02.Did she cry?
「え? 泣いたんですか?」ふらりと急に家に来て、俺を攫いショットバーに飲み来た聡さんは……カウンターテーブルで頭を抱えている。
「そう、なんか急に。そんなに俺強く言ったつもりなかったんだけどなー」しょぼくれる聡さんを見て、目を瞬かせた。
いつも思うけど、聡さんって仕事して親父相手にしてる時と、家族の事考えてる時ってあまりに違いすぎるよな……。
「なんでだろーーなんでかなーー、慶二ーなんか知らねぇ?」
「……聡さんペース速くないですか?」ちょっと絡み始めた慶二さんを抑えつつ、心臓が飛び出るかと思った。
バレテは、なさそうだが……俺が手ぇー出したせいか?
報告に来た兄貴と友香と一緒の食事をして、ボケーっと二人を見てた唯を問い詰めれば、全部知ってた。
兄貴と友香がずっと付き合ってた事。今回子供ができた事も。
……兄貴に憧れを抱いている唯に傷付いて欲しくなくて、特に友香には口止めさせてたはずなのに……。
先延ばしにした所で傷付かない訳じゃないけど、それでも唯には知って欲しくなかった……。
二人の行為を……。いや、中学の時とは違って大人になってるんだから、その子供が出来る行為を未だに嫌悪してるとは思ってないが、それでもあの時の拒絶を思い出すと……身近な二人の具体例を知らしめるのが怖かったんだ。
それなのに! それなのに、あっさりと友香のヤローは白状してて。それどころか俺の女関係までそれとなく暴露しやがった。
売り言葉に買い言葉が出て、また唯に心底軽蔑されるってビビッてみりゃー……意外な唯の言葉が返ってきて……驚いた。
病気ってなんだよ。そんなへまはしないけど。
でもそんな下ネタ会話が出来て、急に許された気がして調子に乗ってしまったのは仕方がない。
だって唯が可愛いから。興味があるけど、素直に認められません。って顔してたから。
でもそれと同時に不安にも襲われた。
兄貴とは結ばれない事を理解してて、でも男女の関係に興味があるなら……危険だろ?
この間の児玉ってやつとは別れたみたいだけど、またいつ別の男が現れるか分からねー。
その男とまた知らない内に付き合って……貫通させちまったらどうすんだよ。シャレになんねーだろ。
……それなら別に……俺が貰っても構わねーか? 邪な考えが頭をよぎる。いや、待て。焦るな落ち着け。
強引に事を進めて本気でまた唯に嫌われてしまっては意味がない。ここは上手く、その気にさせてそのまま囲ってしまうか……。
「なんかバイトであったみて~」思考の渦に飲み込まれていた俺は聡さんの声で我に返る。
「……バイト先ですか?」ほう。やっぱり俺のせいではなかったな。
「やめんだってさ。京子の話じゃ楽しそうにしてたのに」グラスを傾けながら、酔っ払い親父化してきた聡さんを宥めつつ……情報収集。
なるほど? 確かあの児玉って男はバイト先の知り合いみたいだったから……それであれじゃ辞めざるを得なかったんだな。
それで泣いた? ……でもそれだけで? ……唯が? ……いまいち納得できない。本人は汚点だ! なんて叫んでたぐらいだし……あまり心を痛めているとは思い辛いな。
とするとやっぱり兄貴の事だろうか……。やっぱり本当はそんなに兄貴の事が好きだったのか……。
心ここにあらずの唯を見るのは嫌だ。まぁ、基本的にあいつはいつもどっか違う方向を向いているんだが。それでも俺は子供の頃からそれが悔しくて、どうにかして唯を自分の方へ向かせたかった。
子供の頃はそれが露骨な態度で、いじめたりからかったりしていたんだが……二十一歳と言う一応大人になってやってる事は、性的行為で注意を引き立てようとしてんだから、まったく成長してない。
