特別話 結構心にグサッときたな…
「…な、喜奈!」
「は、はい!」
「大丈夫?ボーッとしてたけど頭ずっと使うし流石に疲れたよね。おーい!菖、ちょっと俺ら休憩するわ。菖もあんまり草華さんを振り回すなよ。」
「おっけー!って振り回してないわ!」
「ッフ、菖のやつ(笑)」
「あ、あのすみません。」
「ううん。むしろ俺も振り回してたね。人のこと言えないや(笑)ちょっとあそこの椅子に座ってゆっくりしようか。」
ど、どうしよう。何か恋って自覚したら蒼乃先輩の顔、恥ずかしくて見れない…。草華、ヘルプ!…って楽しそうだし、邪魔するのは良くない。
ん、待てよ。これは仲良くなるチャンスじゃ…あぁ、でもカッコ良すぎて直視できない!もう何でこんなかっこいいの!性格も顔もかっこいいとか罪すぎる!
「あの2人仲いいね。」
「で、ですね〜。」(ボソッ)
「何か珍しいな。」
「立花先輩って女子のお友達とかってあまりいないんですか?」
「いないわけじゃないんだろうけど、あんま女子と一緒にいるところ見ないかな。女子…菖より年上の親戚はいるけどなぁ。」
「立花先輩と家族ぐるみで仲いいんですね!」
「言われて見れば、確かにそうだね。(笑)」
ん、てことはダブルキングの情報をどっちも聞き出せるチャンスじゃない?今後の草華のためにもここは友達として情報を聞き出しますか!
「え、じゃあ立花先輩と蒼乃先輩はご兄弟、姉妹いらっしゃるんですか?」
「ッフ、そんな畏まらなくていいのに(笑)菖も俺も上に1人いて、俺の姉さんと菖のお兄さんが同い年なんだ。」
ん、何だその激アツ情報!!
し、しかも蒼乃先輩のお、お姉さん!?しっかりしてるイメージだし、妹さんか弟さんがいるのかなって思ってた。末っ子…きゅんポイント新たに発見!て、てことはお姉さん毎日蒼乃先輩を拝めるのか…何という羨ましさ…!
「お姉さん…いいな。」(ボソッ)
「喜奈はいないの?」
あ、やばい。口に出てた!恥ずかしい…。
ん?でも勘違いしてる?よかった、セーフ…。
ど、どうしよう、踏み込んだ話してみようかな。
蒼乃先輩引いちゃうかな。でもずっと一緒にいれるわけじゃないし…えぇい!聞いちゃえ!
「あ、はい!お兄ちゃんが1人います!でも、今1人暮らししちゃっててイベントごとの時とかにしか帰ってこないです(笑)お姉さんとどんな話したりするんですか?やっぱり恋愛相談とか…(ボソッ)」
「ん…どんな話か。恋愛ね…。」
え、え、蒼乃先輩答えて下さるんですか!
「恋愛相談は、しないかな。というよりしずらいかも(笑)今日何あったかとか本当何気ない話してるかな。」
「しずらい…(ボソッ)も、もしかして蒼乃先輩今お付き合いしてる方いるんですか!?それとも気になってる方が…。」
ん、待て待て待て、私!自分で踏み込んだとはいえ、流石に踏み込みすぎでは…。最悪だ…答えがイエスでもノーでも聞きたくない、私のバカ…。やばい、蒼乃先輩の顔見れないけど、絶対困ってるよね。
「あっ、すみません(苦笑)今日初めて話したっていうのに、踏み込みすぎですよね。私何聞いてるんだろ、こんな…」
「付き合ってる人はいないよ。それよりそんな気を遣わないで。(笑)」
え、いない…。でもこの言い方って。
「ってことは…好きな人がいるってことですか?」(ボソッ)
【ドックンドックンドックン…】
「うん、いるよ。」
え…いる…んだ。やばい、この流れ的に予想は出来てたけど、結構グサッと心にきたな…ハハ。
でもダメダメ、平常心でいなきゃ。変な空気を作っちゃダメ…平常心。
「そ、そうなんですね!告白とかしないんですか?」
「してないなぁ。あっちは僕に恋愛としての興味はないみたいだしね(笑)」
興味はないって言ってるけど…これは私入れる隙間もなさそう。まぁ流石に予想できる結果だけど。
それよりさっき僕って自分のこと言った…よね。
「そんなことないんじゃないですか!蒼乃先輩ならいけます!え、どんな方ですか?年齢とか!」
「どんな人か…。頭がいいかな、とにかく努力家。僕より頭がいいと思う。年齢は年上だよ。」
あの学年トップともいわれる学力をお持ちの蒼乃先輩より頭がいい?しかも年上?色々と情報が濃すぎて頑張って作ってる笑顔がもっと引き攣りそう…(苦笑)
でも蒼乃先輩って好きな人の話をしてる時、さっきの立花先輩といる時とはまた違うほんわかした笑顔で喋るんだな…。あぁ本当に好きなんだ。
「あ、もしかして頭がいいのも、その方の影響だったりとかあるんですか?(笑)」
「…(照)」
え、嘘。この反応当たりなんじゃ…。
てゆうか待って、めっちゃ蒼乃先輩が照れてる!?
白い肌にぽっと火がついたように頬が赤い。蒼乃先輩にこんなに想われている相手ってどんな方なんだろう。可愛いのかな、かっこいいのかな。
話を聞けば聞くほど、蒼乃先輩の新しい顔を見れば見るほど正直心が縄で縛られているかのようにギュッと苦しくなる。
でもそれ以上に応援したくなる。失恋したのに変なの。でも流石に推しの…いや好きな人の幸せを願い、応援するのは欲張りに含まれないよね。
「僕の先生だったんだ、その人。学校の先生とかじゃなくて小さい頃からの付き合いでよく遊びに行くと色んなことを教えてくれたんだ。」
「あ、なるほど。だから年上…。てことは教えてもらう度に段々と…みたいな感じってことですね!(笑)何か素敵ですね!(笑)」
「うん…そんな感じかな(笑)何か、喜奈って対応とか色々大人だね。」
「そ、そうですか?ただ明るくてうるさい高校生だと思ってるんですけど…(照笑)」
「ッフフ、そんなことないと思うよ(笑)すごい話しやすいし。何か落ち着いて話せる。」
あぁ、なんて事を言ってくれるんだ。そんな嬉しい言葉…ちょっと意識してくれたんじゃないかって勝手に思っちゃうじゃん。そんなことあるはずないのに…。無理だって分かってるのに…。
私は大人なんかじゃない。蒼乃先輩の恋を応援すると決めてもなお、もっと蒼乃先輩のこと知りたい、もっと一緒にいたいって思ってしまう、そんな欲張りな人だ。
「湊ー!そろそろ俺ら休憩だって〜。」
「あ、もうこんな時間か。何か終盤ずっと俺の話に付き合ってもらっちゃってたね、ごめんね。」
「いえ!まさか蒼乃先輩と恋バナできると思ってなかったので、嬉しかったです!(笑)」
もう終わりか…。もう会う機会ないんだろうな。
そういえばまた俺に戻ってる。
「今日は来てくれて有難う。色々話せたし、楽しかった。」
「…はい、私もです。」
これで終わり…。
そんなの…嫌…だ。
「…先輩!またお話できる機会ありますか?」




