第545話 謎の未鑑定アイテム
メサイアから補助スキル【オルクス】を受け、更にフォルから支援スキル【グロリアスブレッシング】と【グロリアスアジリティ】を受けた。
オルクスは、あらゆるダメージが三倍。
グロリアスブレッシングは単純にステータスが五倍アップ。グロリアスアジリティは攻撃速度と移動速度が五倍アップ。
これだけ補助が掛かれば、俺は最強。
更に、リースから手を握られ、天使の微笑みで応援されたので、俺のやる気が百倍アップ。
俺は超覚醒オートスキルを発動して【世界終焉剣エクスカイザー】を生成。武器を召喚して構えた。
「これであのピラニア魚人を倒せるはずだ」
「気をつけて、サトル。あのモンスター、レイドボスに匹敵するから」
だろうな。アレはもう通常モンスターの域を超えている。つまり、ボス属性モンスターといっても差し支えなし。最初から本気でいくしかない。
メサイアの忠告を肝に銘じた俺は、安全地帯から離れて一人で突撃。
直ぐにピラニア魚人がこちらに気づく。一体がこちらに迫ってくる!
【エロンガータ】
【詳細】
ピラニアの魚人。
ボス属性を持つ人型モンスター。
武器の聖剣カリバーンに注意!
ヤツはエロンガータと言うのか……確か“細長い”って意味だよな。なにが細長いのだろうか? ……ああ、もしかしてあの聖剣のことか!
レイピア並みに細長い剣。あれが由縁らしい。
気づけば、その細長い聖剣カリバーンは俺の頬をかすめていた。……え?
ウソだろ。いつの前に攻撃されていたんだ。まったく気づかなかった。この魚人野郎、なんつう攻撃速度だ!
「…………ぐっ!」
世界終焉剣エクスカイザーを構え直し、俺は敵の攻撃を防いでいく。そういえば、武器を使っての接近戦なんて久しぶりだからな。そりゃ、腕も鈍るわな。
「兄様!」
「大丈夫だ、フォル。今は久々の剣で慣れてないだけだ」
「で、ですが!」
「心配すんな。勝つ自信がある」
エロンガータの乱れ突きが俺を襲う。なんつう動きをしやがる! 魚のクセに!
てか、湖の底にこんな剣使いの魚人がいるとは思わなかったぞ。
オートスキル【ヒドゥンクレバス】と【ホーリーブレイド】を自動で発動しつつ、俺は精一杯の力を振り絞り――世界終焉剣エクスカイザーで斬撃を飛ばした。
高さ五メートルを優に超える刃の衝撃。それはエロンガータの体のド真ん中に命中した。斬撃はそのまま貫通していった。
『…………ギョッ!』
小さな悲鳴を上げるエロンガータは、真っ二つになって……爆発した。って、なんでだよっ!
ドォンと打ち上げ花火みたいな音と共に、モンスターは消滅したのだが――おいおい、爆発付きとは道連れにする気満々じゃないか。
なんて厄介な魚人なんだ……。
なんとか一体を倒せたので、俺は一度安全地帯へ戻った。
「……戻りっ」
「お疲れ様、サトル。よくあの魚人を倒したわね」
メサイアが驚きながらも、労らってくれた。……煮干しを食べながら。なに食ってんだよ、お前は。つか、煎餅は飽きたのか? ……飽きたんだろうな。
「よかった~! サトルさん、ご無事で!」
ぴょんと飛び跳ね、抱きついてくるリース。生きていてよかったぜっ。
そしてそして、フォルも当然抱きついてきた。
「兄様ぁん! おケガはありませんよね!?」
「だからって俺の腹筋をまさぐるなっ」
「えへっ」
絶対にわざとだろう!
なんとか撃破できてよかったけどな。それにエロンガータはいくつかアイテムをドロップしたのだ。
【入手アイテム】
・ピラニアの歯×2個
・カリバーンの欠片×1個
・[未鑑定]の帽子×1個
・エクサニウム×1個
・エクサダイト×1個
地面に並べると、メサイアが興味深そうにアイテムを見つめていた。
「へえ、サトル。それさっき入手したアイテム?」
「そうだ。ヤツが落とした」
「凄いわね。こんなにドロップするんだ」
通常のモンスターを倒しても、ここまでアイテムを落とさない。強い敵だからこそ、報酬もたくさんあるわけだ。
経験値も膨大なのだが、残念ながらレベルアップには貢献していない。なぜなら、俺たちはアホみたいに高レベルだからな。ひとつ上げるのにも、何万体も倒さなきゃいけない。 ちなみに、俺はLv.100000でカンストしちゃってるけどね。
それでもあのモンスターに苦戦するのだから、自身の武具が弱すぎるのかもしれない。考えてみれば、まともに精錬強化もしてないしな。
「メサイアさん、この[未鑑定]の帽子が気になりますね!」
と、リースは楽しそうにアイテムを拾い上げる。鑑定スキルなんてあったかな。
「鑑定しよっか?」
「鑑定スキルをお持ちなのですね!」
「うん、まあね。私、ヴァールハイトっていう特殊なスキルを持っているの。これ、鑑定もできるみたいよ」
「おぉ~!」
そや、そんなスキルもあったな。久しぶりに耳にした気がする。
メサイアはヴァールハイトを使用。アイテムを鑑定した。……すると、それは意外なアイテムだった。




