てる気がしない。ていうかこの店の顔面偏差値はどうなっているのだろうか。
「マリーどうしたの?そのお嬢さんどなた?」
「帰ってくるとき、店の近くで座り込んでいるのを見つけたの。貧血みたい。あ、この子リリアちゃんていうの。リリアちゃん、彼女はエマよ。私の親友で一緒にお店をやっているの」
エマさんは片眉をあげて少し訝しそうにしながら挨拶をしてくれた。そして貧血なら少し足を上げた方がいいと言って、椅子をふたつ並べて足を伸ばせるようにしてくれた。
マリーさんは温かいお茶と濡らしたタオルを持ってきてくれた。
額の汗をマリーさんがタオルで拭いてくれる。
お茶には蜂蜜がたっぷり入っていて、甘くてとてもおいしい。
ゆっくりお茶を飲んでいるうちに、私はなんだかまた泣きたくなってきた。文句を言おうと思ってここまで来たのに、その相手にこんなにも親切にされてしまって気持ちの整理がつかなくなっていた。
ほろり、と一粒涙を流した私をみてマリーさんとエマさんが目を瞠る。
「どうしたの?リリアちゃん、そんなに具合悪いの?」
「ちが・・違うんです・・私、夫が浮気しているんじゃないかって・・それで相手のところに行こうと、思ったのに・・うぇぇん」
「夫?!リリアちゃん人妻だったの?・・こ、こんな子どもを・・手籠めにしておきながら浮気だなんて・・男の風上にも置けないわ!」
「マリー落ち着いて、リリアさんそこまで子どもじゃないと思うわ。それに・・」
エマさんがちらりと私を見る。彼女にはもう私がここへ何をしに来たのかわかっているのかもしれない。ここへ来る前の怒りはとっくにどこかへ行ってしまっていたが、このまま帰る訳にはいかない。包み隠さずちゃんと話そうと私は決意した。
「私の夫はアランといいます。親切にしていただいたのに申し訳ないのですが、私・・夫の浮気相手がここにいるんじゃないかと思って押しかけてきたんです」
「ええっ?!そうなの?でもここには私とエマしか住んでないわよ?あっ通いでエドさんとサムさんがいるけど。ん?でもおかしいわね」
「・・マリー、だから私たちのどちらかがその浮気相手かと思われているんだってば。リリアさん、何か誤解があると思うのだけど、あなたはどうしてそう思ったの?」
「私の夫は、家から結構遠いのにほとんど毎日ここでパンを買ってきてくれるんです。私のためかと思っていたんですが、近所の人にここには綺麗な店主がいるからその人に会いに来ているのだろうって、毎日だなんて、浮気に違いないと言われて・・ショックで・・」
涙が止まらない。こんなの子供じみた八つ当たりだ。
夫を信じきれないのは、体調を崩してからずっと鬱々としている私に、彼がいい加減、愛想を尽かすのではないかとずっと私自身が思っていたからだ。
「ごめんなさい・・確証もなく疑うような真似をして。実は私、半年前に初めての子どもを流産してしまって・・それからずっと泣いてばかりで、もうずいぶん経つのに夫婦生活もないし・・もう夫もこんなだめな妻、嫌になったんじゃないかと思っていたんです」
妊娠が分かった時は夫はとても喜んでくれた。私も産まれてくる日を指折り数えて楽しみにしていた。
しかしある日ひどい腹痛に襲われ、突然出血してしまい、夫に連れられ慌てて町医者に駆け込んだ時は・・もう赤ちゃんは手遅れだった。
お医者さんは『妊娠の初期にはよくあること。あなたが何か悪かったわけではない』と言ってくれたが、それで立ち直れるほど私は強くなかった。
夫や両親は『次また頑張ればいいよ』と言うが、そんな簡単に割り切れないと私は言って、あれ以来夫とは別々に寝ている。それでも、夫はこんな私を心配し、何くれと世話を焼いてくれていた。
浮気相手かもしれない相手に文句を言う前に、まず私が夫と話し合わなければいけなかった。でも夫と向き合って、こんな生活はもうたくさんだと言われるかもしれないと思うと怖くて逃げていた。
優しくされ、気持ちが緩んでしまった私は、初対面の二人に悩みを洗いざらい喋ってしまった。
