…気のせいだろうか…。
あれから立花先輩とは週に1度部活がオフの日の放課後に会うようになり、いつのまにか1か月が経っていた。
セリフの練習の後、おしゃべりをする。初めは私のセリフの練習中、立花先輩はベランダなどで寝ていたが、最近はたまにだけど掛け合いの練習を手伝ってくれる。しかし大変なのがその後…
「やっぱり俺、結構上手くない?」
掛け合い終了後に毎回聞いてくるこの質問。反応に困るからやめてほしい…。しかし掛け合いを手伝ってくれるのは本当にありがたい為、この感情は悲しいことに表に出されぬまま心の奥底に閉まわれている…。
立花先輩のフレンドリーさもあり、1か月で徐々に鉄壁の扉である私の心は開きつつある。特に以前は遠慮しがちだった意見が言いやすくなった。
そして立花先輩についてわかったこともある。
まず、周りをよくみている。サッカーで身についた力なのか…とてもよく周りをみている。というよりとても察しがいい。
そして、優しい。オーラなのか何なのか…どこか話しやすさを感じる。黒髪で子犬っぽい、そんなほんわかしている見た目も優しいオーラをだす理由の一つなのかもしれない。
確かにこの人柄はモテるだろう。
放課後以外の普段の日というと…
まず受験学年は別棟にあるため、あまり会わない。
私的には、それがベストだと思っている。
何故なら立花先輩は本当にモテるからだ。
ダブルキングの1人である先輩と関わっているところなど見られれば、自分がどうなってしまうかなんて想像しやすい。集会など会う可能性が高い時は何が何でも見つからないよう上手く人に紛れて凌いでいる。
1度油断して集会の時に見つかったことがあった…。
「お、いたいた〜!草華〜(ボソ)」
あの言葉を聞いた時には本当に人生が終わるかと思った。おまけにお手振り付き…。
幸い、周りに女子がいすぎて、
「これは私に向けてだ」と大惨事になったことで、誰に向けて話しているのかバレずに済んだ。
あの事件以降、私を見つけても声を掛けないでもらうことにした。
立花先輩と最悪な出会いをしてから私の生活はこの1か月で一気に変化した。
学校生活がまた一段と楽しくなった気がするのは気のせいだろうか…。




