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特別話 現に俺が救われたうちの1人なんだけどね(笑)

「ッフ、何で?って顔してる(笑)」

「そ、そりゃぁ。こんな寒い中海で何するのかなって思うじゃないですか!」(照)

「普段は、こんな朝早く行かないんだっけ?」

「はい、いつもはお昼前に行ければっていう感じです。先輩はいつもこの時間にきてるんですか?」

「ん〜、いつもって感じではないかも。あ、でも去年は1人でこの時間帯に来たな。何か鐘の音好きなんだよな〜(笑)」

「確かに、どこか落ち着きますよね。」

「分かるわ〜!あ、そだ。どういう系のお願いした?」

「け、系ですか?(笑)」

「だってほら、願ったこと言っちゃうと叶わないとかいうじゃん?でもやっぱり気になるから系で聞けばギリセーフなんじゃない?的な(笑)」

「な、なるほど…。」


ま、まずい流石に先輩のことまでは言えない。


「せ、声優検定とりたい!みたいな感じです!」

「声優検定?」


う…思わず違うことを言ってしまった。今年初の嘘…。

過去最速を更新してしまった…。で、でも取ろうと思ってたのは事実だし…お許しください!神様!


「は、はい!1月と7月にあるんですけど…7月の方で受験しようと思ってて…。」

「すご!そんなのがあるんか。検定か…めっちゃむずそうだな。」

「はい…。でも取れたら形としても残るのでいいんじゃないかなって。」

「確かにな!よく俺の兄貴とか言ってる。何か資格とか検定はもっとけって。」

「やっぱり…そうですよね。」


な、なんだろう。会ったことはないけど立花先輩のお兄さんが言ってるって聞くとじんわり心にくるというか本当に大事なんだなって思ってしまう。


「先輩は、何系お願いしたんですか?」

「俺?俺は…、ん〜。将来系…かな〜!」


そりゃそうか。今が一番大事な時だもん…。


「あ、でもちゃんと感謝も伝えたよ!」

「感謝ですか?」

「そう!感謝!例えば草華との出会いとかね!」

「わ、私ですか!?」


先輩の不意にさらっとすごいことを言ってくるの…びっくりするし、内容によっては恥ずかしくなるからやめてほしい。まぁ、そうやって素直に気持ちを伝えられるところはほんと凄いとは思うけど…。


「縁っていうんだっけ?その人と出会ったのは何か意味があるみたいな。俺はその縁を大事にしようと思ってる。こうやって今もサッカーやれてんのだっていろんな縁に恵まれたからだと思うんよね。だからさその縁を大事にしなきゃとも思うし、ちゃんと感謝しなきゃなぁって思って毎年伝えるようにしてるんだよね(笑)」

「縁に感謝…」(ボソッ)

「こうやって今草華に出会えてるのだって何かの縁だって思ってる。てゆか絶対そう(笑)だってさ、学年もつがければ目指してるジャンルも違うじゃん?委員会とかだって違うし(笑)まじ改めて考えると本当ここまで仲良くなるとかすごいよなぁ~」


確かにそうだ。あの日あの教室で出会わなければ…


「あの日あの教室で出会わなければ私がこうやって変われることなんてなかった…。」(ボソッ)

「ッフ、確かに(笑)ずっとため込み草華さんになってたね(笑)」

「なんですかその変な名前!(笑)」

「ほら!こうやってツッコんでくれるとか、最初の草華だったら考えられなかったもん(笑)なんかもう完全興味ありませんみたいな、壁がもう分厚すぎてたもん(笑)」

「うぅ…。」(照)

「ま、だからこうしてツッコンでくれるのも嬉しいし、仲良く居続けてよかった~って改めて思ったわ!」

「今更こんなこと聞くのおかしいと思うんですけど…」

「ん〜?なになに(笑)」

「何で私と仲良くなろうなんて思ったんですか?」

「ほら、俺の名前いった時、俺草華に女みたいな名前だよねってふざけ半分で聞いたの覚えてる?」

「あ、言ってました。」

「あん時さ、草華が否定したじゃん?あれ結構嬉しかったんよね。」

「私がなんて言ったかはあんまり覚えてませんが…。でも否定したのは覚えています!だって名前に女らしいも、男らしいも関係ないじゃないですか。名前にはその人に対する名付け親の願いが詰め込まれているわけ大切なもので性別とかで縛ったり、馬鹿にしていいものじゃないと思うんです。」

「そゆとこ(笑)なんかこー、考えに縛られないというか、その人自身を見てるっていうか〜。とにかく、よく草華は素直になるのは難しいことだからすごいとかなんとか俺にいうけど、俺にとったらそうやって固定概念?みたいなのに縛られずその人自身をみて接してくれる方が難しいはずなのに、それを自然としちゃう草華の方がすごいと思うんだ。そういうので救われる人もいるんじゃないかな。まぁ現に俺が救われたうちの1人なんだけどね(笑)」