―――こんな泣き言とも愚痴ともつかない私の話を二人は黙ってきいてくれた。マリーさんにいたっては、目に涙を浮かべてずっと私の手を握ってくれている。
私が話し終えると、マリーさんはすっと立ち上がって、私の頭を胸に引き寄せ抱きしめた。
「つらかったのね・・まだこんな、若いお嬢さんが大変な思いをして・・」
ほろほろと涙を流しながら私を抱きしめるマリーさん。
ちょ、ちょっと息苦しい。胸に完全に埋まってるんですけど私。
それにしても・・抱きしめられるのってすごく気持ちがいい。
貧乳の私は『胸なんて脂肪の塊じゃない』などと強がりを言っていたけど、今ここに前言撤回します。
胸に抱かれるとお母さんの優しさに包み込まれるようで癒され具合が半端ない。巨乳にこんな効果があったとは。
もう夫とかすべて些末な問題に思えてきた。
「毎日買いに来てくれる人・・旦那さんの名前、アランさんて言ったわよね?」
一人冷静な雰囲気のエマさんが私に質問をしてきた。あ、いけない今その問題まだ解決してなかったですよね。
「はい、そうです。もうお二人が浮気相手だなんて思っていませんけど、まあ夫は美人に会いたくて通っていたんでしょうね。ご迷惑おかけしてすみません」
エマさんが少し考えながら言う。
「夕方いつも買いに来てくれる男の人がいるんだけど、あの方・・毎日じゃ大変でしょうからって、日持ちする固いパンとかをお勧めしたことがあったの。でも、妻がこの甘いのが好きだから、焼き立てを食べさせてやりたいっておっしゃって・・」
えっ?それってもしかして・・。
「ああ、あの方!私も覚えているわ、うちのパンを食べると妻が笑顔になってくれるっておっしゃるから、パン屋冥利に尽きるって嬉しかったもの」
「お、夫がそんな事を・・じゃあ本当に私のために・・?」
エマさんがにっこり笑ってうなずく。
「旦那さんとちゃんと話してみたほうがいいわ。あなたをとても大事に思っているから、毎日頑張ってパンを買いに来ていたのよ」
先ほどまでとは違う涙が、頬を流れおちる。勝手に疑心暗鬼になって、大事なものを見失うところだった。帰ったら、ちゃんと夫に感謝を伝えよう。そして・・。
カランカラン。
誰かがお店の扉を開いて入ってきた。涙でぐしゃぐしゃな顔が急に恥ずかしくなって私は慌てて涙をぬぐう。
「ただいまーマリーさんエマさん。おなかすいたなー」
入ってきた人物は黒髪の男性だった。どちらかの旦那さんだろうか?とても親しそうだ。エマさんが立ちあがって対応している。
「影さんはどうしていつもここに住んでいる体で帰ってくるのよ、誤解を招くでしょうよ。スープとパンならすぐ出せるわよ」
「いやー虫よけになるかなと思って。お客の中には下心満載で来ている奴もいるでしょ?・・あれ?どうしたの?お客さん・・?じゃないみたいだね」
男の人が私を見る。笑顔が消え、探るような冷たい目つきで見てくるので少し怖くなってマリーさんの腕をつかんでしまった。
「ちょっと、怖がらせないで。いつも夕方にくるお客さんの奥さんよ。怪しい人じゃないわ」
「えっいつも来るあの男?あいつ奥さんいたの?
あいつこの間マリーさんの手を握って『出会うのが遅過ぎたよ・・』とかって口説いていたけど?奥さんいいの?大丈夫?」
「あっバカ」
エマさんが思わずと言った風に男性を罵る。エマさん・・それじゃ本当だって言ってるのと同じです。
「違うわよ、うちの店をもっと早く知りたかったってことでしょ?素敵ねえ・・私も恋愛結婚ってしてみたいわ」
マリーさんだけ発想が斜め上ですが、それは天然なんでしょうか。何を言ったらいいかわからなくて、しばらく黙り込んでしまう。とりあえず夫がすいません。
そこへ再び店の扉の鐘が鳴った。入ってきたのは・・。
「こんにちはーまた今日もきました。パン残ってます?」
うん、ウチの夫だね!もう夕方だもんね!来るかもと思っていたけど最悪のタイミングだね!
