100万人記念特別コラボ配信! 18
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「キュルルルルルルルルルルッ!」
その初撃に反応できたのは、どうやら私だけだったようだ。
昆虫型モンスター故の無機質な咆哮が響くと同時、ゲルナグラン・ディアボリカの双眸に妖しい光が灯る。
───私が反応できたのは、奇しくもその光が私の目に宿る光と同じものだったからだ。
「っ……!」
瞬時にバックステップを踏むと同時、前に出ようとしていた憂炎さんとラビリちゃんの胸を押さえて無理矢理全身を止める。
視界の端に二人の驚いた表情が僅かに映るも、それを気にしている場合ではない。最短距離を最速で、即死級の一撃が迫っているのだから……!
「っ……!」
刹那、ゲルナグラン・ディアボリカの鎌による薙ぎ払いが、私の首を掠めて宙を切り裂いていく。ギリギリで前進を止めたラビリちゃんと憂炎さんへのダメージは無かったものの、軽く表面を切られた私の首からは血のように赤いダメージエフェクトが漏れ出す。
「ぴょんっ!?」
「何がっ───」
「次来るわよ!」
振り抜いた鎌を引き戻しつつ、もう一方の鎌を振り上げる奴の視界を塞ぐように、【バニシング・ステップ】起動!
ヘイト値を100%消費し、計10体のデコイを生み出してゲルナグラン・ディアボリカのターゲットを攪乱しつつ、私自身は背後に───
「ちょっ、それは反則でしょうがっ……!」
私の視界に妖しい軌跡を描くのは、ゲルナグラン・ディアボリカの目に宿る光だ。10体のデコイを事も無げに一刀で横一文字に切り裂いたこいつは、【セカンドギア】と【アトモスブレイカー】、【次元的機動】を重ねがけした私のスピードについてきている……!
「すみません、出遅れましたわ!」
「キュルルッ!」
宙を駆ける私に鎌が迫る直前、ゲルナグラン・ディアボリカの足元の地面が隆起し、尖った岩が襲い掛かる。セレスさんの【マグナ・グレイブ】だ。
あまりのスピードにあっけに取られていたセレスさんも復活し、私がヘイトを引き付けている間に魔法を準備していてくれたのだろう。
だがそれすらも……地面が隆起するのとほぼ同時に動き出していたゲルナグラン・ディアボリカには掠りもせず、次に奴が視界に収めたのは、こちらも復帰したばかりのラビリちゃんであった。
「鎌の扱いなら負けないぴょん! 【クレッセント───」
「キュルッ」
「ラビリちゃんダメッ!」
「───リッパー】っ!」
ゲルナグラン・ディアボリカが振るった鎌を塗り替えるようにラビリちゃんの大鎌が重なり、相手より先に奴の身体を捉えた───かに見えたが。
「なんっ、で……手応えが無———」
「後ろっ!」
「キュルルルッ!」
ラビリちゃんが切り裂いたかのように見えたそれは、ゲルナグラン・ディアボリカの幻影であった。確実にとらえていたはずなのに……まるで霞に斬りかかったかのような手応えの無さに、ラビリちゃんは一瞬の混乱に叩き落とされる。
その一瞬さえあれば、ゲルナグラン・ディアボリカにとって一撃を叩き込むのに十分な時間であったのだ。
「“流雲拳”───【朧雲】!」
「【ジョルト・ブラスター】!」
「【極量閃舞】!」
ギィィィィンッ! とおよそ生身のものではない金属音と共に、憂炎の拳によってゲルナグラン・ディアボリカの鎌が逸らされ、ラビリちゃんの頭上を通り抜けていく。
それと同時に奴の懐へ飛び込んだ私とレリーシャさんが渾身のアビリティを叩き込むも、即座に翅を広げて後ろに飛ぶことで勢いを殺したゲルナグラン・ディアボリカへは、ほとんどダメージが通っていないようだ。
「くっ、腕が痺れるアル……」
「今のも対応するってマジ?」
「少々狂っています、この強さ……」
「憂炎さんありがとうぴょん!」
「憂炎様、よく対応してくださいましたわ!」
・はっ?
・何が起こったし
・速すぎる、強すぎる、判断が的確過ぎる
・こいつモンスターだよな? プレイヤーと戦ってる気分だぞ……
・でもなんかこいつの戦い方、どっかで見たような
「いやぁ、嘘だと思いたいんだけど……」
視聴者さんの指摘で、私は確信を持つ。
ゲルナグラン・ディアボリカの目に宿るあの光……私の見間違いでなければ、私が使っているアビリティと同じ【メタバース・ビジョン】のエフェクトだ。
それが分かったから、こいつが高速戦闘を得意としていることがすぐに分かったんだけど……問題はこいつの戦い方。
迷いなく初手から首元を狙ってくる容赦のなさに、ラビリちゃんのアビリティを誘発しておいてそのカウンターを取る手筋、その上幻影を残してヘイト管理までする徹底ぶり見たら、もう確信しかない。
こいつ、私の戦い方をトレースしてる……!
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