第三十七話 エピローグ
あのあと、皇国軍による苛烈な掃討戦が始まった。
逃げ惑う帝国兵士をまるで麦の穂を刈り取るように倒していく。
俺も隠しておいた軍馬に跨り、戦場を駆け抜けた。
一通りの掃討戦を終えたところで、アナウンスが流れる。
『レポートを開始します。
特務遂行、討伐数、独断専行――貴官の戦功大と認識。
なお勝利ボーナスが加算されます。
以下を鑑みて、レベルが一〇〇を突破しましたので、現在の伍長から軍曹への昇進が行われます』
「……いつものレベルアップとは様子の違うアナウンスだな」
(戦争イベント特有のものだろうか?)
さっそく、ステータス画面を表示する。
召喚士階級:軍曹
レベル:6
種族:ハーフ(人族×ドワーフ)
HP(体力):1183
MP(魔力):10 →20
STR(筋力):67(+16)
END(耐久):71(+8)
DEX(器用):62(+8)
MND(精神):50
INT(知力):51
Skill
Specific Skill(固有スキル)
種族適性(歩兵系統、銃兵系統)
個人適性(騎兵系統)
Passive Skill
【一刀両断Lv,2】
【縦陣Lv,1】
【奇襲Lv,8】
【挟撃Lv,7】
【狙撃Lv,3】
【夜目LV,3】
【夜襲Lv,4】
【横陣Lv,1】
ボーナスポイント 4
「遂に昇進したか」
召喚士階級が伍長から軍曹に移り変わっていた。
そのことでMP(魔力)も倍増している。
(これで戦術の幅も一気に広がるだろう)
レベルが6となっているのでカンストしても経験値は持ち越しされるようだ。
ふと、轡を並べていたユイナさんが東を指す。
「誰か近付いてくるよ」
「あれは……」
確かに一騎、此方に駆けてくる。
目を凝らす。
特徴的な長い白髪からしてどうやらサラのようだ。
少しして俺達の手前まで来ると、彼女は馬首を翻した。
「二人とも無事だったのね」
「サラの方も上手くやったようだな」
「ええ、おかげさまで」
ただ、と彼女が顔を顰める。
「ケルツ大尉は、私達の独断専行にお怒りだったようだけど」
独断専行とは帝国本隊への奇襲を伺わせたことに対してだろう。
「失敗したならともかく、成功して非難されるとは嫌われたものね」
「……この戦場にはもう用もないから、そこまで気にすることもないだろう」
サラが頷き返す。
「皆も昇進できたみたいだし、さっさとお暇するとしましょうか」
シェルン城 居館
それから二時間後、俺達の姿はシェルン城にあった。
現在は、居館の回廊を衛兵に先導されている。
豪華な装飾品を眺めながら、ここまでの帰路を回想した。
戦後処理が終わったあと、早々に【ハインス砦】を後にした。
鹵獲した軍馬があったので、いちいち駅馬車を待つ必要はない。
本当に機動力を確保が出来たのは大きいと実感した瞬間だ。
【ハインス砦】一番の収穫はこの軍馬だったかもしれない。
シェルンの街に辿り着くと、相変わらず多くのプレイヤーでごった返していた。
たった三日しか離れていなかったのに随分と久しぶりに感じたものだ。
まあ、それだけ濃密な三日間だったので無理もないか。
それと城門からシェルン城に至るまでに随分と目立ってしまった。
サラとユイナさんという二人の有名人に挟まれていたので、致し方ないことだが。
そこで先導していた衛兵の足が止まった。
視線を上げると見覚えのある大きな扉。
鈍い音を立てて開かれた扉からはシェンケル辺境伯の姿が確認できた。
広間の中央付近まで歩み寄り、そこで彼と対峙する。
「卿らがこの短期間で昇進した召喚士官か」
厳かな口調で呟く。
「ふむ、いいだろう……ここまで一番乗りで辿り着いた優秀な召喚士官の証として『エルヴェル五等勲章』の授与と皇国魔導軍の推薦状を与えよう」
「……皇国魔導軍……」
彼が俺たちを見回し、ゆっくりと口にした。
「エルヴェル皇国首都ナインツベルク――それが、卿らの次の目的地だ」
俺達の戦歴に新たなる戦いが刻まれようとしていた。
第一部 完
これで第1部は終了となります。
続編も読んでやってもいいか、という物好きな人がいましたら、気長に待っていただけると幸いです。





