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霜月さんはモブが好き  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻
第三部

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第百六十話 繋がり始めた伏線

 ふと、しほの顔が見たくなった。


(いや、でも……インフルエンザだから、会えないか)


 行ったところで顔を見ることはできないだろう。

 でも、さつきさんから様子を聞くことくらいなら、できるだろうか。


 コンビニで何か差し入れを買って、届けるついでとか……などと、少しでもしほに関われる手段を探していた時だ。


 不意に、白い自動車が俺の隣に止まった。

 見覚えのあるその車は、叔母さんのものだった。


 ラブコメの神様は、本格的に俺としほの関係を邪魔しようとしているらしい。


「幸太郎、乗れ……腹立たしいことに、しばらく私がお前の送迎をさせられることになった。忙しいのに、お前の母親はいったい何を考えているんだ? そんなに子供が気になるなら自分で面倒を見ればいいだろうに」


 助手席の窓を開けて、初っ端から不満をぶちまけている叔母さんに、ため息をつく。

 そうか……また監視が始まったのか。


 幼い頃、母が俺を無能だと気付いていない時に、こうやって見張られていたことを覚えている。

 失望されてからはすっかり放置されるようになったが、最近の俺の行動は許容できないものらしい。


 最近、事業がうまくいっていないことも関係しているのだろうか。

 半ば八つ当たりに近い気もするのだが、抵抗するほどの気力もない。大人しく叔母さんの車に乗り込んだ。


 これからは毎日、俺が遊びまわらないように放課後は送迎するのだろう。


 これではしほのお見舞いに行くことはできなさそうだ……まぁ、行ったところで会えないのだ。後で電話して、それで我慢しよう。


「お前の母親はなんなんだ? いいかげんにしてほしいんだが」


「……叔母さんの姉でもあるんですから、直接文句を言えばいいじゃないですか」


「できるかっ。あれでも私の雇い主だぞ? 一応、特別手当をもらっているから我慢できるが……そうでなければ、とっくに会社を辞めているところだ」


 叔母さんは基本的にお金で物事を考える人である。

 だから、俺の面倒を見ているのも、親族の情があるからというわけではない。母にその分の対価をもらっているからだ。


 なので、小言こそあるが、本格的に叱られたことなどは一回もない。あくまでビジネスライクな関係である。それが良いことなのか悪いことなのかは、分からないのだが。


 ともあれ、今はとにかく母が普通の精神状態でないことは、分かった。


「やれやれ、まったく……色ボケた小僧の面倒なんて本当は見たくないんだがな。そういえばさっきの女はなんだ? ピンク色の髪の毛なんて、珍しいじゃないか。お前の彼女か?」


 タバコを咥えながら車を運転する叔母さんは、俺と胡桃沢さんを見かけていたらしい。


 誤解されないためにも、ハッキリと否定しておいた。


「違いますよ……たまたま会ったクラスメイトです」


「あんな色の高校生がいるんだな。ちなみに、名前は?」


「『胡桃沢くるり』という名前らしいですけど……」


 知ったところで、意味なんてあるのだろうか?

 首を傾げていたら、叔母さんが気になる言葉を零した。


「胡桃沢? 確か、うちの取引相手にも、そういう名前の人がいたような気がするな……」


 人名を知ろうとするのは、ビジネスマンの性質なのだろうか。


 名前を耳にした途端、叔母さんは何かを考えこむように口を閉ざした。


 それがなんだか、不気味だった。

 そろそろ、色々な伏線が繋がってくる頃かもしれない。


 停滞したラブコメが、そろそろ動き出すのだろうか。

 本当に、ラブコメの神様は余計なことをするものである――


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 伏線って…どうせ主人公の親達の取引先相手のご令嬢で取引を切られることは会社の存続の危機=主人公一家の生活の危機にも繋がる可能性があるからそれをネタに更に女に迫られたり冷遇してた母親から…
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