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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十四章 魔人降臨

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第551話 料理レシピ本 Lv.9999

『…………グ、ギィ』


 亡霊騎士ランスロットは、オーゼラの婆さんの拘束魔法によって手足を縛られていた。……スゲェ。魔法の縄が蛇のようにまとわりついていやがる。

 これはエルフの――いや、賢者のスキルなのか!



「今じゃ、サトル!」

「おう!」



 俺は即座に移動を開始、ランスロットへ接近しようとしたが――


「ランスロットが動けなくなったぞ!」

「これなら俺らも余裕だよなァ!」


 生存している冒険者二人組が先に前へ出てしまった。……あ、バカ! せっかくの命を無駄にする気か!


 その直後、ランスロットは拘束されているにも関わらず暴れまくった。身動きし辛い分でダメージが低かったのか、二人の男は吹き飛ばされた。俺のところまで。



「…………が、は」

「クソ、こ、こんなはずでは……」


 あれで下半身を失うのかよ。そんなのアリかよ!


「お、おい!」


 俺は剣士らしき若い男に声を掛けた。



「……た、たのむ」

「え?」

「かたきを……とってくれ…………」



 絶望しながら絶命する二人。せっかく助かったのに、バカ野郎。

 こうなっては蘇生魔法もクソもない。


 あのボスモンスター、俺が今まで出会った中で最悪に最強クラスだぜ。しかも、人間をここまでバラバラにしちまうとは。

 ヤツに感情なんてものはない。ただ、人間を蹂躙(じゅうりん)する為に君臨した大ボス。

 なぜ、湖の底にいるのか定かではないが――今はそんなことはどうでもいいな。



「俺がやるしかない」


 改めて接近しようとすると、メサイアが叫んだ。


「サトル! スキルで分析してみたけど、ランスロットに弱点はないわ!」

「……了解」


 ウィークポイントすらないとはな。そんなボスが存在するなんて聞いたことがない。俺がプレイしていたサクリファイスオンラインでは、ボスモンスターに弱点くらいは存在したものだがな。

 この異世界のボスモンスターは桁違いの進化を遂げているのか!



「ホーリーグレイル!」

覇王(はおう)轟翔(ごうしょう)()!」



 今度こそと思ったが、リースの聖属性魔法とフォルの秘奥義が炸裂していた。さっきの状況を見て居てもたってもいられなくなったのだろう。


 反撃される危険(リスク)もあるが――しかし、今は二人の最大にして最強スキルがありがたい。

 まず、リースのホーリーグレイル。

 火、水、風、地のあらゆる最強魔法スキルを掛け合わせ、更に火力を高めたエルフ族の秘伝魔法スキル。これを今使える者は指で数えるほどらしい。


 聖属性魔法となった奇跡の大魔法は、巨大な魔導レーザーとなっていく。


 一方でフォルは両手を前に出し、指二本と親指で三角形を作る。(それ)を前へ押し出し、秘奥義を放つ。その光景はリースと同じく城を覆いつくそうなレベルの魔法。

 巨大な、巨大すぎる波動砲。


 まばゆくも神々しい閃光が混じり合い、合体技となって向かっていく。もしかして、もしかしたらこれならランスロットを倒せるか? そうでなくとも、ダメージくらいは入るはず!



 ――いや、慢心するな俺!



 ここは俺もいくべきタイミングだろう!


 オートスキルを“任意”へ変え、俺はそれを放つ。



「エンデュランス!!!」



 神王の槍は、神速となって亡霊騎士ランスロットを穿(うが)つ! よぉし、三人の力ならヤツをぶっ倒せるぞ!



『グオオオオオオオオォォォォ……!!』



 あのランスロットが三人分のパワーにギリギリ耐えているような状況になった。こりゃ、マジでいけるかもしれん。


 だが、もう一押しだ!


 あともう一人の力が欲しいところ。


 誰か、力を貸してくれ!!



「なら、私しかないわよね……!」

「メサイア! お前、なにか技があったか!?」



 すると、メサイアはダブルピースを構えた。え、なんでそんなポーズを……って、まさか!



「ホワイトビーム!!」



 すると、ズドオオオオオオォォォと怪光線が放たれた。

 そういえば、以前に『ネメシア』がそんなスキルを使っていたな! なるほど、メサイアも女神専用スキル『ホワイト』の使い手。なら、使えてもおかしくないわけだ。



 これで四人分のパワーだ!



『ガアアアアアアアアアアアアアッッ!!』



 さすがのランスロットも四人分の猛攻に耐えかねていた。押し切れば勝てそうだぞ!

 だがしかし、それもヤツは抗った。

 なんてバケモノ!

 俺たち四人分の最大スキルを押し返そうとするのかよ!

 円卓の騎士ってのは……本当に“伝説”なんだなと俺は感じた。



「……やれやれ。かつての聖騎士が今や亡霊とは憐れなものよのぅ」

「婆さん!?」



 ぴょこっと俺の横に現れるオーゼラは、軽くため息を吐くと『本』を武器召喚していた。どうやら婆さんの武器らしい。



「ついにこれを使う時が来たようじゃ」

「な、なにをする気だ?」


「――これは『料理レシピ本 Lv.9999』!」



 婆さんは本を適当にめくると、そこから『カツ丼』がパッと現れた。へえ、便利だな! そして、オーゼラはカツ丼をガツガツと食い始めていた。


 え……?



「腹減ったのかよ!!」

「空腹じゃ!!」



 こんな戦闘の時に飲食はいい度胸だな!!

 つーか、少しは働けよ!!



「ちょっと、オーゼラさん! 真面目にやってよ!」



 さすがのメサイアもブチギレだ。

 だが、婆さんは冷静だった。



「真面目にやっておる」

「はあ?」

「今のカツ丼は、ただのカツ丼ではない。魔力を高める効果のある究極のカツ丼。勝利へ導いてくれるカツ丼なのじゃ」


 勝つってそういう意味のカツ!?


 なんてバカバカしいと頭を痛めていると、その瞬間。



心臓完全掌握(ハートキャッチ)!」



 いきなり腕を伸ばし、掴むような動作を見せるオーゼラ。その手には“心臓”のようなものが握られていた。


 も、もしかしてランスロットの心臓を掴んだということか――!?

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