第73話 一撃必殺 - 神罰の雷霆・オーディール -
プスプスと煙を上げている黒い物体。
アルラトゥから生み出されたという『ネルガル』の死骸だ。メサイアに長いこと痛めつけられ、ついに絶命したようだ。
「くたばったか……」
「なわけあるか!!」
ムクっと起き上がるネルガル。
ボロボロの状態だが、さすが【不死属性】を持つだけある。
だが――
「これで、トドメだああああああああッ!!!」
「え?」
俺は、一時間ずっと凝縮していた――ありったけの『オーディール』をネルガルに落とした。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
ネルガルは消滅した。
「ふぅ……」
「やったわね、サトル。私がヤツを痛めつけている間に、スキルを溜めまくっていたのね!」
「おう。この『オーディール』は、時間をかけて『聖なる光』を溜めると火力が倍増しまくる特殊スキル。時間があったから助かったぜ」
おかげで、ワンパンでネルガルを倒すことに成功した。
「サトルさ~ん! こちらも終わりました~」
リースが駆けつけてきた。
「お、スケルトンナイトの掃除は終わったか!」
「はい、魔法で全て処理完了です!」
「兄様ぁ~、こっちもです~」
「理くん。終わったよー」
気づけば、みんな集合。
モンスターも全て殲滅完了していた。
レベルも随分と上がった。
「よし、これで【聖地・アーサー】奪還成功ってところか」
聖地は、建物こそ崩れ落ちまくってしまったが、内部のモンスターは全て排除した。これで残るは【聖地・パーシヴァル】とアルラトゥの完全支配する【聖地・ランスロット】だけ。
「よし、みんな。この【聖地・アーサー】で数日ゆっくりしたら、次は【聖地・パーシヴァル】へ向かう。いいか?」
「オーケーよ」
「もちろんです~」
「了解です!」
「は~い」
みんな返事ヨシ。
「――それにしても、人間の気配がまったくしないな」
「うん。もともとは『死の魔王・ゾルタクスゼイアン』に支配されていたし、そのあと、アルラトゥにも攻められ、まともに住める場所じゃなくなっていた。だから、住民たちはどこかに避難しているんだと思う」
と、ベルが淡々と説明してくれた。
なるほどね。
今回で完全に奪還したから、この聖地にも平和が訪れそうかな。……だが、再び攻められる可能性もなくもない。
「理くん。なんだか、とても心配そうな顔をしているね。大丈夫。安心して。この件は、神王様に報告済み。どうやら、花の都・フリージアから数十名の『聖者』を派遣してくれるみたい。しばらくはその人たちに防衛を任せておけってさ」
「それなら、俺たちは次の【聖地・パーシヴァル】へは安心して行けるな」
「そういうこと」
そうと分かれば、いったん休息を。
『家』を適当な場所に展開しようとしたのだが――
「サトル! まだモンスターがいたみたい! また数百……それも、Lv.9000以上の!」
「まじか、メサイア!? ああ、そうか……聖地を囲うように配置されていた例のモンスターたちが聖地に侵入してきやがったんだ……まずいぞ」
中にいたモンスターは全て倒したが、外の敵はレベルが異様に高く、数も多かった。だから、俺たちは空から飛んで来たワケだが。
今度はそれが全部こっちへやって来ているらしい……!
――で、俺たちは囲まれてしまった……
『アンノウン Lv.9500』という全身真っ白の人型モンスターに。
真っ白すぎて不気味だ。
以前、『幻影』とかいうモンスターとも遭遇したが、その気配に近い。たぶんアレの上位モンスターってところだろうか。厄介なのには違いない。
「サトルさん、あ……あれは数が多すぎです! しかも、Lv.9500ですよ!?」
「慌てるなリース。こんな事もあろうかと『トラップ』を設置しまくっておいた!!」
その瞬間――
ドドドドドドドドドドドドド~~~~~~~ン!!!
などと【超猛毒】【超凍傷】【超出血】【超麻痺】【超幻覚】【超爆睡】【超混乱】【超火傷】【超沈黙】【超鈍足】【超忘却】【超石化】【超魅了】【超混沌】【超気絶】【超壊死】のあらゆる異常状態に陥る『アノマリートラップ』が全て発動し、モンスターはジワジワとだが、その数を減らしつつあった。
「あの一時間に、トラップも仕掛けまくっておいてよかったぜ……」
「サトル、あんたいつの間にそんなヤバイ罠も仕掛けていたのよ!?」
「ま、備えあれば何とやらだ。一応で仕掛けまくっておいたが、こうも上手くいくとはな! 外だったら難しかったが、中だからモンスターが分散しないし、纏まってやってくるから、条件は良かったな」
だがそれでも全部ではない。取りこぼしも多数いる。
今一度、力を合わせて――いや! その必要もないな。
これでいく!
いつも応援ありがとうございます。
もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら、ぜひブックマーク・評価をお願いします。感想もお気軽に書いて戴けると嬉しいです。




