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霜月さんはモブが好き  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻
第三部

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第百九十二話 引き伸ばし、じゃなくて


 胡桃沢くるりは、俺としほのラブコメに関して、こんな評価を下した。


『まるで、引き伸ばしじゃない』


 その言葉に対して、俺は反論することができなかった。

 心の奥底では、そうかもしれない――と、思ってしまったからである。


 でも、しほは違う。

 俺なんかと違って、彼女は意志が強い。絶対的な自信を持っている。


 俺のように、自分を疑うようなことを絶対にしない。

 そして、俺以上に、彼女は俺のことを信頼している。


「幸太郎くんはね、私のことが大好きなのよ? もしかして気付いていないのかしら? うふふ♪ こんなに愛されて私はとっても幸せ者だわ……他の女の子に触れたくらいで、こんなに苦しそうな顔をするなんて、とっても素敵よ? 本当に、あなたが愛しくて仕方ないもの」


 しほは、俺が気付けない事を発見するのが上手だ。

 今みたいに、俺の何気ない行動から、心理を読み解く。

 成績は悪いのに、頭の回転は速いのだろうか。時折、ドキッとするくらい、鋭い指摘をすることがある。


「でも、幸太郎くんは自分に対して優しくないから……常に完璧でありたいと、そう願っているから、今でさえあなたは自分に満足できていないのよね? だから、こうやって自分自身が、許せなくなってしまう」


「……そうなの、かな」


 言語化できていなかった自分の心理状況を、代わりにしほが説明してくれた。

 言われてみると、確かにそうなのかもしれないと、知らなかった自分の側面に気づく。


 俺は結構、完璧主義なのかもしれない。

 いや、厳密には、理想の自分を追い求めすぎているのだ。


 だから、理想に満たない自分にイライラする。

 こんな自分なんて――と、否定してしまう。


 そういう部分が、しほには危うく見えていたようだ。


「もうちょっと、幸太郎くんが自分を愛せるようにならないと、恋人になっても上手くいかないわ。だって、あなたがあなたに厳しくするから、きっとどこかで破綻する。幸太郎くんが不甲斐ない自分に怒って、私のそばにいることが耐えられなくなってしまう」


 ――想像してみる。

 この状態で、しほと付き合っていたとしよう。


 最高の彼女と、横並びに立っている俺……ああ、そういうことか。

 つまり、俺はいつかこう考えるようになるのだ。


『中山幸太郎は霜月しほに釣り合っていない』


 付き合うようになれば、その感情がより浮き彫りになるだろう。

 しほはそこまで考えて……と、言うよりは、そうなることを感じ取っていたのかもしれない。


 だから焦らなかった。

 ゆっくりと、俺が成長して、自分を愛せるようになるまで待とうとしていたのである。


(やっぱり……引き伸ばしていたわけじゃなかった)


 それを理解して、疑ってしまった自分を恥じた。


 霜月しほは、俺なんかよりもずっと未来を見ている。

 その時に幸せであることを目標に、今を生きている。


 刹那的に生きているようで、そうではない。

 しほは恋に関して、とても真剣に考えてくれていたのだ。


「でも、ごめんね? それまで、そばで見守ってあげるはずだったのに……体調を崩しちゃったわ。私がいなくなった隙を突かれて、あなたは傷つけられてしまった」


 それから、しほは珍しく怒りを見せていた。


「わたしの宝物を穢すなんて……絶対に、許さないわ」


 彼女は悔しそうに下唇をかみしめている。

 その目には、しほに似合わない闘志の炎が燃え上がっていた――

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の感受性を恨んだ ただ、泣いた
[一言] 真面目に、女の対決勃発か。主人公ほっておいて。 ほんま、頼りない/w
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