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おまけ、ゲームをする 7

 お姉さん達が、到着したらしい。

 けれど、まだ会えてはいない。

 到着したのは一昨日の夕方で、その日は旅の疲れを落とす為に一行は領主館の、各々に与えられた部屋で思い思いに過ごし、昨日は夕方から夜にかけての歓迎の宴の為に支度に追われ、出席し、今日は昼過ぎの出発までやはり各々のんびり過ごすことになっているらしい。

 私はまだ子供だからという理由で宴には出席できなかったし、疲れを癒したりのんびり過ごしているところに挨拶に行って邪魔をしてしまうのも気が引けた。

 なので今日、やっと、出発前の昼食の席で顔合わせがなされ、挨拶することができる。

 ……さて、と。

 この間プレイした時のソラキャラによれば、出発する日の朝、つまり今日からガチャが引けるようになっているはずである。

 まだお昼ご飯までは時間があるし、早速引いてみよう。

 確かガチャは、"護衛ガチャ"と"お役立ち品ガチャ"があるんだよね。

 ソラキャラはまず"護衛ガチャ"を引くことをオススメするって言ってたから、やっぱり引くのはそっちかなぁ。

 そんなことを考えながら、私はゲームを発動させる。

 すると、画面にはまた、教鞭のようなものを持ったソラキャラが現れた。


『こんにちは! 私ソラ! 聖女のお姉さん達が到着して、いよいよ今日から旅に出るから、ガチャが引けるようになったよ! まずは"護衛ガチャ"で出てくる私の護衛兼お世話係の人達がどんな人か、紹介するね! 何人もいるから、頑張って覚えてね!』

「え、一足早く紹介してくれるの? わぁ、やったぁ!」


 ソラキャラの発言に喜んでいると、何やらどこかで聞いたことのあるような、穏やかな曲が流れ始めた。

 そしてソラキャラが画面の端にとことこと歩いて行くと、中央に男性の姿が現れる。


『まずはこの方! なんとこの国の第二王子様! リュートリス・ランドルーク様! いい人だけどちょっと抜けてるところのある王様と、ほんわかしてるように見えて抜け目のないしっかり者の王妃様の子供らしく、一見、穏やかないい人そうに見えるけど実はちょっと黒いしっかり者だよ! 文武両道! 外見につられて甘く見ると手のひらでころんと転がされたりするよ、気をつけてね!』


 そう言いながら画面の端でぴょんぴょん跳ねてるソラキャラを尻目に、画面中央ではキラキラとした背景をまとい、金髪碧眼の格好いい人が穏やかな笑顔で佇んでいた。

 う、うん……接する上での注意点も、一緒に紹介してくれるんだね……??

 そういう、ことだよね??


『続いて、魔法大国マージブルクからの留学生でその国の第二王子様の、ディオーリス・マージブルク様! 魔力の高さと魔法の扱いは一流のツンデレ王子様だよ! 言動はアレだけど全部を発言通りに受け取らないようにね! 本人、あとで陰で後悔してるから!』


 金髪碧眼の王子様がスッと左斜め後方に円を描くようにずれると、代わりに中央には紺色の髪に切れ長の青みがかった灰色の目をした格好いい人が不機嫌そうな顔で佇んでいた。

 ツンデレ……ツンデレって、何だろう?

 そういえば、妹が、漫画を読みながらたまにその言葉を言ってた気がするけど……ま、まあとにかく、この人の発言をその通りに受け取らなければ、それでいいんだよね……??


 『次に、武の国シシエインからの留学生でその国の第二王子様、レオナード・シシエイン様! 剣の腕と体術は一流だよ! 王様が女性が苦手で結婚はしたものの、夫婦生活を始めるのが遅かったから、レオナード様は一行の中で一番年下だよ! ソラよりは年上だけどねっ! 王様ゆずりで、本人も女性が苦手! 緊張して上手く話せないらしいから、接する時はゆっくり会話する気で待ってあげてね!』


 紺色の髪の王子様がまた左斜めにずれ、中央に深紅の髪に金色の目をしたどこか幼さの残る格好いい人が現れた。

 えっと……一番年下なら、この王子様が一番私と年齢が近いのかな?

 でも、女性が苦手で上手く話せないのかぁ……私としては、年齢が近いなら話しやすいと思うのに……う~ん。


『次に、ヒーリンキューグ神聖国からの留学生で第二王子様の、アールベール・ヒーリンキューグ様! 治癒や補助系の魔法が得意な、優しく礼儀正しい王子様だよ! ただ、神様や精霊を好き過ぎるのがちょっと困りものかなっ!』


 また王子様が左斜めにずれ、水色の髪に綺麗な青い目の綺麗な人が中央に現れた。

 王子様……王子様ってことは、男の人、なんだよね?

 凄く綺麗……見る人によっては、女の人にも見えそう……。


『次に、商業大国ショアニールの留学生で第二王子様の、ヒューゴ・ショアニール様! 自身も商才があって、大きなお店を経営してるよ! 各国に支店があるから、買い物には困らないね! でもお金を稼ぐのも、お金を使うのも好きな人だから、一緒に買い物に行くとびっくりしちゃうかも! 気をつけてね!』


 また左にずれ、金茶の髪に茶色の目をした格好いい人が中央に現れた。

 ……お金を稼ぐのも、お金を使うのも好き……一緒に買い物に行くとびっくりする??

 よくわからないけど……まあ、一緒に買い物に行く機会があれば、意味を理解できるのかなぁ??

 でも、それにしても……ねぇ、王子様、多くない?

 しかも、第二王子様ばっかり……何で??


