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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第一章 救世主

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第95話 女神を守りきれ - 5人 vs 10万のモンスター -

 アルラトゥ曰く、あのモンスターは分裂の『失敗作』だという。実験をしすぎた結果、あの膨大な数を抱える羽目にはなったが、こうして(しもべ)として利用することにしたようだ。


 なんてヤツだ……!


 もう悠長に語り合っている暇はない。

 周囲には『10万』ものモンスター。完全に取り囲まれている。


 ――いや、アレがモンスターなのかさえ分からない。

 そんな物体を相手にしなければならない。



「くっそ……いくらなんでも多すぎる!!」



 敵の数が多すぎるが、こんなところで諦めるワケにはいかない。



「俺は【オートスキル】で全ての敵を迎撃する……! が……多分、あの数だからいくつかは突破してくるだろう。フォル、ベル、リース……頼むぞ」


 みんなは黙って(うなず)いた。



 やるしかない……。

 かなり絶望的な状況ではあるけれど、それでも俺は……



 絶対に諦めない……!!



「全部倒してやらああああああああああ!!」



 全ての敵――『10万』のモンスターが雪崩(なだれ)となって流れてくる。


 それに反応して【オートスキル】が発動し、こちらへやってくるモンスターを一匹漏らさず倒していった。



「よし……。なんとか食い止められているぞ。これなら……」



 次々に爆ぜては(チリ)となって消えゆくモンスター。 

 そんな攻防を無限かのように繰り返した。


 くそっ、次から次へとモンスターはやってきやがる。



「この黒い塊……! あと何万体いるんだ……!」

「兄様! わたくしも!」

「ああ、頼む。同時に発動しすぎて、そろそろ俺の【オートスキル】でも限界だ……!」

「はいっ! 背後はお任せください!」



 この数だ、さすがに限界がある。

 後ろはフォルに任せるしかない。



『秘奥義!! 覇王轟翔波――――――!!』



 背後で『秘奥義』が放たれた。


 その聖なる光を帯びた波動が敵を一瞬で蹴散らし、蒸発させていく。

 おかげで、かなりの数を減らしていったが……!


 やはり、数が多すぎる。


 最初こそフォルは余裕を見せたが……あのスキルは『秘奥義』だけあり、SPを超大量に消費するスキル。いつまでも発動しておけない。そのせいか、フォルの表情は苦痛に歪む。



「くっ……。もう限界が……! SPが尽きそうです……」

「任せて!」


 メサイアが唐突にスキルを発動した。


『エリニュス!!』



 それがフォルに向けられた。アレは……?


「このスキルは、SPを他人に分け与えることができるの。今、私が出来る事といえばこれくらいだから……遠慮なく全部使って!」


「姉様……ありがとうございます!! これで、秘奥義をもう暫く維持できます!!」



 へえ……!

 メサイアのヤツ、今まで一度も使用したことがなかった新スキルを使ったのか。そんな便利な効果だったとはな!



 メサイアが『エリニュス』で自身の『全SP』をフォルに全て託すと、火力を徐々に失っていた『覇王轟翔波』が再び猛烈なパワーを放ち、モンスターを撃破していった。


「よし!! ナイスだ、フォルとメサイア!」

「メサイアさん、フォルちゃん凄い連携プレーです!」

「おぉ、SP譲渡スキルとはね。シア……グッジョブ!」


 リース、ベルも俺と同じように驚嘆していた。


「その間、私はSP回復に努めるわ。また必要なら言って」

「はいっ!」


 メサイアはSP回復に、フォルは戦闘へ戻った。


「これならいける……いけるぞ! 10万のモンスターを倒せる!」



 やっと半分だろうか。

 あとざっと『5万ほど』……半分を倒せたんだ。いけるだろ!!



「理くん。そろそろわたしも攻撃態勢に入る。フォルちゃんが限界だ」

「……そうだな。よし、ベル交代してくれ。フォルは、メサイアを守るんだ」

「わ、分かりました……兄様」


 フォルはSPを使い果たし、体力も無くなったようだ。

 息が荒い……まずいな。


「それじゃ、わたしも本気で行かなきゃね」


 ベルはボキボキと指を鳴らし、ウォーミングアップすると……



「じゃ――最初から全力全開でいくよ!!

