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14少女漂流記  作者: shiori


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第八章「試される代行者」5

 リリスの魔の手が次にどこへと向けられるのか。その不安がずっと私の中でこびり付いて消えることはなかった。


 前回の遭遇以降、パッタリと姿を消したリリス。虎視眈々(こしたんたん)と機会を伺っているような、そんな不安感が街を包み込み、スクールバス事件の犯人が捕まる気配さえ見えない。


 このまま何事もなく風化していく、そんなことさえ望み始めていた頃、再び最悪の形でリリスは次の手を打ってきた。


 今度は特別支援学校のスクールバスが爆破された。

 爆発物の形状などから同一犯と見られているが、今回も犯人の目撃証言などはなかった。時限爆弾は駐車中に仕掛けられたものと見られており、気付かぬまま生徒たちを乗せてしまったようだ。

 被害は前回に引き続き甚大で、多くの生徒が犠牲となった。


 痛ましい事件が二度も繰り返されれば報道はさらに過熱し、スクールバスの利用を見合わせる保護者も多く出る事態となっていた。

 

 これは仕方のないことだろう……日常が脅かされる大ごとだ、しっかり点検し安全だと バス会社側がどう伝えようと信用することは難しい。

 そして、犠牲となった子どもたちは帰ってくることは二度とない。再び街全体に暗雲が立ち込める事態となった。


 独自に調査を続けていた守代先生と私は接触した。


 先生の話によれば、リリスは自前で爆発物を生産できる爆弾犯を買収しているとのことだ。推測ではあるが、爆弾犯の目撃証言が未だ全くない以上、その可能性が高いという。

 リリスの能力では爆発物自体を制作するのは難しいと考えられ、その手に詳しい人物を利用して計画を企てたと思われる。



「スクールバスに爆弾物を仕掛けたのがリリスなら目撃証言などが出てこないのにも納得がいく」



 そう語る守代先生。つまりは霊体化することが出来ることや、気配を遮断するファイアウォールを展開できるリリスの仕業と考えるのが自然だということらしい。


 それにその場で子ども達から生気を吸い取る方が手っ取り早く魔力の補充が出来る、考えるだけで胸糞の悪い話だが、相手の行動を推測するとそれが真相だろう。


 私は爆弾犯の捜索を守代先生に任せ、私はリリスの居場所を突き止めることを優先して行動することにした。


 現実的に考えて、上位種の特性として存在する人の肉体に憑依し、憑りついて行動するリリスを見つけ出すのは難しいことだった。


 あの時に見た人に憑りついたリリスの姿はその身に纏うオーラだけで危険なゴーストだと知らしめられた。そう簡単に対処できる相手ではない、戦闘となれば総力戦になるだろう。

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