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霜月さんはモブが好き  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻
第二部

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第百六話 笑いが止まらない

 ――そうしてついに、文化祭の前日を迎えた。

 特にこの一週間は慌ただしく、忙しなかったが、みんなで協力してどうにか文化祭の準備を間に合わせた。


 おかげで明日は問題なく開演することができそうだ。


(しほとはあまり、おしゃべりできてないけどなぁ……)


 それが唯一、懸念点ではあるけれど。

 しかし、この前頭をなでたおかげか、しほはとても大人しくなった。前まではふてくされたように唇を尖らせてばかりだったが、最近の表情は穏やかである。目が合うと小さく手を振ってくるし、前よりは我慢できているみたいだ。


 おかげでトラブルなく文化祭を迎えることができそうなので、良かった。

 しほが平和でいられていることが、唯一の救いである。


 一方、竜崎陣営はどうも大荒れのようだ。

 何せ、ハーレムメンバーが解散したみたいである。ここ最近、竜崎はずっとメアリーさんにべったりだ。


 以前まではなんとか食らいついていた結月やキラリも、すっかり蚊帳の外である。前回、竜崎がしほに告白するときよりも状態は酷いだろう。


 特にキラリなんてまったく元気がなかった。

 本屋さんで俺と遭遇して以降、覇気がないと思っていたら……今度は竜崎に切り捨てられて、自分を見失っているのだろう。


 これが、自分のない少女の末路だ。

 何者にもなれずに、亡霊のように存在するだけの、抜け殻である。


 ここまでくると、悲しいを通り越して痛々しく見える。

 でも、手を差し伸べる気にはなれない。梓は妹だから親身になれたけど、彼女は他人だ。冷たいようだけど、俺には彼女の思いを背負えない。


 それに、ここで慰めたりしては……ますます、メアリーさんの思惑通りになる可能性が高くなる。


 彼女のシナリオでは『竜崎のハーレムメンバーが俺を好きになる』ということになっているらしい。どうも依存気質のあるキラリに声をかけたら、そのまま執着されそうで怖かった。


 そうなったらきっと、しほが悲しむ。

 俺が他の女の子と仲良くなんてしたら、彼女を傷つけることになる。

 それは絶対に嫌なので、キラリとはしっかりと距離を取るようにしていた。


 はぁ……このままだと、メアリーさんのプロットと一緒だ。

 序盤こそ破綻の気配があったけど、しほの気まぐれのおかげで彼女の物語は持ち直した。以降、まるで離陸した飛行機のように安定した状態を保っている。


 天候が荒れれば、あるいは体勢を崩すこともあるかもしれない。トラブルがあれば、不時着する恐れもある。でも、今のところ、何かが起きるような気配はなく、物語は進行していた。


「にひひっ。笑いが止まらないねぇ……ぜーんぶ、ワタシの思い通りだよ? ねぇ、コウタロウ? そう思わない?」


 メアリーさんはすっかり上機嫌だ。

 リムジンの中で満足そうに笑っている。足と手を組みながら、ふんぞり返るみたいに座席にもたれかかっていた。


「はいはい。そうだな、俺の予想は外れました。ごめんなさい……これで満足か? だったら、帰してほしいんだけど」


 今日もまた、強引に連れ込まれていた。

 文化祭前日ということで、学校側は下校時刻を過ぎても居残りを黙認してくれる。そのせいでなんと夜の八時まで居残りしていた。


 門限があるしほはもう帰宅している。

 すぐに一人で帰ろうと思ったのに、途中でメアリーさんに捕まってしまったのだ。


「いやぁ、明日はついにワタシの作った大作が完成するんだよ? もうテンションが上がって仕方ないんだよっ。ほら、完成間近の作品って一番作業がはかどるでしょう? あれと一緒だね」


「……俺はクリエイターじゃないから、その気持ちはわからないけどな」


「まぁまぁ、そんなにイライラしないでくれないかな? 今はただ、ワタシのおしゃべりに付き合ってくれるだけでいいよ。モブキャラ君でも、それくらいはできるでしょう?」


 相変わらず、メアリーさんは性格が悪い。会話するだけでもなんだか疲れてしまう。

 はぁ……早く帰りたいのになぁ――

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― 新着の感想 ―
[良い点] 義妹の時はなんでこんなどうしようもない、血も繋がってない上に他人宣言した女を気にかけるんだと思ってたけど、別に昔からの縁がある女子全員を気にかけてるわけじゃないのね。元幼馴染と元親友に対し…
[良い点] やいのやいのと文句を言いながら、それでも読んじゃう魅力があるんですかねぇ?(笑) 自分ならスッパリ切りますけど…… [気になる点] 幼馴染みの出番はあるのかっ!?w
[一言] 自分の意志で動くから結果も動くわけで。 中山は竜崎の告白に割って入った時以外、自分から全然何もしないのだから、全力尽くしてるメアリーの計画通りに進んで当然でしょう。 しほの機嫌直すのでさえ、…
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