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特別話 AランチとBランチ


…大好きな物語が動いている。

音や声を目ではなく、耳で感じている。

視界がぼやける。

鳥肌が立つ…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いやぁ、やっぱりトゥビホ最高だな!」

「う、うん…。」

「草華?あんまり…だったか。」

「ううん…ううん!違う…。最高だった、最高すぎたの!最初の不安が嘘みたい。白黒の物語が一気に色鮮やかになった感じ!もちろん映像化されたから当たり前だけど…剣とかの音も、キャラクターの声もあってより鮮やかになったっていうか…。」

「うんうん、うんうん(笑)わかるぞ、草華!

な、言葉にすんのめっちゃムズいだろ(笑)

でも草華の伝えたいことは分かるぞ。ついに分かってくれたか…嬉しいなぁ。これは完全にハマる側についたな、草華(笑)てゆか最初不安だったのか?(笑)」

「だって、初めて映画館でアニメ観たんだもん。それに1番大好きな漫画だよ?」

「確かにそうだったな。ごめんごめん。じゃあ記念にパンフレットでも買って行くか?」

「やったー!有難う!」



「うし、パンフレットも買えたしお昼ご飯食べ行くか!」

「おー!お腹空いた〜」

「だな、とりあえずフードコート向かうか。」


「それにしても声優さんってすごいんだね。」

「だろ?何か魔法使いみたいだなって思うんだよね。」

「魔法…使い?」

「あぁ。だって白黒で動かない世界のものを声をあてることによって動きだす。まるで命を与える魔法を使ってるみたいじゃん?おし、着いた。何食べ…」


声優さん…魔法使い…。かっこいい。

俳優さんとは違う声だけでの仕事。声だけでキャラクターを動かすだけじゃない、観ている人の心までも動かすだなんて、最強の魔法使いじゃん…かっこいい。


「…か、草華!」

「あ。」

「考えごとか?何食べる?」

「あ、ん〜。あ、これがいい!」

「りょーかい。すみません、えーとこの…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「「いただきます!」」


「ね、あーくん。声優さんってなるの難しいかな。」

「まぁ、そうだな。そのアニメのキャラクターをやるのにも、何なら事務所…自分の入りたい会社に入るのにもオーディション…テストがあるんだ。」

「テスト…いっぱいあるんだ。」

「でも声優って仕事はなりたいものに沢山なれる仕事だって思うぞ。だってほら漫画とか本って色んなジャンルがあるだろ?俳優さんとして魔法使い役をやるにしても限度はある。でもアニメとかにはそういうのがないからな、多分だけど。それにアニメだけじゃないんだぞ。」

「え、そうなの!?」

「ナレーションやラジオ、海外の吹替とかゲームのキャラクター。それに舞台やLIVE、イベントとかにも出演したりする。幅広く活動できるってやつだな。

にしてもこれ美味しいな…。これにして正解だわ。」

「す、すごい…。」

「お、なになに(笑)声優さんに興味あるのか?」

「う、うん…。でもテストに受からないといけない、難しいお仕事なんでしょ…?」

「んまぁ、確かにそうだけど、でもやってみないとそういうのは分からない。」

「そうだけど…。」

「いいか。挑戦とか挑むってことは大事だ。

ん…例えばこれ。いつもAランチにしてる俺が勇気を振り絞って今日はBランチにした。それによってBランチも美味しいっていう発見と出会いを得た。ほらね?

それに今日観た映画だってそうだ。ミゼラは今まで勇気というものつまり挑もうとする気持ちが足りなかった。だけどドラトスの言葉や行動で自分を変えようと動いただろ?そして国まで救った。とにかく自分自身が変わろうと思いそれに向けて自分の足で進んで行かなきゃ何が起きるかなんて分かんないんだ。他人の言葉を信じることも大切かもしれない。だけどそれをどう生かすかが重要になる。もし他人からよくないことを聞いたとして、それを気になるのに自分で確かめようとしないで終わるなんて勿体無いって俺は思うぞ。」


どう生かすか…。

あーくんの言うAランチとBランチの話も例え話に使われることにはびっくりしたけど…でも確かにそうかもしれない。


「それにまだ草華は若い。若いうちに色んなこと挑戦しといた方がいいぞ〜。まぁもし失敗したなら、あぁ自分には合わないんだって次の挑戦に生かせばいい。そうやって沢山経験して成長すればいい。」


挑戦…。そ、そっか…。


「わ、私!…声優さん目指してみようかな。」

「お、いいんじゃないか!俺は応援するぞ!それに多分姉さんだって自分の気持ち伝えれば応援してくれるさ。って俺何かドラトスみたいじゃない?(笑)

勇気を与え、影響も与えてる…。

うわ、ドラトスだわ(笑)」

「ん〜でも自分の身は犠牲にしてない(笑)」

「俺の脳の思考力に対するエネルギーは大量に犠牲になったぞ!(笑)」

「何それ〜(笑)」



こうして私は、あーくんの言葉によって声優という職に憧れをもつようになった。


この日の夕食中、あーくんは海外で仕事をするという予想にもしなかった告白を私の家でした。

テレビ制作をするお仕事らしい…だから声優さんのことも詳しかったのかな…。

大好きなあーくんに会うことが完全に難しくなったと思うと辛く悲しかった。

でもお別れ当日、


「俺もやりたいこと沢山挑戦してくる。だから草華も自分に素直になって頑張るんだぞ。まぁたまにトゥビホとか読んで息抜きするのも大事だけどな(笑)」


ってあの大好きな笑顔で言われた。

冷たくて暗い青色のような感情は消えていき、気づいたら笑顔で別れの言葉を告げていた。顔は所々縦に線を書いたように濡れていたのは覚えているけど、何を言ったのかはあまり覚えてない。


「あーくん、有難う。」


唯一これを伝えたことは、何故かずっと覚えていた。

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