表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化】寒がり氷結魔導士は、モフモフウサギと地味令嬢の温もりに愛を知る  作者: 高取和生@コミック1巻発売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/14

眼鏡はかけたままで

 パーティ後、ライルは、国王と王妃に謁見した。


「そう……。ミーヤ嬢が付けていたイヤリングに、聖なる魔力が……」


 国王が王妃に訊く。


「ソーニャは確か……」

「聖女の血筋に連なる女性でした」

「なんでラスディと結婚したの? 勿体ない」


 勿体ないって……。


 国王はハッとする。


「ちょっと待て。ソーニャの娘なら、聖女の資質があるのでは?」

「わたくしもそう思ってましたが、ソーニャの話では、動物たちと意思を通わせる力らしいと」


「はあ……王家に嫁がせたくないか」


 動物と意思の疎通が出来るのも、聖女の資質の一つであるが、敢えてライルは黙っていた。

 彼女が聖女認定なんかされたら、魔導士との結婚なんて出来なくなるのだから。



 パーティ後、名残惜しそうな表情のフィーザにお礼を述べて、ミーヤはゴーシェ家の別邸に戻った。


「おお、待っておったぞ」


 レミッシュは、もぎゅもぎゅしながら、ミーヤを迎えた。


「あ! それ、秘蔵のクランベリー!!」

「秘蔵かそうか。確かに美味いわ」


 レミッシュの声を聞き、ミーヤは思い出す。

 王宮でミーヤに指示を与えた子ウサギの声を。


「ああ、あの子ウサギか?」


 チリンと音がすると、レミッシュはあの子ウサギと同じ姿になる。


「あれ、わしの分身なんじゃ」


 もの凄く騙されたような気がするミーヤだった。



 フィーザは久しぶりに、母の実家であるパドロス家へ行った。

 母はパドロス邸の一室で、意識なく眠り続けている。


「母さん、ただいま。俺ね、けっけっ、結婚したい女性がいるんだ」


 フィーザの父の罵詈雑言で心を閉ざした母は、何年も深い眠りに落ちたままだ。


「変わった子だけど一緒にいると癒されるんだ。……今度、連れて来るよ」


 フィーザは母の手に、小さな布を握らせた。

 パーティの日に、ミーヤに貰ったポケットチーフである。


 母の手がその布に触れた時、彼女の瞼がピクリと動いた。

 間もなく意識を取り戻す母に、フィーザがミーヤを紹介するのは、もう少し先の話である。


 その後フィーザはミーヤの別邸に直行した。

 山羊の乳しぼりをしていたミーヤは、輝くような笑顔でフィーザに手を振る。

 山羊の乳を振りまきながら。


 黒いマントを翻し、今日も眼鏡をかけているフィーザはやっぱりカッコいい。

 眼鏡を外すとキラキラ過ぎて、他の女性の目がギラギラするので、外さないでいて欲しいとミーヤは思っている。



 


 さて、ダメ親父やダメ子息はどうなったか。


 毛皮の件や借金もあり、ラスディは降爵した。


 熊に弾き飛ばされたレイラは腰の骨を折り、常に誰かの援助が必要となる。

 諦めたかのように、あるいは誰かへの罪滅ぼしか、ラスディ・ゴーシェは彼女の面倒を見ている。


 ブルーノは、顔に大きな傷が付いたロアナとの結婚を、彼の父により強行された。

 そしてブルーノ夫婦は五年間、領地の牧場で働くことになった。

 五年間で成長出来れば、廃嫡の見直しもあるという。


 動物の世話なんてしたくないと、一年もたたずにロアナは出奔し、その後の行方は不明である。



 ミーヤは今日もウサギたちと戯れ、自作の毛糸で編み物をしている。


 了

レミッシュは島根の大黒様の命を受け、奈良の三輪で修行し、現在は埼玉の秩父で三峯の眷属、白ワンコと遊んでいるそうです。出雲そばと三輪そうめんと、加須のうどんは全部好き。


お付き合いくださいまして、ありがとうございました!!

感想、評価、ブクマ、いいね、すべてに感謝です。


あ、下の☆を★に変えて下さいますと、レミッシュ大神からの厚いご加護が!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 家族に酷い目にあわされながらもたくましく生きるミーヤと、 魔法の達人だけれどもどこか抜けたところもあるフィーザ、 非常に微笑ましいカップルでした。 幸せになるでしょうし、是非とも幸せになっ…
[良い点] 読み始めたら一気読みでした! 王道の冒険譚、シンデレラストーリーで、バトルシーンも迫力があってわくわくしました。 ほんわりしたミーヤちゃん、クールそうに見えて意外に純情なフィーザ様はすごく…
[一言] 遅ればせながら読み終えましたが、完結お疲れ様です&おめでとうございます!! メガネキャラという設定を単なる外見上の特徴だけでなく、それ以外の意味合いもしっかりしていたのが、メガネキャラの作…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