「そんな救われたなんて、言われても…(照)」

「ぶっちゃ言うとさ、昔俺名前でいじられること結構あったんよね。んで、逆にそれに慣れちゃったからか、いつの間にか言われる前に俺自身がいじってた(苦笑)」

「先輩…それって慣れたんじゃなくて(ボソッ)…」

「はい!恥ずいしこれでこの話は終わり〜(笑)正月早々深い話しちゃうとか、ある意味俺ららしいな(笑)」


確かに…そっか、今日はお正月だ。そんな深い話をする日ではないよね。それに過去のことをあまり深掘りされても嫌…かな。私もそうだし。


「そ、そうですね!」

「あ、草華は?行きたい大学とか決まった?」

「それも深い話に含まれるので今日は受験系とかNGです!」

「確かに、そうだわ(笑)ごめん、ごめん(笑)」


海に着いてどれくらい経っただろう。こんなに話したのは、先輩がまだ学校にいた時以来だ。

ほぼ何も見えなかった辺りが段々と見え始めてきている。


「うおっ、明るくなってきた!てことはそろそろかな…草華、海の方見てみ!」


…?


…うわぁ…


「…昇ってる。」

「ッフ、待って確かに昇ってるけど…ファーストリアクションそれかぁ!(笑)」

「立花先輩!!めっちゃ綺麗ですよ!?水平線も…ほら…すごい…。」

「めっちゃ喜んでくれるじゃん(笑)」

「先輩もそう思わないんですか!めちゃくちゃ綺麗なのに。」

「思うよ、てか俺はこの景色好きで毎年早く出て参拝してるんだよね。んで、今年は草華にも見てほしいな〜って思って誘った。」

「嬉しいです!有難うございます!」

「お、おう。めっちゃ目キラキラしてんじゃん(ボソッ)」


本当に綺麗だ。今までの自分だったらこの景色も見れていなかったんだろうな。

変わるって難しいことだけど、一度大きく変わればスッと見てる景色も自分も何もかもが変わるんだな…。


「草華。改めて明けましておめでとう。」

「おめでとうございます!」

「あと…今年もよろしくね!」

「え…」

「ほら、さっき言えてなかったから!」

「今年も…(ボソッ)今年もよろしくしていいんですか?」

「何かすごい質問きたけど…(笑)え、待ってよろしくしてくれないの?!」

「あ、いや…そういうことじゃなくて。その…あくまで高校までの友達関係なのかと。あ、いや!私がそう思ってるとかじゃないですよ?ほら、先輩夢もあるし、そんな邪魔とかできないな…というか何というか…」

「高校までとか友達に期限なんてあるわけないじゃん!まぁ確かに学校離れたらあんま会わなくなる友達とかいるけども…それに別に夢があるからって友達いらないとかないかんね!まぁこれも人それぞれだけど…。俺は違うの!友達がいて、家族がいて、色んな人がいて俺は成り立ってる。支えてもらってる一部なんよ友達は。俺にとって大事な存在なわけよ。だからむしろよろしくしてもらわないと困る。」

「な、なるほど。」


友達…。今までは友達と聞くと今までそんないいものだとは思っていなかった。でも今は違う。喜奈に出会って…立花先輩に出会って友達ってこんなにも影響を与えてくれるんだって素敵な存在なんだって思える。でもやっぱり、中学の頃のあの思い出が今だに強く残ってるのかな。私はずっと仲良くいたいと思っても相手は違うんじゃないかって。どこかでまた壊れてしまうんじゃないかって恐れてしまう自分がまだいたんだ…。

本当に私って変われてるのかな。…あーやばい。暗くなっちゃダメなのに、考えて…


「ぬぁ〜!!」


な、何!?めっちゃびっくりした!体伸ばすのにそんな声出る!?


「これから俺がいないから草華、俺がいなくて寂しくなっちゃうんじゃないかな~!(笑)」

「え、何ですか急に!絶対ないです!」

「即答(笑)もうちょいなんかん〜そうですね〜とかさ、粘れたじゃん!(笑)」

「本当、ないと思ったんですもん(笑)」

「ッフ、草華らしいわ(笑)」


寂しくなるとかそんなのない。だって連絡先だって交換してるし。それにお互い夢を追い続けるのにより一層忙しくなるだろう。そんな寂しいとか考えるはずなんて、考える時間なんて…ないはずだ。


「うっし!初日の出も見れたとこだし、ちょこっと海散歩して帰るか!流石にこんな長時間外で歩かせ続けたら、親御さんにも心配かけさせちゃうしな。」

「ですね!あ、でも心配とかはしないと思うんでそこはほんと気にしないでください。」


今までとは違ったこのお正月に特別さを感じるのは、なぜだろうか。もし立花先輩のいう縁によって今があるのだとしたら、私はこの縁を大切にしたい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 会話がとても楽しくて面白かったです! 好きなことを好きと言えない草華に共感しました。 出会いを通じて少しづつ変わっていく草華の心情が丁寧に描かれていて良かったです。 [一言] 楽しい時…
[良い点] どうもです。 Xより拝見しに来ました。 学生時代特有の悩みや葛藤が上手く表現されていて、心理描写が台詞と共に思い浮かべやすく、自身の昔を思い出すような感覚で読ませていただきました。 …
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