体ばっかりでかくなって一応色々な事を経験したつもりでいたが、どうも唯の事となると俺は小学生だ。そのくせやってる事は大人だから余計にたち悪いかもな。
……きっと、ファーストキスだよな? あの感じは絶対に始めてだな。ふふ、顔がにやける。
やっぱり絶対に確保だな。真っ白な唯を誰かほかのやつになんかやるもんか。
その為にはどうしたらいいか……。
「あ、慶二明日足だからなー」再び聡さんに掬い上げられる。
「足?」
「仕事になったから、女性陣をおもてなししろ」かしこまりました。ボス。
さて、どこへ行くかな? 唯以外の女性達には仲良く買い物をして貰って、唯には……。
俺は聡さんとゆっくり飲みながら頭の中で計画を組み立てていく。焦らずにゆっくりと、まずは恋人っぽく……その気にさせていくのがベストだな。
◆ ◆ ◆
「なんか悪さしてないよな?」日は変わって日曜日。再び聡さんに連れ出され同じショットバー。
今日は、ちょっと居心地が悪いな。いや、かーなーり悪いな。
昨日のは可愛いちょっかいだったが、今日のはまずかった。
自分で焦らないようにって言い聞かせてたはずなのに……あんな近くに唯がいて、しかもあんな色っぽい仕草されたら我慢できませんでした。
すいません。ちょっと本気でやりすぎました。
「いえ? 別にしてないですよ」内心ひやひやしながら笑顔でそう言うと、チッって舌打ちされて嫌そうな顔された。
「うわー、もう時間の問題かよ。仕方ねーとは思うけど……俺泣くかも」そう言って泣きまねする聡さんのお代わりをバーテンダーに頼む。
「唯……バイト先の男と付き合ってたらしいですよ」
「はぁ!?」驚いて俺を凝視する聡さんにしたり顔で頷く。
「へーマジか。とても付き合ってる男がいたようには見えなかったけどな? それで別れてバイト辞めたのか?」
「友達の延長程度だったみたいですけど、揉めたみたいです」しれっと俺は自分のソルティ・ドックを飲む。
「……ふーーん。じゃ、さっさとくっついちまえよ。他の男に取られるぐらいならいい加減お前がどうにかしろよ。行動遅すぎんじゃねーの?」
「…………」行動が早すぎた結果こんな関係になってしまったのですが……そんな事言える訳ないので無言。
「いっその事、強引に進めろよ。簡単な事だと思うけどなー」……お父さん? 娘さんの貞操を強引に奪えと言ってませんか? 泣くかもしれないって言ってたくせになんで唆してるんですか?
そんな心の声が聞こえたのか、聡さんは不遜な顔で微笑んでる。
「ま、頑張んな。うちの娘はあれで手強いからな」
「……承知してます……」十分、理解してますとも。まったく気持ちが届かないっすからねぇー。
「はは、そんな慶二に一つ教えてやるよ。明日でバイト終了だと。強引に行くなら相手に考えさせる暇を与えずこっちの思う通りに動かすんだぞ?」
「……ご教授痛み入ります……」確かそうやって京子さんとは強引に唆して既成事実作って付き合い出したと聞いてますよ。
「ははっ! 京子より唯の方が手強いかもな~」
「そんな嬉しそうに言わないでくださいよ。聡さん応援してる振りして実は全然くっついて欲しいなんて思ってないですよね?!」
「当ったり前だろ! 京子似の一人娘だぞ! ずっと二人は俺の手元に置いておきたいと思ってるんだ。けどなー、さすがに唯は無理だろ? だったら慶二で我慢してやる。だからその前に身辺を綺麗にしろよ」
……耳が痛い。
聡さんの俺に対する評価が中学の時より落ちたのは自業自得だ。高校時代は確かに褒められた風紀ではなかったと自分でもわかってる。
