第56話 海底洞窟ダンジョン - 女神の超強い新スキル -
ファントムドラゴンを倒したら、アイテムをドロップした。
【UR】アイテム『ファントム』
アイテムを使用するには、どうやら、完成させなければならないらしい。よって――『エクサニウム』という特殊な鉱石が必要だとか。なるほど、分からん。
ということで『ファントム』を完成させるべく『海底洞窟ダンジョン』を目指すことになった。そこの最下層で材料が入手できると、メサイアが言っていた。偶然、地図をゲットしたし、本当偶然だなぁ。
そんなワケで……パーティメンバーはこうだ!
俺、メサイア、リース。以上!
メサイアは『家』を建築中で動ける気配はなかった。
しかし――【建築スキル】は、効率が落ちるが【オートモード】が可能のようだ。それに切り替えたらしく、メサイアも一緒にダンジョンへ行けるようになった。
フォルとベルは修行中なので仕方ない。
放っておく。
◆
前回、イカ――『バスターデビルクラーケン』に襲われた海辺に到着。そこに、よ~~~く見ると『ワープ』があった。
あったのかよ!
海辺のど真ん中に。
「あれが『海底洞窟ダンジョン』へ繋がっているみたいね」
「あそこかよ。あんな分かりやすい場所にあったんだな」
「ええ、前は見つけられなかったし、イカにも襲われてそれどころじゃなかったからね」
まあ、そりゃそうだが……。
かなり目立つところにあった。てか、他の冒険者も普通に出入りしとるし!
気を取り直して、ダンジョン内へ。
【 海底洞窟ダンジョン - バテンカイトス 】
ダンジョン内は『巨大海底洞窟』が広がっていた。
どこまで続いているか分からない程に奥行があり、見るからに深そうである。深海まで繋がっているんだろうか。
更に不思議なことに、海の中にいるような錯覚さえある。でも、空気はある。息は出来るのだ。これが実に面白い。どんな原理なんだかね。
そんな洞窟中には、水属性モンスターもちらほら。
ノンアクティブの『イカゲソ』がいる。弱そう。
「サトル。ここはまだ弱いモンスターばかりだけれど、奥には『ハンマーヘッドシャーク』や『デスアンコウ』とかいるから、気をつけるのよ」
「そうだな、いくら『聖者』になったとはいえ、油断大敵だな」
さて、向かおうとした時、
「サトルさん、これ♪」
リースが何かを拾った。
「これ?」
「タコさんです♪」
超毒々しい色合いのタコを拾っていた。
なんだあのグロデスクなタコ……。それを普通に掴んで拾っているリースもすげぇ……。気持ち悪くないんだろうか。きもかわってヤツ?
いや、オイ。
それはマズイだろ!?
プスッ……。
リースは刺されー―『超猛毒』を受けた。
顔がみるみるうちに紫に変色し、直立不動のままぶっ倒れた。
「アッ~~~~~~~~~! 言わんこっちゃない!! おい、メサイア! リースが泡吹いて倒れたぞ! 超猛毒状態だ!」
「任せて! 『モルス:リカバリー』!」
最近、メサイアは新しいスキル覚えていたらしい。
いつ覚えたんだか。
因みに、スキルの詳細だが――!
①【アタック】HPの半分を犠牲にし、対象のモンスターに[ATK]の50000%のダメージを与える。一定確率で[塩煎餅]をドロップする。
②【ディフェンス】SPの全てを犠牲にし、モンスターの攻撃を一切受け付けない[聖域]を展開する。この[聖域]は10分間有効。
③【リカバリー】対象の全ての異常状態を回復し、HPとSPを中回復する。10分間のクールタイムが存在する。
と、このように3つに別れているらしく、状況に応じて変えられるらしい。便利だな!
「た……助かりました! ありがとうございます、メサイアさん」
「もー、リースってば、ぽんこつなんだから」
あっ……。
とうとう、メサイアからも『ぽんこつ』と呼ばれてしまったか。
「うぅ……」
リースは頭を抱えている。
俺は可愛いから好きだけど。
◆
紆余曲折あったが、最下層前。
道中、メサイアが足を挫いてしまい、おかげで俺が背負う羽目になった。リースのことを『ぽんこつ』と言っていたが、この女神も大概である。しかしまぁ、おかげで俺は得をしている。棚から牡丹餅だな。
「……ところで、サトル。随分とゆさゆさしているけど、もしかして、私の胸の感触を楽しんでないわよね?」
「さあ……どうだろうか……。ほら、このダンジョンって足場が泥濘んでいるし、仕方ないだろう?」
もちろん、ワザとだけどな!!
「むぅ……。そうね」
納得がいかないらしいが、納得してくれた。
――で、なんやかんや、ついに洞窟の最下層。
そこには、ボロボロに崩壊した神殿があった。
そんな神殿のど真ん中に『宝箱』が置かれていたが……。な~んか、胡散臭い。トラップ臭がプンプンしやがる。てか、どう見てもトラップだろアレ。
だが、あの中に『エクサニウム』が!?
トラップと分かっていて、宝箱に手を伸ばそうとした、その時――
ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
「はい……?」
眼前に『キングデビルオクトパス』が出現した!!
レイドボス発見
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「レイドボスかよ!?」
「あのタコを倒さないと、宝箱は開けられないみたいね」
「くっそ! そんな罠があったとはな……分かってたけど!」
一歩踏み出したところで、触手が飛んでくる!
リースが捕らわれてしまった。
「リース!!」
――って、まて。
この光景、どこかで!!
そうだ、イカからタコに変わっただけ!!
が、ヤツはレイドボスだ。油断はならん!!
と、とにかくリースを助けねば――いや、遅かった。
気づくと『毒針』が俺の足に刺さっていた。
『超猛毒』を受けてしまう……。
「ぐぅっ…………」
その間にも、触手がリースの服をビリビリと激しく破り、更に……体に、手足に巻き付き……! 体を引き延ばし始め…………ごくり。
「いやぁ~~~~~~!!!!!」
「リース!!」
えっちだ…………ちっがーーーーーーう!!!
「あのクソタコ!! ぶっ殺す!! メサイア……『モルス』を!」
「分かってるわ! ちょっと前も使ってるから再使用まであと『3分』よ!」
クソッ……!
あと3分……持つか!?
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