 っりゃああああ――『ホーリーシールド』、『グレイスシールド』、『ロイヤルシールド』、『エレメントシールド』、『ヴィーナスシールド』、『ルーンシールド』、『エグゼキューションシールド』、『オーディンシールド』、『アポカリプスシールド』、『グロムシールド』、『グノーシスシールド』、『ヒーリングシールド』、『ネメシスシールド』、『アークシールド』ぉぉぉ!!!」



 ベルもまた、ほぼ全てのスキルを発動――モンスター共に、鬼の鉄槌を下した。

 途方もない力がモンスターを消滅させていた。それどころか、大地さえも破壊し、地面を真っ二つに割った。



 なんちゅー威力だ……!


 モンスターのいた場所に大きな地割れが発生し、その中に大半を落とした。


「す、すげえなオイ」

「それほどでも。ていうか、最初からこうすればよかったね」



 あはは~と冷静に笑うベル。

 いや、普通『盾』で大地が割れるとは思わん……。


 しかし助かった。

 あのシールドスキルの数々、その猛威。地割れによりモンスターの半数が死滅した。残りはもう10000ほど。埋め尽くされて見えなかった『アルラトゥ』の姿も遠くに見えている。


「あと少し……この10000体を倒せば終わりだ」

「うん……。ところで、理くん。こんな時だからこそ……聞いて欲しいんだ」

「どうした? 俺は【オートスキル】の調整で忙しんだ。手短に頼むぞ」

「手は煩わせないよ」


 と、ベルが近づいて来るなり、背中がピタっとくっついた。

 背と背がくっついている。


「そのまま聞いて」

「お、おう……」

「わたしの本当の名前は――」



 まじか……。

 なんて綺麗で、耳心地の良い名前なんだろう。


 俺はその名前を聞かされ、やっと思い出した。



「そっか、でも、ありがとう。でもその苗字は珍しいな……。俺と結婚したら『彼岸花(ひがんばな)』になっちまうけど」


「そっちの方がカッコいいよ。だってほら、ヒガンバナって『転生』とか『再会』、『思うはあなた一人』なんて素敵な花言葉があるんだよ。わたしのハーデンベルギアもね、『過去の愛』とか『奇跡的な再会』なんて意味があるんだ。だから、きっとキミとの再会は運命だったんだ」


 意外なことに、彼女の本名もそれと同等の意味だから驚いた。


「それじゃ、これが終わったら結婚すっか」

「うん、いいよ」


 そんなアッサリと!

 ていうか、そろそろ話している場合じゃない。


「その話はまた今度だ! 残りの敵が攻めてくるぞ!!」

「そうだ。そうだったね……! こっちは任せて! 旦那様(・・・)!」


「ちょ……!」



 ベルは戦闘に戻った。

 く~~…不意を突かれたなぁ。



 けど、あと少しだ! あとちょっとで全て倒せる!



 敵の数はどんどん減少している。

 完全撃破も目前――いける! いけるぞ!



 1000、500、100と確実に数を減らしていた。



 最後だ……!



「これで、終わりだあああああああああああああああ!!!」



 残りはダブル『聖槍』を投げ飛ばし、複数の敵をまとめて貫き、排除した。



「…………」



 ……終わった。

 アルラトゥ以外の殲滅を完了した。



「…………はぁ、はぁ……」


 さすがに息が上がった。

 俺だけじゃない。

 珍しくベルすらも、疲れが顔に(にじ)み出ている。


「いや~~…さすがに10万体のモンスター相手は汗くらいは掻いちゃうね」


 汗を垂らすベル。息もそこそこ乱れている。


「あ……あぁ、だけどこれで残るはアルラトゥだけだ」

「そうだね……あとはヤツさせ倒せれば……」


 体力は何とか残っている。

 ギリギリかもしれないが、その限界さえも超える勢いで、俺は何としてでもアルラトゥを……!

いつも応援ありがとうございます。

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