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霜月さんはモブが好き  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻
大学生編

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後日談その11 焦って大人にならなくたっていい

ご無沙汰しております。久しぶりの投稿となってしまい申し訳ありません。

沖縄旅行編、僕が沖縄出身なのでもう少し色々と細かく書こうかなと思っていたのですが……まとまりがなくなってきたので、少し唐突ですが終わりとさせていただきます。


今回のお話からまた、二人の大学生活を書いてまいります!

ゆっくりと大人になっていく二人を、どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m。

 ――霜月しほ。18歳……ではなく、夏休みに誕生日を迎えた彼女は19歳となった。


 もう立派な大人と言っても差し支えのない年齢。

 大学にも通い、車の免許も取得して、選挙にだって行ける。名実ともにもう『子供』ではない。


 霜月しほはもう、19歳の大人の女性なのだ。

 夏休みの過ごし方だって、年相応に大人っぽい日々を送っているに決まっている。


 しかも今は深夜二時。この状況で、彼氏の幸太郎が部屋にいる。

 大人っぽい雰囲気が漂ってもおかしくないシチュエーションだ。


 しかし彼女は、ゲームをしていた。


「くやちぃ……くやちぃ! なんで負けちゃったの? あそこで赤甲羅を投げるなんてずるだわっ。あれさえなければ一位だったのにっ。ぐやぢぃ……うにゃぁあああああ」


 19歳。大学生女子。霜月しほ。

 現在、子供向けレースゲームで敗北してご立腹である。


「もっかい! もっかいやる! もう怒ったわ。一位を取るまで絶対にやめないんだからねっ。見ててね幸太郎くん、わたしのハンドルさばきを……! 免許だって取ったんだから、わたしが下手くそなわけがないの! 最下位なんて、絶対にありえないわ」


 涙目だった。

 言葉が強いのは、その分メンタルがよわよわな証拠である。

 明らかにムキになっていた。冷静さを欠いていて、頭に血が上っている。


 見た目は清楚で奥ゆかしい美女。黙っていればクールで近寄りがたい雰囲気を発するが、こう見えて意外としほは熱血である。負けず嫌いでもある。


 だからこそ、子供向けのゲームだろうかと関係ない。

 彼女は、真剣に『勝負』をしていた。


 そんな彼女を、隣で眺めていた幸太郎が一言。


「がんばれ~」


 もしかしたら、彼が一番悪い奴なのかもしれない。

 甘やかしの権化。悪いところすらも愛する寛容な性格は、時に人を堕落させる。心が広すぎるあまり、しほの悪いところすらも包み込んでしまっていた。


『大人になろうよ』


 本来であれば、その一言をしほにぶつけるべきなのかもしれない。

 19歳なんだから、もっと大人っぽい振る舞いを身に着けようと提案するのが一般的なのだろう。少なくとも、彼氏が一緒の部屋にいるのに放置してゲームに熱中しているのは間違っていると、そう告げた方が後々にとっても良いだろう。


 二人とも、今は大学一年生。しかも十九歳。

 同じ部屋にいるのだから、もっと大人っぽい関係になってもおかしくない。


 しかし二人は、まるで中学生のカップルのようにゲームで遊んでいる。

 あるいは、今時の中学生の方が二人よりも進んだ関係性になるかもしれない。


「しぃちゃんは天才だから、次こそは一位になれるよ」


「ええ、知ってるわ。わたしは天才……一位になれないわけがないもんっ」


 ゲームに熱を入れる彼女。

 熱くなっている彼女を見て微笑んでいる彼氏。


 決して、大人の雰囲気にはならない。

 現在の時刻は深夜二時。明後日……ではない。日付上は、明日には夏休みが終わって大学が始まる。


 今日、幸太郎はしほのお家に泊まりで遊びに来ていた。

 だというのに、やることが未だに『ゲーム』なのが、二人らしかった。


 19歳になっても、しほと幸太郎は焦らない。

 人生はこれからも長い。だからこそ、まだ大人にならなくていいと言わんばかりに、二人はゆっくりと自分たちの道を歩いていた――。

お読みくださりありがとうございます!

現在、新作の『誰にも懐かない飛び級天才美幼女がなぜか俺にだけデレデレなんだが』を連載中です!

近々、新作について良いご報告もできるかもしれません。そちらもお読みいただけると嬉しいです。

どうぞ、今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m

八神鏡

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