第65話 防衛スキル - 火力3倍の【オートスキル】で無双防衛 -
空を埋め尽くすほどの『幻影』モンスターが出現した。恐ろしい数だ。あまりの数に戦慄した。
「な……なんだあの数!」
窓から空を見上げれば、そこにはびっしりモンスターが。
えげつない程の数が群がっていた。えぐっ。
つーか、一体どこから湧いて出てきたんだ……!!
「大丈夫よ。あれくらいなら『家』はビクともしないし、あと勝手に【オートスキル】で反撃してくれるから」
「ほう? 【オートスキル】とな……って、えぇ!? 【オートスキル】だって!?」
「そ。実はね~『家』を魔改造してからというもの、サトル、あんたの【オートスキル】が何故か反映できるようになったの! だから、こうやってモンスターに襲われても防衛できるってワケ。まさに籠城よ。ほら、試しにやってみて」
騙されたと思って、俺は【オートスキル】で『血の煉獄』を発動してみた。まずはお試しだ。
――すると、上空が一気に爆発し、炎に包まれた。
ぼうぼうとモンスターが燃えていく。
最終戦争のような光景だぞ、こりゃ!
そうして、モンスターは燃え上がり勝手に全滅した。
まぢ??
「あ、ありえんだろ……。だがまあいい。これはラクチンだわ!! てか、スキルの威力がアップしとるように見えるが!?」
「してるのよ。この『家』を通すことによって、火力は3倍よ」
「む……? どこかで聞いたセリフだな。あ~、それって」
「そ! よく覚えていたわね。
なんと、この『家』には【オルクス】が永久付与されているの。だから、放たれるスキルは全て火力3倍。どう、凄いでしょ~?」
確かに凄い。今まで威力は半減していたのだが、今回から『3倍』か! これならば、強いモンスターに襲われても、なんとかなるな!
下手すりゃ、レイドボスも倒せるんじゃ!
「ナイスだ、メサイア。褒めてやる。ナデナデしてやる。あとハグさせろ!」
「わーい! ありがと、サトル!」
「ところでところで理くん」
「なんだ、ベル」
「ごはんを食べたら、デートしよう」
「…………なっ!? なんだ、藪から棒に、驚いたぞ」
「だって、理くんから中々誘ってくれないから。だから、わたしから誘ってみた。もちろん、みんなも連れてきてもいいよ。デートと言っても、あるフィールドへ行くだけだから」
「なんだ、狩りのお誘いか。――ふむ、食後の運動にはいいか。乗った」
「あら、ベル。私もいいの?」
「うん、いいよ。シアも一緒に行こう」
「それでは、あたしも!」
「わたくしも!」
リースもフォルもひょこっと顔を出した。
結局、全員かいっ!
◆
食後、とあるフィールド――
湖から一時間歩いたところに、その『遺跡』はあった。
さすがに、一時間徒歩はだるかったが……。
すっかり闇夜に包まれたフィールドは、不気味で何か出てきそうだ。少なくとも、ゴースト系のモンスターは唐突に出現するかもな。
「それで、ベル。こんな薄気味悪いところでデートか?」
「こらこら、理くん。みんなの前でデートは恥ずかしいじゃないか。まあ、もう皆ついてきてるし、ただのパーティ狩りでいいんじゃないかな」
「まー、そーだけどさ。てか、ここに何がいるって……ん?」
『遺跡』のど真ん中に誰かいる。
フードを被った……分からん。幽霊?
「アイツは?」
「紹介するよ。彼女は『ライズ』だ」
「みなさん、ようやく来られましたか。既に、我が同胞の死神『オルクス』『プルート』『モルス』には【聖地・ガウェイン】へ行って戴きました。これは、神・アルクトゥルスの天命でもあります」
はい!?
「なんだ、その【聖地・カフェイン】って……?」
「兄様、それではコーヒーの成分です! 【聖地・ガウェイン】ですよ」
「あー、それそれ。【聖地・ガウェイン】」
「理くん。【聖地・ガウェイン】は現在、星の王『クラウディオス・プトレマイオス』に支配されているんだ」
「ふむ……は? そんなの聞いてないぞ!?」
「星の王『クラウディオス・プトレマイオス』……ですか!? そ、そんな……」
リースが珍しく驚いていた。
てか、顔が真っ青じゃないか……。
「どうした、リース。知り合いか?」
「はい……。その人はエルフの郷【アヴァロン】の長です……」
「まじか!? リースの郷の長だったのか……。ということは、エルフ?」
「はい。プトレマイオス様は偉大な力を持つエルフであり、郷を作った御方です……。ですから、支配だなんて……」
信じられないと――。
「おい、ベル。リースがこう言っているが」
「うん。その通りだよ。プトレマイオスは、エルフ。それも『聖者』に匹敵するほどの最強のエルフだね。因みに、厄介なことにレイドボスではないんだ」
「なに? 意味が分からんぞ」
「まあ、行ってみれば分かるよ。理くん……『家』はちゃんと持ってきたよね?」
「ああ、万が一も考えて【運搬スキル】でミニチュアサイズで持ってきている。……って、まさか本当にその【聖地・ガウェイン】へ行くのか?」
「行こう。この先に未来がある」
「未来?」
ベルは静かに頷く。
「世界は今、闇に包まれ、混沌としているけれど……そんな闇の中にも光はあるんだよ。さあ、いこう皆。この世界の真実を知る時がきた」
手を差し出してくるベル。
俺は――
「メサイア、リース、フォル……ついてきてくれるよな?」
みんな頷いた。
だったら、行くしかないよな!
<< The beginning of the end >>
いつも応援ありがとうございます。
もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら、ぜひブックマーク・評価をお願いします。感想もお気軽に書いて戴けると嬉しいです。




