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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十四章 魔人降臨

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第559話 惰性な神様・数奇な運命・混沌とした世界

 もちろん、倒す。あの巨大生物を!

 覚悟を決めていると、妙な気配を感じていた。……誰だ?


「……あ! この気配はまさか……」


 メサイアが声を上げる。その視線は空に向いているから、俺たちの頭上か――!


 ニトロで滞空を維持しつつ、俺は見上げた。

 すると、そこには『人影』があった。漆黒の翼を生やした堕天使。いや、堕女神。


 そうか、あの野郎が関係していたのか。



「魔人サリエリ!」

「……久しぶりだな、サトル。どうだ、古代モンスターと楽しんでいるか?」


 やはり、サリエリが俺たちを妨害する為に配置したのか。そうだよな、こんなモンスターは見たことがない。

 魔人が召喚した特殊モンスターってことか。


「てめぇ! ナーストレンドを占領したそうだな」

「そうとも。あの島は私の占領下にある。これから世界を闇に染める為に必要な拠点だ」

「そうかよ。直ぐに取り戻してやる」

「だろうな。だから、お前たちを“削除”する必要がある」


 ニヤリと不敵に笑うサリエリ。あの女、不気味に笑いやがって……!


「削除ですって……!」


 不快そうにサリエリを睨むメサイアは、明らかにキレていた。


「そうさ、メサイア。女神も……神も、そして世界すら削除する。一片も残さず……消す。そして、魔人だけの新世界を創造するのだ」


「くだらないわ! あんたなんか封印されていればよかったのよ」

「すべては神王のせいさ……! 恨むなら、そこの神にもなれぬ出来損ない以下の半端者(・・・)を恨むがいい!」


 俺を指さすサリエリは、そんな悪口を吐き捨てやがった。半端者だとぉ!? そりゃ、俺は昔から完璧じゃないさ。

 この世界に来る前は自堕落した人生でマトモじゃなかった。毎日毎日ゲーム三昧。ネトゲーの仲間はいたけど、でも現実(リアル)は終わってた。

 だらだら過ごしていれば時間もあっという間に過ぎ、気づけば多くを失っていた。


 ――でも、後悔はない。


 あれも俺だからな。

 あの経験があったら、今がある。


 半端者でも、ここまで来れた。メサイア、リース、フォル、そしてベルやオルクスたちに出会えた。そこにミクトランとソフィアを加えてやってもいい。いや、全聖地の人たちも追加だ。


 そうだよ。俺はこの世界が好きなんだよ。だから壊したくないし、壊されたくない。


 何度も何度も現れる破壊者。

 そんな馬鹿共を阻止するのが俺の役目。使命なんだ。


 惰性な神様(アルクトゥルス)の、数奇な運命(フォーチュン)だ。この混沌とした世界(バテンカイトス)の――。



「サリエリ! お前はなにも分かっちゃいない!」

「なんだと……?」


「俺は自分を完璧だとは一度も思ったことがねーんだ。ダメなところは、メサイアたちが支えてくれるから問題ないのさ」


「……これだから人間は劣等種……魔人に及ばぬ下等生物なのだ」



 興味を失ったかのように後退していくサリエリ。どうやら、この場は古代モンスターに任せるらしい。野郎、現場を見に来ただけか。



「う、うわっ! あ、兄様!」



 いかん、フォルたちが危険だ。

 小舟は激しい波で流されている。あの巨大モンスター『モサモサ』が何度も体を海面に打ち付けているせいだ。



「サトル。早くあのモンスターを倒しましょう」

「ああ、サリエリの邪魔がないから何とかなるはず」



 メサイアを抱いたまま、俺はニトロを微調整して海へ接近。モサモサの“殺気”に反応して、超覚醒オートスキルが発動する。


 聖属性魔法スキル【オーディール】が激しい閃光を生成。それは雨のように降り注ぎ、海の中にいるモサモサに目掛けていく!

 これならどうだ……!?


 激しい衝撃で水しぶきが上がるが、手応えがあまりない。

 (かす)っただけか?



『――グ、ルゥゥゥゥウ……!』



 ざぶーんと、再び海の中から姿を現す。俺のオーディールは命中しているようで、ダメージは与えられていた。……よし、効いてはいるぞ。



「やるじゃない、サトル!」

「可能ならメサイアも手伝ってくれよな」

「そうしたいのは山々なんだけど……私のスキルではダメージが与えられないわ」


 マジか。女神のスキルでも無理なのか。

 やはり、俺のオートスキルで倒すしかない。


 旋回して俺はモサモサの影を追う。空中からなら、あの巨大な影は丸見えだ。



(サトルさん! あたしです。リースです!)

「こ、これはリースのテレパシーか!」


(はいっ。あたしたち、邪魔だと思うので退避しますっ!)

「どうやって!?」


(こうするんです!)



 船の辺りに巨大な魔法陣が展開していた。ま、まさか……大魔法の反動で船を加速させるのか!


 予想通りだった。


 リースは大魔法ホーリーグレイルを放ち、その爆発力で船を前進させた。物凄い加速を得て一気に彼方へ。どこまで行く気だ……!?


 いや、今はこれでいい。

 フォルとリースが退避してくれたおかげで、俺は本気が出せる。


 オートスキルを“任意”に変え、俺は右手に光を集中させる。

 喜び、怒り、悲しみ、楽しさ……全ての感情をこの手に。



「エンデュランス!!」



 瞬きするよりも速く到達する俺の最大にして最強スキルは、海を割り――モサモサに激突して海底の奥深くへ押し込めていく。

 やがて深海で大爆発を起こし、それは何度も連鎖。



Good(グッ) Job(ジョブ)!!】



 討伐完了のメッセージが表示され、俺はモサモサ撃破を確信した。



 よっしゃあっ!



「倒したぜ、メサイア」

「さすが私のサトル! かっこいいわっ!」



 ぎゅっと抱きしめられ、俺は顔が熱くなった。……こ、これは予想外のご褒美だ。

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