『さて、王子様の紹介はここまでね! 聖女一行には、大国の、王様や皇太子様ではない王族が加わる決まりだから、今回は各国の第二王子様が揃って、聖女を召喚するこの国の学園にあらかじめ留学生としてやってきてたんだって! だから既に親交があって、王子様同士は結構仲がいいよ!』

「へぇ、そうなんだ!」


 仲がいいなら、旅の間も和気あいあいとした雰囲気でいられるかな?

 目的は厳しいものでも、少しでも楽しい旅路になればいいなぁ。


『さて、それじゃここからは、王子様以外のメンバーを紹介するね! まずはここ、ランドルークの王立学園で多才な執事となるべく勉強中の、ラトゥバス・ジッセル君! とにかく人のお世話をするのが好きで、将来はお世話しがいのあるご主人様の元で働きたいって思って日々励んでるよ! この旅では、王子様達や聖女のお世話ができるとあって張り切ってるみたい! 執事見習いだね!』


 ソラキャラの声と共に、中央には新たに、銀髪にスミレ色の目の格好いい人が現れた。

 へぇ、執事の見習いさんかぁ。

 夢に向かって頑張ってるんだねぇ。


『次に、こちらも学園で、同じく執事を目指して勉強してる、トラヴァス・センニジン君! この子は多才でなく、正しく執事の仕事だけをきっちりと学んでるよ! この旅でも王子様達や聖女のお世話を静かにきっちりこなしてるね! 執事としては将来有望だよ!』


 銀髪の見習いさんがやっぱり左斜め後方にずれ、中央には淡い緑の髪に青い目の格好いい人が現れた。

 この人も、執事の見習いさんかぁ。

 まあ、王子様が何人もいるし、お世話する執事さんは確かに複数人必要かもねぇ。


『次に、やっぱり学園で料理を学んでる、将来料理人を目指してる、フォウリ・シェリーニ君! 野宿する時はこの人がご飯を作ってくれるよ! ガチャでこの人が出た日に野宿することになったら、ソラの好きな料理をおねだりするのもいいかもね! エヘッ!』


 次に中央に現れたのは、オレンジの髪に朱色の目の格好いい人だ。

 わ、私の好きな料理をおねだり……そんなこと、していいのかなぁ??


『最後に、お城で馬丁の見習いをしてる、ファーバス・ショーマチウ君! 移動は馬と馬車だから、この人がその管理をしてくれるよ! ソラや聖女のお姉さんとかが乗る馬車の馭者もしてくれるの! ガチャでこの人が出た日には、馬車の馭者席に乗せてもらうのもいいかもねっ!』


 ソラキャラの言う最後に中央に現れたのは、栗色の髪に青い目の格好いい人だった。

 馬車の馭者席かぁ……そこに乗るとどんな感じなんだろう?

 乗せてもらえるかなぁ。

 ……それにしても……一行の人達が皆、格好いい人か、綺麗な人なんだけど……これ偶然、なのかなぁ??

 この世界って、顔のいい人が多いとか……?

 う~ん……ま、まあ、いっかぁ、別に、それで何か害があるわけじゃないし…………って、あっ!!

 も、もしお姉さんにこの中で既に好きな人ができてたりしたら、私を一日中お世話してたら、子供相手とはいえちょっと複雑な気持ちになったりとか、したりしない……!?

 お、お姉さんをよく見て、そんなそぶりのある人がいたら気をつけなきゃ……!!

 そ、それで、えっと……!!


「ソ、ソラキャラッ!! ……いや、クーガルーゼン様っ!? 護衛ガチャに一回だけ、引き直し機能が欲しいですっ! 聖女のお姉さんの恋路、私邪魔したくないっ!! 嫌われちゃうっ!!」


 慌てて3D○に向かってそう言うと、ピカーッと眩く発光した。

 眩しさにギュッと目を閉じて、再び開けると、そこには3D○ではないものがあった。


「え……何これ? 中央が黒くて、端が青と赤になってる……これも、ゲーム機?」

『パンパカパーン! ソラのお願いをクーガルーゼン様が聞いてくれたよ! 引き直し機能をつけるにあたって、ゲーム機を最新のものに変えたって! 画像とか色々なものが上質なものになったらしいよ! ソラ、よくわかんないけどっ!』

「え……最新? そ、そうなんだ……新しいゲーム機……ふぅん?」


 ま、まあいいや……これからは、これでプレイするんだね。

 とにかく引き直し機能も無事つけてもらえたし、良かったぁ。

 さてそれじゃ、ガチャ引いてみよう!


「まずは護衛兼お世話係ガチャだよね! えいっ……! さ、さあ、何が出るかな……??」


 ドキドキしながら画面を見ていると、ガチャから丸い玉が飛び出てきて、それがパカッと開き……オレンジの髪に朱色の目のお兄さんが出てきた。


「この人は……えっと、料理してくれるお兄さんだ! えっと、フォウリ・シェリーニさん! 初日はこの人なんだね……ふぅ、良かったぁ。いきなり王子様だったりしたら凄い緊張するだろうから、ちょっとホッとしたよぉ。この人なら今はとりあえず引き直す必要ないし……お役立ち品ガチャ引こうっと」


 残りはあと二回。

 さて、何が出るかな、何が出るかな……っと!


「あ、お味噌と……豪華なテント?」


 レアって書いてある……どんなテントなんだろう?

 ま、まあとりあえず、取得しよう……どんなものかは、使ってみればわかるよね。

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[一言] 『ゲーム機の進化』に、時の流れを感じます…… お話の外側の。
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