それについて今更言い訳をするつもりもない。
唯に拒絶され、初めて離れた高校生時代は自分でも歯止めが利かなかった。
童貞をささげたのは通学途中で一緒になる事の多かったOLのお姉さんだ。
高校に入ってから、唯の傍にいない俺は極上の獲物だったようで、その手の誘いが上級生から絶えなかった。
さすがに初めてを同じ高校の先輩とするのは拙く、外へと目を向け、その道に長けてそうなお姉さんを物色し自分から誘った。
しっかりと丁寧に手解きを受け、一番関係が長く続いたと思う。だが、それと同時進行で後腐れなく終われそうな上級生ともそれなりの関係を続け、その事がOLのお姉さんにバレ別れた。
自分は特別だと思っていたのにあっさりと切るなんてひどい、冷たい、最低だ。そんな罵りを散々受け多少は心が痛んだが……俺の特別はお前じゃない、童貞を捨てる相手として選んだだけだと言ったらなぜか納得された。
それからは同じ女と長く続いた事はない。さすがにお姉さんで懲りた。割り切った関係でいようとお互いに納得していても、関係が長く続けば情がわく。
そして女は欲が出る。自分が女にとってそれなりに高物件なのはわかっていたので、身体の関係以上を望ませないよう短いスパンで切って捨てた。
そして同時進行もやめた。次の女に食指が動きそうになったら前の女と終わらせてからにした。
そうして少しずつ自分の中でルールを決め高校生活を楽しんでいたが……。
いずれくっ付くと思われていた俺たちが離れ、唯は女子高、そして俺はそんな生活をしてりゃー……心証も悪くなるな。
皆それぞれ何かあったと感づき色々探りをいれて来たりしたが、俺はもちろん話さなかったし、唯も誰にも話さなかったようだった。
同じ大学に入って俺は女性関係をかなり改めた。さすがに唯の見える範囲で奔放な事をする程、度胸はなく上手くやっていたつもりだったが……唯はある程度知っていたみたいだな。
確かに、女が唯に不条理な怒りをぶつける事が何度かあったみたいだが、唯本人は俺に直接何も言っては来なかったし、何より俺に……幼馴染としての俺への態度に変わりがなかったから、甘えていたのかも知れない。
聡さんに言われて改めて考えさせられるなんてまだまだだな……。だが、本気で手に入れようと思うなら、一番にすべき事だった。
聡さんの言う通り、まずここは唯にあまり考える隙を与えず、周りに分からせる必要がある。
ふむ、いい事を考え付いた。明日から……実行しよう。
俺がそう模索する様子を聡さんがニヤニヤしながら酒の肴にしてるなど全く気付かず、考えに没頭した。
その聡さんの瞳に、少しの物悲しさと、たくさんの応援の色が籠められている事に、俺は気付くことはなかった。
◆ ◆ ◆
「それで本当にどうしたのー? ついに早紀の誘いに乗る気になったぁ?」学食で日替わりAを食べている俺にそう言って身体を寄せてくる女をそっと押し返し笑顔で断る。
「川嶋さん、もう本気でやめてくれる?」そう一言断っただけで彼女は顔を曇らせた。
ああ、そうだ。この娘は多くを語らなくても分かってくれるんだろう。俺と唯を近くで見てるから、深く説明しなくても状況が理解できる。
「ごめん」そう素直な気持ちで声をかける事が出来たのは、身体の関係がなかったからか、それとも唯と仲良くしてる相手だからか……。
「別に……謝られる必要ないけど」そう言ってお弁当を広げ始めた彼女を改めて見る。この娘ならこの状態にならなくても、しっかり断ればもしかしたらしつこくされなかったかも知れないと今更ながら気付いた。
俺の曖昧な態度が彼女を傷つけていただろうか?
