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第29話 日清海軍拡張競争

評価ポイントが200を突破した時からチマチマ書いていたものになります。

元々はエジンコートに扶桑の艦橋をつけてみたら、という完全な興味本位から書き始めたものですが、背景説明とかが長すぎて何がメインの話か分からないようになってしまったなぁ

大日本帝国海軍は1900年代以降急速に拡張を続けてきた海軍だった。

1907年の薩摩型をはじめとする国産艦の建造は、その自立を示す象徴となるはず、だった。

1909年の5月1日の第二次ヘルゴラント海戦による薩摩の爆沈は世界に大きく衝撃を与えたが、最も大きな衝撃を受けたのが日本海軍であった事は言うまでもなかった。


第一次世界大戦後、日本海軍は4隻の量産が計画されていた薩摩型を既に進水していた2番艦安芸をもって建造中止とする事を決定。船台上の3,4番艦は解体して、新たに河内型としてつなぎの戦艦を購入する事とし、さらに真打として新型国産戦艦の扶桑型の建造を計画する。


しかし、こうした動きを黙ってみているわけがないのが仮想敵の大清帝国だった。

国産化が未だ進まず、依然として戦艦は旧式の定遠型と旧スウィフトシェア級を購入した寧海型のみであり、薩摩型4隻だけでも脅威といえる状況であったのに、新たに強力な戦艦を整備されてはたまらないからだった。

その為、清国海軍もまた新たに海外から戦艦を購入しようと考えていた。

まず、候補となったのがドイツ帝国だったがドイツ海軍は再建に忙しく建造に必要な技師の派遣など、将来的には大いに役に立つ協定がむすばれたが、残念ながらすぐに効果のあるものではなかった。

次に接触したのはアメリカ合衆国だったが、アメリカでは前弩級戦艦の売却を提案され、清国海軍としては弩級戦艦が欲しいので断った。

最後に接触したイタリア王国では、アンサルド社をはじめとする企業からは好感触を得たものの、自国向けの新型戦艦の建造を急がせたいイタリア海軍の方針で契約には至らず、結局旧式化していた定遠級の近代化改装の契約がまとまったのみだった。


列強各国はドレッドノートの出現によるショックが未だ大きかったにもかかわらず、第二次ヘルゴラント海戦によって既存のドレッドノート級ですら危険である、という証明がなされてしまい、後にポストセカンドヘルゴラントタイプと呼ばれることになる防御強化型の戦艦を整備し始めていたまさにその時であった為に清国の要求を叶える事は出来なかったのである。


そして、それは日本海軍も同様だった。そのため日本海軍は急遽、計画を変更して薩摩型3,4番艦に小改良を加えたものを河内型として建造する破目になった。


このままお互い打つ手なしか、と考えられて1年が過ぎた頃、思わぬ知らせがアメリカからもたらされた。アルゼンチンからの依頼でアメリカで建造していたリバダビア級戦艦売却の報だった。

このリバダビア級戦艦売却の裏には南米情勢の変化があった。

元々、アルゼンチンは隣国チリとの間で海軍制限条約を結んでいたのだが、北の大国にして宿敵ブラジルがミナス-ジェイラス級戦艦をイギリスに発注したことで、パワーバランスを保つためにアルゼンチンもアメリカにリバダビア級を発注していた。第一次世界大戦に伴いミナス-ジェイラス級戦艦はイギリス海軍に編入されたため、今のところはどこの国も戦艦を保有するに至ってはいなかったが、しかし、そうした動きは自らが裏庭と見なす南米が騒がしくなる事を良しとしないアメリカ政府にとっては面白いものではなかった。

アメリカは1910年7月12日にブエノスアイレスで開催された汎米会議でブラジル、アルゼンチン、チリの3ヵ国間の建艦競争の凍結を提案し、すでに就役していたミナス-ジェイラス級についてはブラジル、アルゼンチンに1隻ずつ配分し、チリがアームストロング社への発注を取りやめ、新規にアメリカのクランプ社に戦艦を発注する事で合意がなされた。


そして宙に浮いてしまったのがリバダビア級だった。

一時期はアメリカ海軍が引き取るとの報道もあったが、それに待ったをかけたのが清国海軍だった。

清国海軍はリバダビア売却の報を聞くとすぐにその購入に移っており、日本海軍が気づいたころにはすでに回航準備を済ませてしまっていた。この状況に日本海軍は頭を悩ませた。真打となるべき扶桑型の設計がまるで進んでいなかったからである。


しかし、頭を悩ませていた日本海軍に救いの手が差し伸べられた。相手はイギリスのアームストロング社だった。アームストロング社としてはアメリカが南米が自国の勢力圏である事を利用して、南米各国の政府を意のままに操った結果、多大な損失が出ており、どこかで穴埋めをする必要があった。


アームストロング社ではブラジル海軍向けのミナス-ジェイラス級戦艦強化案をもとにして、日本海軍の要求通り低速重防御の戦艦として建造を開始した。ただし、当初搭載予定だった13.5インチ砲に関しては、イギリス海軍の横槍の為搭載不可能となり、代わりに12インチ50口径連装砲を7基搭載している。

また、12インチ連装砲7基の主砲斉射の爆風に耐えるために艦橋構造物の強化が、特に日本海軍関係者から要請された結果、後に違法建築と呼ばれる独特な艦橋となっている。


こうして、建造された新戦艦は未だ建造されていなかった扶桑の名前を引き継ぎ、12インチ連装砲7基と独特な艦橋による目立ちやすいシルエットもあって、長く日本の象徴として愛される事となるのだった。




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