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魔術指導

「有難う、ノア君。早速こんな場を設けてくれて……最高だ!」


 クロウェルは歓喜の声を上げる。


「本当、夢見たいです! ノア様に教えてもらえるなんて!」


 ルルシアは目をハートにして両手を合わせる。


 週末、俺は早々に約束していた魔術の指導を行うことにした。

 暇なのもあったが、何より演習場を予約できたのがここだけだったのだ。


「さすがノア様……たたずまいがすでに臨戦態勢……いつどこから攻撃されてもいいように、常に気を張っているんですね!? す、すごい……」


 そう言ってルルシアは興味深げに俺の全身を見て、ごくりとつばを飲み込む。


「まあそうだけど……本当にわかって言ってんのか?」

「も、もちろんですよ! それより、大変でしたよね、予約。ありがとうございます!」

「まあ、ちょっとな。まさか当分先まで埋まってるとは思わなかったぜ。自警団のハルカって人に一枠譲ってもらえたからよかったものの、ここまで取りづらいとは」


 ハルカの名前に、ファンクラブの面々はおぉ……と感嘆の声を上げる。


「ノアさんはすごい……あの鬼と呼ばれるハルカ先輩とそんな関係だなんて……!」

「やっぱり、認められている人は違うな……これが実力者の世界か!」


 あの人って鬼とか言われてるのか……まあ確かに無表情だし怒ると怖そうだけど。


「予約は大変ですの。私たちの思い過ごしかもしれないけれど、平民だと予約の取得が大変なんですよ」

「はあ? なんだそれ」


 縦巻きロールを携えた少女は、二年のエステリーゼですと会釈をして続ける。


「噂ですと、埋まってると言われた後に来た貴族の方は、問題なく予約ができたらしいですわ。まあ、それが受付の方の判断なのか、それともそういった”貴族枠”が別であるのかは定かではありませんが……。私たちみたいな平民は肩身が狭いですから、規則を決めることのできる体制側……学院側の要職に就くのは難しいですから、しょうがありませんけれど」


 そういって、エステリーゼは頬に手を当てため息をつく。

 ニーナの言っていた平民を軽視するような空気ってやつか。

 すると、クロウェルはパンパンと手を叩く。


「まあ、今そういう話はいいじゃないか。こうして僕たちが一致団結できているわけだし、学院中の仲間を集めれば今後はこの学院に風穴を開けられるようになるかもしれない。これはその第一歩さ」

「クロ、そういうのいいから。私はノア様に会いに来ただけ! 早く自己紹介させてよ!」

「おっと、それもそうだな。――それじゃあノア君、こちらから自己紹介させてもらうよ」


 そうして、ファンクラブ<ノアの箱舟>による自己紹介が始まった。


「ファンクラブNo1、クロウェル。会うのは2回目だね。1年Cクラスだから、顔くらいは見られたことあったかもしれないね」


 なかったとは言えないな……。


「ファンクラブNo2、ルルシアです! ノア様にこんな何度も会えるなんて感激です……結婚してください!」

「しねえよ」

「うぅ……でも諦めません!」


 ルルシアはニっと笑い一歩下がる。

 本気なのか冗談なのかわからねえな……。


「あたしはリーネ、まあ知ってるよね」


 そういってショートカットの赤髪の少女は、元気いっぱいに自己紹介する。

 彼女はリーネ・アルバ。同じAクラスの生徒だ。

 授業で目立つことがないから、正直あまり印象には残っていない。ニーナたちが話しているのも見たことはないが……まさかこんなところで。


 リーネは続ける。


「ノア君にはリムバ演習で間接的だけど助けてもらって……だから、その恩を返したいというか。あたし、あの時キマイラを倒してくれなかったら、あたしが死んでたと思うからさ。だから、ノア君に追いつきたいの! よろしく!」

「そうか。よろしくな」

「次は私ね。私はエステリーゼ。改めてよろしくお願いするわね。二年Bクラスだから先輩だけどれど……年下といえど、あなたのことは尊敬しているわ。今日はよろしくお願いしますわね」

「あぁ、よろしく……っす」

「ふふ、敬語はいらないわ」

「そうか、助かる。じゃあ、次は……」


 しかし、誰も自己紹介を名乗り出ない。

 だが、明らかにその場に自己紹介をしていないのは一人だけだ。


「お、おいスズカ! 君の番だぞ」


 クロウェルにつつかれ、少女はびくりと身体を震わせる。


「は、はい……! わ、私はその……ス、スズカ……です……」


 少女は恥ずかしそうに目元を髪で隠し、うつむきながらつぶやく。


「その……ノア……君の魔術がすごくって……わ、私魔術が大好きだから……その……」


 言わんとしてることはわかる。


「そうか、まあ俺のが参考になるかはわかんねえけど、よろしくな」

「は、はい!」


 以上、これでその場にいた全員の自己紹介が完了した。

 クロウェル、ルルシア、リーネ、エステリーゼ、スズカの計5名。


「これで自己紹介は終了だよ。実はファンクラブ会員はあと二人いるんだが……ちょっとした事件があってね」

「ん? 事件?」

「あぁ。一人は今日都合が合わなかったんだが、もう一人の方ちょっと問題を抱えていてね。……まあ、後で話すよ。時間もないし、今日はノア君の指導を優先させてくれ」

「そうだな。せっかくハルカ先輩から場所も譲ってもらったわけだし。じゃあよろしくな」

「「「「よろしくお願いします!!」」」」


 なんだか不思議な感じだが……まあ、これも修行だな。

 こうして、ファンクラブ会員たちに向けた魔術指導が始まった。

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