「……私、唯の事好きなのよ?」そう言って俺を見た彼女は、妙にすっきりとした顔をしていて……やはり俺の曖昧な態度で傷つけていたのかも知れないと反省する。
どうも俺は唯が関わると煮えきれない。
その他大勢にはどんな態度でも取れるが、唯に関わる人間にはどうも甘くなる。特に唯が好きだと思っている相手には自然と自分の態度も優しくなるから困る。
唯を傷つけたくない。真綿に包んで色々な事から隔離し、本当ならこの腕の中に閉じ込めてしまいたい。
近くにいれば心の奥底に閉じ込めているその衝動がどうしても表に出てしまう。俺達を知る大学の友人達からは過保護過ぎると呆れられているが……ほっといてくれ。
だが、俺だけを見ている相手にはこの俺の感情が理解できないようで……朝は説明するのに骨が折れた。
◆ ◆ ◆
「慶二君、もう近づくなってどう言う事? 私達はあなたの親衛隊よ?」俺は認めたつもりはないが、面倒臭いので放って置いた結果、いつの間にか親衛隊なるものが出来ていた。
だが意外にこれは役にたった。
女は一人でいると自分を売り込もうと強引な手に出てくる事が多かったが、集団になるとルールを勝手に作っていた。
お互いがお互いを牽制し、俺に相手がいるときは物分りのいい集団を装い、だが隙さえあれば自分が取って代わってやろうと機会を望み、また他の女に出し抜かれないよう目を光らせていた。
その女同士の戦いは俺の目の届く範囲では露骨に繰り出されることはなく、表立っては喧騒になることはなかった。
特に俺が注意することは相手を一人にしておく事だけだ。そうすればたくさんを相手に疲れる必要もなく、その一人が自分の位置を保守する為に孤立奮闘してくれる。
女同士で戦って勝手に立ち位置を交代された時はさすがにアホかと思ったが、それ以外は概ね役に立っていた。
だが、唯を手に入れるなら必要がないんだ。それどころか、邪魔な存在となる。そんなものはいらない。
だったら切り捨てるだけだ。
「君達さー。ギャイギャイ騒いでるけど、本当に慶二の事が好きなわけ?」さてなんて話を持って行こうかと考えていた俺は、横にいた穂積が口を挟んだのに驚いた。
「本当に慶二の事が好きで慶二を見てたら、こいつの心がどこにあるかって事ぐらい簡単に分かるでしょ?」そう言って馬鹿にしたように女達を見るから、もっと驚いた。
飛田穂積は同じ高校から進んだ友人だ。高校時代は嫌われていたように思っていたが、大学に進んだ後は……なぜか懐かれた。
高校時代嫌われていた理由はなんとなく分かっている。
穂積は女が大好きだ。根っからの女ったらして、どんな女でも平等に優しくあるものと宣下して憚らない生粋のフェミニストだ。
そんなフェミニストにとって、女をとっかえひっかえ食い物にする俺は、いいものには映らなかったのだろう。
高校三年間で一度も同じにクラスにならなかったのも、確執の一つ。そしてもう一つは、穂積の双子の兄、穂高のせいではないかと思ってる。
穂高とは入学して一番に仲良くなった相手だ。富樫と飛田、出席番号が前後と言うきっかけからスタートし、思っていた以上に気の合う相手だった。
そしてその弟の穂積はブラコンだ。仲良くなってからそれを指摘すると本人は気持ち悪いこと言うなってむきになって否定するが、どう見てもお兄ちゃん大好きだ。
きっと、あまりいい印象のない俺が、大好きなお兄ちゃんと仲良いのが気に入らなかったのだろう。
そんなちょっとした敵対心から生まれた溝は高校時代埋まることはなく、大学に進んで初めてまともに話すことが出来た。
穂高の双子の弟だから、絶対に面白いだろうとは思っていたが、俺の予測を上回る個性だった。
穂高はその名の通り、山の様な男だ。山岳の頂に位置するような……つまりとっつきにくい男。
口数少なく、それでも自分の意思をしっかりと持った、硬い男。
