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それが薄雪草華だから。


…声優を目指すことを…許して下さい。さ、最後までちゃんと聞いてくれて有難う。」


言った。全て言ったんだ。

思ったことをそのまま言ったから、ちゃんとした文章になってないかもしれない。でも…それでも!気持ちをやっと伝えられたんだ…。



あれから何分経ったんだろう。

気持ちを伝え終わり、沈黙の状態が続いている。

この空気…そろそろ限界。何か、何か話題…


「草華の気持ちは分かった。…私はね、ただ心配なだけなの。確かに、好きなことをしては欲しいわ。だけど人生は楽しいことばかりじゃない。辛いこと、苦しいことだってある。そうなった時、私はもしかしたら助けてあげられないかもしれない。草華より長くは生きられないから。だから1人でもちゃんとやっていける人間になって欲しいの。私がもういなくても大丈夫なくらい安心させてほしいの。…でもだからって言いすぎたわね。ダメね、心配しすぎるとつい強く言っちゃう。もっとちゃんとした伝え方もあったはずなのに…ごめんね、追い詰めすぎたわ。」


お母さんが…謝った…。ただただ自分の思いを理想をぶつけてくる人だと思ってた。心配…してくれてたんだ。

あぁ、そっか。お母さんも同じなんだ。今までの私みたいに、素直な気持ちを上手く言葉にできなかっただけだったんだ。


「草華は優しいから、家族の為だと言えばちゃんと考えてくれるんじゃないかって思ってた。でもその考え自体親として最低だったわ。よく考えると脅しになってたわね。本当はあの子達の見本になる行動も私達を楽させてほしいっていうのもどうでもよかったの。ただ声優っていう職業が心配で、将来苦しんだり、大変な思いをするんじゃないかと思って諦めてもらいたかった。とにかく安定で不安のない人生を歩んで欲しいの。」


やっぱり…そうだよね。いくら心配してくれてるとは言え、声優を目指すことに対してお母さんはやっぱり反対してるのに変わりはない。お母さんにとって声優を目指すとは賭けをするも同然。あの時も…あっくんが海外で夢を叶えるって言った時もすごい反対してたもんな…。


「誰にも頼らず1人で稼げるようになってないと、何かあった時じゃ遅い。私の周りの人で苦労している人を何人も見てきた。お母さん…草華のおばあちゃんだってそうよ。だから私は安定な職に就いたの。草華にずっと話してたものね、分かってくれるでしょ?」


あ、始まった…。

うん、分かるよ、知ってるよ。おばあちゃんが大変な思いをしてきたこと。お母さんはお母さんの思う安定の職場に出会いそこで勤めていること。もう全部知ってる。だって…私にとっては呪文に聞こえるほど何度も何度も聞いてきたから。

でも…


「それはお母さんの人生であって私の人生じゃない…」(ボソッ)


ごめんね、お母さん。もうあの頃のような自分じゃない。変わったの。言うことを聞ける、言われたことに応えようとする娘じゃなくなったんだ。


「心配してくれるのはすごく嬉しい。それにたくさん感謝の気持ちがある。でも…でもね、私は私のやりたいと思ったことをしたい。1回しかない私の人生。自分の挑戦したい気持ちを大切にしたいの。正直正解の見えないこの先の人生を考えるのなんて怖いし、むしろ本当は考えたくもない。だけどそれだとこの人生勿体無いんじゃないかって分かったの。別にやりたいことだけをやるわけじゃない。それに嫌なこと、やりたくないことから逃げてるわけじゃ無い。悔いなく過ごしたいだけ。もしこれがお母さんの言うことを聞かないただのわがままだというのならそれでも構わない!それなら…それで…。」


お母さんとは別の考えをもってたっていい。他の…周りの人と同じじゃなくたっていい。それが私だから。それが薄雪草華だから。自分の考えを…個性を大事にしたい。ただ…それだけなんだ。


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