「いやー今日も綺麗だね女将さん・・・・ってえええええ?!リッリリア?!えええ?!なんでここに?!」
「こんにちはあなた。こんなところで奇遇ね。それにしてもあなた軽口とか言えたのね。昔、私に告白してきた時『自分・・不器用っスから・・』とか言ってたのに、あれは単にキャラづくりだったのかしら。しらなかったわー」
「あわわわわわ・・ち、違うんだ、そんなんじゃないんだ。ちょっとテンションが上がっちゃっただけで・・ねえなんでリリアここにいるの?!」
足をがくがくさせながら醜態を晒す夫。エマさんはもう見ていられないのか、完全に横を向いている。マリーさんはニコニコして私たちを見ている。はあ、笑顔も美しいですね。
私はひとつため息をついてから立ち上がり、がくがくしている夫に向かい合う。
「大丈夫、怒ってないから。むしろあなたがこんな超ド級の美女を口説く度胸があったなんてすごいなって見直したわ。
パンを買ってきてくれたのも嬉しかったし、下心はあっても、私の為っていうのも嘘じゃないと思うの。だから、もういいわ」
「リリア・・本当に、俺、君がずっと辛そうだったから、どうしたらいいか分からなくって・・だからパンを食べた時、君が笑ってくれたから、嬉しくって。その気持ちに嘘はないんだ。ありがとう、信じてくれて」
「でももう一人でパン屋来るの禁止」
「アッ、ハイ。モチロンデス」
****
散々迷惑をかけたマリーさんとエマさんに、夫と二人で何度も頭を下げた。
「リリアちゃん、そんな、謝らなくていいからまた来てほしいわ」
マリーさんが私の頭を撫でながら言う。
「はい、もちろん。私もマリーさんに会いたいです・・お話聞いてもらえて気持ちの整理がつきました。マリーさんのおかげです。・・・帰る前にもう一度、ハグしてくれませんか?」
もちろん!と言ってマリーさんはぎゅううっと抱きしめてくれた。
「もう、なんてかわいいの。妹ができたみたいで嬉しいわ」
「えっ?リリアはたぶん女将さんより年上・・っ痛あ!」
夫が後ろで余計な事を言いそうになったのでとりあえず足を踏んでおく。ほんと言わなくていい事ばっか言うなこの夫は。
日が暮れた帰り道を夫とふたりで歩く。私がずっと黙ったままなので夫がチラチラ私の顔を窺ってくる。
「ねえ、リリア。やっぱり怒ってる?なんかいつもと違くない?」
「怒ってないってば。むしろあなたには感謝しているの。マリーお姉さまとお友達になれたんだもの。それもこれもあなたが下心満載でパン屋に通ってくれたおかげだわ」
「いや、さっきからなんで妹ポジションにつこうとするの?リリア童顔だけど結構いってるだろ?女将さんがお姉さまとかおかしくないか?
あと、下心じゃないって!そもそも最初にパン屋に来たのも、ご主人様に頼まれてきただけで、そのあとは本当に君のためにパンを・・」
「ちょっと余計なこと言わないでよ絶対。ご主人ってアンタが勤めている屋敷のお貴族様?ヤダ、お姉さまが目を付けられているの?」
うーん、と夫は唸り少しためらってから教えてくれた。
「そこまでは知らないけど、あれだけの美貌だからね。ウチのご主人様が妾に召し上げようとしているのかもしれないなあ。いきなり庶民の店にご主人様自ら行ったら目立つから、俺が顔を見てこいって言われたんだ」
「えええー!お姉さまが妾にだなんて・・そんなのダメよ!あなた何してくれてるのよー!」
「いや、大丈夫だって。髪や目の色は聞かれた通り答えたけど、そんな大した美人じゃなかったって言っといたから。俺だってあの女将さんを不幸になんてしたくないよ」
そっか、じゃあ一安心だ。でもあんなに噂になってしまってはまた誰か禄でもない男に目を付けられるかもしれない。それが貴族であれば平民であるマリーさんに逆らうすべはない。もし、位の高いロクデナシに狙われたりしたら・・。
自分の嫌な想像に不安になった私は、振り返って遠くに見えるパン屋の明かりを眺める。
具合の悪い私をおんぶしてくれたマリーさん。
私の悩みを涙しながらきいてくれた。
温かくて甘いお茶は、彼女のように優しい味だった。
今日会ったばかりの人なのに、もうこんなに彼女の事が好きになっている。
あんなに優しい彼女が不幸になるなんて嫌だ。
ただの庶民の私だが、何かできることがないだろうか。
黙ってしまった私を心配したのか、夫が私の手を握って歩き出す。
私は夫の手の温かさを感じながら家路についた。
前振り感がすごいけど、続きはまだまだまだ先になりそうです。
以前の雑なスタートを反省したので、次はあらかた書きあがるまで投稿しないと心に誓いました。
いつかまた読んでいただけると嬉しいです。




