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14少女漂流記  作者: shiori


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第二十七章後編「決戦前夜~この愛に意味があるとするならば~」1

 今後の運命を左右する会議が終わっても、黒江と羽佐奈はその場に残り明日の打ち合わせを続けていた。羽佐奈は黒江が見守っていた魔法使いがいなくてもなんとかなると元気づけるが、上位種のゴーストである悪魔達の脅威を目の当たりにしてきた黒江は危惧する心配が尽きなかった。


「いずれ行かなければならなかった場所に違いはないんでしょう?

 だったら、怖気づいている場合ではなくってよ、稗田先生」


 偶然ではない実力を持って悪魔達を撤退させた羽佐奈は不安な表情一つ見せず黒江を勇気づけた。

 浮気静枝が暮らしていた幽霊が同居する洋館。

 人を寄せ付けない理由が過去から続く場所に何が待ち受けているのか、それを考えると、黒江の気持ちは落ち着くはずがなかった。


「分かりました……正直、麻里江を失った時点で諦めかけていた自分がいます。責任を押し付けてしまうことになりますが、よろしくお願いします」


 肩を叩かれ、不意にやって来る心の痛みを振り払うと、黒江は羽佐奈の優しさを受け止め、前に進むことを決めた。


 ずっと後ろから付いていくしか出来ず、少女達に戦いを任せてきた黒江。

 麻里江を死なせてしまったことが、この時になって、壮絶にその責任の重さを思い知らされることになっていた。


「畏まらないで。私達はこの異常な世界を乗り越えて、一緒に生き残るって決めたでしょ?」


 舞い降りた希望の光、そこにすがり付くことしか出来ないことを苦々しく思いながら、黒江は羽佐奈の想いに感謝してその言葉を受け入ると、「分かったわ」と返事を返した。


 一方、友梨の方は混乱が広がる街の人々を落ち着かせようと奔走する手塚巡査から質問攻めに遭い、なかなか解放される気配がなかった。



 打ち合わせを無事に終え、学園長室を出た黒江は茜がいる可能性の高い社会調査研究部部室へと向かった。

 だが、部室に茜の姿はなく、茜の愛犬であるブラウンのお世話をする凛音だけがそこにいた。


 心労が深まり茜の魔力を感じ取れない黒江は娘の凛音に茜の所在を聞くが、知らないと告げられると早々に立ち去ることにした。

 それから、次にいる可能性の高い雨音が入院している内藤医院でようやく茜の姿を見つけた。


 黒江は今日決まった作戦の詳細を告げると、予想通り自分も同行できない事を不満に思う茜と向き合うことになった。


「羽佐奈さんと三浦さんが一緒だから大丈夫よ。二人の実力は茜もよく分かっているでしょう?

 

 それよりも、明日の戦いで全てが終わると限らないわ。

 茜はこの街の事を見守っていてちょうだい。

 それに相手が羽佐奈さんや守代先生がいない隙を狙って学園をまた襲いに来る可能性だって十分にあるわ。


 分かっているでしょう?

 相手だって本気よ。作戦通りに上手くいくとは限らないわ」


 納得できませんと反論してくる茜に黒江は冷静に言葉を返した。

 雨音も心配そうに見つめる中、茜は一緒に行けないことを嫌がりつつも、最後には納得して自分の役目を引き受けた。


 雨音の病状は時々、頭痛を訴える程度で日常生活を送れるようには回復しつつあったが、身体が楽になった分、超能力を使えるほどの魔力は失われていた。

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