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14少女漂流記  作者: shiori


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Tips1「片桐茜」1

 あたしの名前は片桐茜(かたぎりあかね)凛翔学園(りんしょうがくえん)二年生、今年で一七歳になります。

 部活は社会調査研究部に所属しています。この部活を選んだきっかけは単純で同性の友達とリラックスして過ごせる居場所が欲しかったからです。

 先輩達は卒業してしまったけれど、あたしはこの場所をずっとこれからも守っていくつもりです。


 自分で言うのは少し恥ずかしいですが普段のあたしはスポーツ少女って印象が凄く強いです。

 背が高いわけじゃないけど、身体は柔軟性があって反射神経もいいと評判です。

 バッティングセンターに行くのが好きで、球技の中でも野球が一番好きです。野球部の顧問の先生とも仲が良くて、時々部員に気合を入れてくれと言われる始末です。 


 元々、運動全般は身体で覚えるってタイプでいろんなスポーツを体験して、中学の頃は色々な部活に顔を出したりして、女子相手じゃ物足りなくなって男子と競うことやチームに参加することもありました。これは……今も変わってないよね? って思われることかもしれません。

 

 凛翔学園に入ってみんなの間で印象的に残っているエピソードがあります。

 それは一年生の体育祭で行われた最終種目、女子500メートルリレーのアンカーで四人抜きをしたことです。

 走者は五人だったので、100メートルの間に四人を抜かしてゴールしたことになります。あたしにバトンが回ってきた時点で差はそれほど離れていない接戦だったけど、その時のみんなの興奮は凄くて、あたしはヒーローのような扱いを受けることになりました。

 

 《《一人だけ別格の陸上選手》》がいるとちょっとした有名人になりました。

 

 それ以来、あたしが色んなスポーツが得意であることがバレていって、対外試合にまで呼ばれることもあって、男子の多い部活に男子として参加することもあります。

 本当はバレたらヤバいことですが、どうしてもと頼まれるので、仕方なく試合に出ています。


 そういうあたしなので、老若男女問わず、人見知りせず話せます。

 あたしは自分のことを女っ気のないタイプだなって思ってるけど、親友の麻里江や雨音から見ると謙遜する必要なく十分魅力的だと言われます。


 確かに目立つからだと思うけど男子から告白をされることは小さい頃からよくあって、時々女に見られていたことに驚きを覚えるほどでした。


 それは不思議だなって思います。普段は女子も男子も変わらない接し方をしてくれているのに、唐突に好きだと、恋愛対象に見られていることに気付かされるとよくわからないモヤモヤした気持ちになります。


 恋愛というものに全く興味がないわけじゃないけど、誰に対してもフラットに、自然な今の関係を大事にしたいと思うのがあたしの性格で、外見で惚れるという女子にありがちな経験も今までなく、未だに彼氏が出来たことない状態で、受けた告白は全て断ってきました。


 でも、今のあたしが恋愛というものに意識が向かない理由は、あたしが魔法使いとして日夜人知れず戦っているからかもしれません。


 小さい頃から魔法少女への憧れ……願望かな? がずっとあって、アニメや漫画に限らずコスプレ衣装を作ったりもしていました。さすがに学園では秘密にしていることもあって街で着るのは恥ずかしいです。

 だから衣装を着て歩きたい時は雨音を連れてイベントに参加して、こっそり楽しんだりしています。


 そんなあたしが特別な力を持って、魔法戦士として悪霊であるゴーストと戦うことになるとは想像もしていませんでした。


 元々霊感があったわけではなく、本当に自分に適性があったのかはよく分かりません。でも、普通の人には見えない脅威があって、それによって多くの人が行方不明になったり、障害を負ったり、自殺をしてしまうなどの被害があると知ってしまったら居ても立っても居られませんでした。

  

 そういう意味であたしは人一倍正義感が強くて、損得勘定に左右されない性格なのかもしれません。


 もし、あたしが視えることを自分から望んだから、今の自分があるのだとすれば、それを、天命であったと受け入れるでしょう。それだけ、危ないことに手を出している自覚はあっても、今のあたしはこ充実しています。



 あたしの家族構成は父と母とあたしと愛犬の三人と一匹家族です。ペットがいるのを置いておくとすると、一番わかりやすい核家族かもしれません。


 父は音楽プロデューサーをしていて、母は声優をしています。

 二人とも仕事が趣味みたいに年甲斐もなく熱中するくらい好きで、それで子どもをあたし以来作らないのかもしれません。

 映画やアニメ、漫画やゲームに至るまで、そういう文化はどれも好きで、今でも楽しんでいて、見ているとまるで学生のようです。


 あたしにとって両親は一番の理解者でもあります。

 それは、あたしが魔法戦士としてゴースト退治をしていることを知っているからです。


 あたしは自分の知ってる全部を両親に話しました。そして、両親はそれを全て受け止めて、信じてくれました。普通ではありえないことだと思います。

 ”ゴーストが視えない人”にとってはオカルトでしかありません。心霊体験をしていると差はないはずです。

 両親にそういった心霊体験がないにもかかわらず、元々信じていなかったにもかかわらず、あたしの言葉を信用し、応援してくれたこと。それは今あたしが迷いなく頑張っていられる原動力にもなっています。


 両親は”自分たちもお前を育てた責任がある、だから応援する”と言ってくれています。あたしはその時、両親から自分は愛されているんだと実感しました。


 だから、あたしは今日も仲間と一緒に協力をしながら、影の救世主を目指して、魔法戦士として街を密かに守っていこうと思います。


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