穂積はその穂高とは対極にいる様な男だ。いつもヘラヘラ笑って、川の様に流れに身を任せ場所に固執しない。
そのくせ芯には揺るがない何かが一本通っていて、不思議な男。
二人の上には歳の離れた姉が二人いるらしく、女性の扱いは俺なんかよりずっと達者だ。そして優しい。
俺にひどく扱われた女が穂積の方へ流れていく事が良くあったと思う。
そんな穂積だったから、女達に辛辣な台詞を吐くのに驚いた。
「何変な顔してんの? 俺だって言う時は言うんだよ」俺の変な視線に気付いたのか、ちょっと怒った風に俺に向かって穂積は言うと、今度はまた親衛隊に向き直る。
「意味分かるでしょ?」今度は優しく諭す。
女達は意味が分かるのか唇を噛み締めてそれぞれが下を向いた。
それでも食って掛かる女はいるもので、一応会長と名の付く先輩が噛み付いてきた。
「でも! 今までは相手がいても私達の事、認めてくれていたでしょう?」すがるように俺に言われ……溜息を付く。
俺、認めたつもりはないけど……利用していた覚えはあるので、自分で蒔いた種か……。
「……先輩、俺大切な人がいるんです」素直に訴えてみれば、逆に切れられた。
「意味が分からないわ! 一人に絞る慶二君なんて慶二くんじゃない! そんなの慶二らしくないわよ!」……俺の何を知っているんだろう。
俺の中心を占めるのはいつも唯で。唯のいない世界はどうでもいい。唯が苦しまないよう、幸せに笑えるよう唯の周りにも気を使うが、その立場がもし俺と唯の世界を揺るがすような相手となるなら、簡単に切って捨てることが出来るだろう。
穂高も穂積も、他の気の合う仲間も、俺にとっていい友人であろうと、もし唯を脅威にさらす事でもすれば、容赦はしないだろう。
つまり、自分にとって大事だと思っている相手でも、唯が絡むと何もかもが変わる。
俺の中心を占めるのはいつも唯で。自分でもなぜここまで唯に固執するのか分からないが……唯のいない世界は考えられない。
4月生まれの俺と、3月生まれの唯は同じ学年ではあるがほぼ一年離れていて、初めて生まれたばかりの唯を見たときの衝撃は今でも忘れられない。
もうすぐ一歳となる俺の記憶がそこまで鮮明に覚えている訳ないと笑われるのは承知だが、それでも俺は覚えている。
小さな小さな体。愛らしい顔。その全てが輝いて見えて……俺は一生をかけてこの子を守って行こうと思ったんだ。
それを誰かに話せば只の気持ち悪い男だからな、誰にも言った事はないが……高校からの友人達は俺が唯と接しているのを見ると、皆が皆驚いた顔を隠しもしなかったな。
悪いものでも食ったのか。熱でもあるのか。そんな事を真面目に聞いてくる穂積に、改めて俺は唯が絡むと自分が変わるって事を気付かされた。
◆ ◆ ◆
「で、さぁ。本気になった訳?」どっぷりと思考にはまっていた俺は、唯の友人にそう言われ我に帰る。
「ああ」そして簡潔に肯定した。
「えー! なんで今更?」朝倉が不満そうに言うので、心の中で笑う。朝倉舞も同じ高校から進学した同級生だ。
そして穂積と同じく俺への態度が緩和した相手だ。
偶然にも三年間同じクラスだった朝倉からは、確実に嫌われていた。話をする事もなかった。
だがいつの間にか唯と仲良くなっていて、最初の内は俺と唯が話すのを阻止しようと奮闘していたが、最近はもう諦めたのか、何も言わなくなっていた。
でも、くっつくのは不満か? なんだか面白くなくて唯に彼氏がいた事をばらしといた。
「けーーーいーーー!」睨んで来る唯を軽くあしらって、俺は興味津々でこちらの事に耳を傾けている学食の面子に明確な意思表示をする。
これで噂は駆け回り、明日には俺と唯は付き合いだした事になっているだろう。俺はなんだか楽しくなって鼻歌でも歌いたい気分で学食を後にした。




