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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十四章 魔人降臨

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第556話 魔人化解除の杖

 覚醒ヒドゥンクレバスは巨大すぎる氷塊を作り出した。

 寒気がするほど冷気が凄い。

 これなら、あの“二体”を凍らせられる――!



「いけええええッ!」



 無数の氷塊が魔人に二体に激突。そして、瞬時に凍結をはじめた。……おぉ、かなりの速度だぞ。

 当然、魔人は抵抗を見せるが、成す術なく氷に飲み込まれていく。


 カチコチと氷に覆われる魔人は動きが鈍くなり――やがて凍結。動かなくなった。



「成功ですね、サトルさん!」



 自分のことのように嬉しそうにするリースは、真っ先に俺のところへ。うんうん、可愛い。この笑顔は無敵・最強! 本当に癒される。


 つい顔が砕けていると、メサイアの殺意の波動が俺の胸を貫いた。……イカン、最近は機嫌が悪いらしい。以前ならほぼ無関心だったのだが、なにか変わったようだ。

 そういえば、さっきプロポーズがどうとか。


 首を傾げていると、チャルチも合流。



「お疲れ様です、サトル」

「ああ、チャルチも大活躍だな」



 そんな中でグレンは、(ひざ)をつき両手すら地面につけていた。



「……マモレナカッタ」



 と、小さく弱弱しくつぶやくグレンは自信を喪失(そうしつ)しているように見えた。ま、まさか……さっきの戦闘で貢献(こうけん)できなくて、自分が情けないと感じたのだろうか。思いつめないといいが。



「グレン、気にしすぎるなよ」

「慰めはよせ。私は……修行不足だ。師匠の教えに背きすぎた結果だ」


 そりゃそうなのだが、今更気づいたのかよっ。

 残念だが、グレンのファイヤーボルトはまるで効いていなかったしな。完全に修行不足というか、実力不足である。


 掛ける言葉が見つからずいると、フォルがグレンに対して「さっさとシベリウスさんのところへ頭を下げに行くのです。それがあなたの運命ですから」と助言していた。

 フォルが言うと説得力がある。聖女だし。



「その言葉に救われました……聖女様」



 いや、フォルは当たり前のことを言っただけだがな! とはいえ、フォーチュンの導きであることに違いはない。

 グレンはようやく決意したようで、背を向けて街の方へ向かった。やれやれ、ようやく重い腰を上げたか。これでパワーアップしてくれるといいんだがな。



「さて、この氷漬けの魔人二体をどうするか」

「そりゃ当然、魔人化を解除するのよ」


 と、メサイア。

 そうだな。もともとフォルの母親をそうするつもりだった。となると『聖杖』の出番だ。リースの神器カファルジドマなら、この二体を人間に戻せるかもしれない。



「どうなんだ、リース」

「やってみます……?」

「不安がありそうだな」

「はい……正直、成功するかどうか未知数すぎて」

「でもまあ、いきなり本番じゃなくてよかったかもな。ちょっと申し訳ないけど、あの二体には実験台になってもらうしかない」


「そうですね。あたしの力が足りるかどうか心配なので」



 とはいえ、リースほどのエルフならきっと大丈夫さ。

 魔力だってパーティの中ではトップクラス。いつも大魔法を乱発してくれているほどだからな。


「やってみてくれ。また暴れ出しても、俺が止めるさ」

「わ、わかりました!」


 やる気を出したリースは、肉球のついた杖――『神器カファルジドマ』を取り出した。相変わらず可愛らしい見た目をしている



「これで魔人化を解除できるのかしら」

「大丈夫さ、メサイア。リースを信じるんだ」

「そうね。今はリースと杖の力を信じましょう」



 杖を構えながらもリースは一歩ずつ凍結魔人に近づいていく。さっきまで暴れていたからな、怖いのだろう。


 だが、敵が動くことはない。

 俺の覚醒ヒドゥンクレバスによって完全凍結しているからな。



「……いきます!」



 神器カファルジドマを向けるリースは、魔力を高めていく。

 すると杖が反応を示した。

 白く光り始め、それは魔人二体を包み込む。なんだか神々しい輝きだな。いや、それもそうか。そもそもバテンカイトスの――その相棒(フォース)の杖。

 あれなら魔人を解けるかもしれん。

 いや、解ける……!



『………………!』



 氷の中で二体の魔人が形を変えていた。あれは明らかに縮んでいる……!



「おぉ、兄様! あれは間違いなく元に戻っているのでは!?」


 フォルの言う通り、魔人の姿が崩壊しはじめていた。これはイケるんじゃないか。

 そうして待つこと数分。


 ついに魔人化は解除され、もとの『人間』に戻った!



「……やったわね! さすがリースだわ!」

「えへへ。ありがとうございます、メサイアさん」



 リースは頬を赤くして微笑んだ。

 氷の中ではナーストレンドのおじさんとその息子が無事に眠っていた。あとは氷を解除するだけだ!


 俺がスキルを解除すれば、それで二人は無事だ。

 直ぐに覚醒ヒドゥンクレバスを終了させた。


 魔人化を解除完了……!

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