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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第一章 救世主

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第50話 聖者 - 早々に即死したけど更に究極最強 -

 神王に案内されると、そこは何もない白い空間だった。


「なにもない……真っ白。反応に困るほど白いな」



 そんなところで、ポツンと人がいた。

 ありゃ……誰だ?



「皆さん、紹介しましょう。この美しい黄金の髪、この部屋のように真っ白の肌、愛嬌たっぷりの絶世(ぜっせい)の美女は、私の()です」



「……は?」



 あの姿――メサイアそっくりの!

 【リミットブレイクⅡ】の時に現れた女神じゃないか!



「……え、神王の妻?」

「はい、そうです。私の妻です。可愛いでしょう。【死の呪い】のせいで霊体ですけどね」


「そ、そりゃ分かってますが……あんた、結婚していたのかよ!! しかも、相手はメサイアそっくりの金髪美女!」


「ええ、しかも妻は【原初の女神】です。つまり、全ての女神の源というわけですな」



 ……【原初の女神】だって……。



「はじめまして――でもないですね。理、あなたとは一度お会いしていますね。でもまだ名乗ってはいませんでした。私は『ソフィア』。神王様とはラブラブで、もう100億年くらい妻をやっています」


 と――ソフィアは、神王・アルクトゥルスにベタベタしていた。

 あの感じだと本当らしい。


 てか――100億年。

 途方もねぇ……!


 つーか、俺等おかまいなしにイチャイチャすんな!


「し、神王様に奥さんがいただなんて……」


 アグニがどう反応していいか困っていた。

 俺も同じ気持ちさ。というか結構複雑。メサイアそっくりだけに。……まあ、ソフィア曰く、メサイアとアルラトゥは自分の娘らしいけど。


「神王様、どうしてこの場所へ?」


 スイカが口を開く。


「私の可愛くて、自慢の妻を自慢したかったのです」


「は!? 殴るぞ、神王!」

「おっと、ちょっとだけ冗談ですよ、サトル殿」

「ちょっとだけかよ。で、真意は?」

「ええ。現在、妻は――ソフィアは【死の呪い】を受けています。ですから、レイドボスを全て倒して呪いを解放して欲しいというワケです」


「……はぁ、呪いを、ね。って、あんた神王だろ。自分でやれよ。俺を巻き込むな。家でゆっくりしたいんだよ。これでも本当は超絶面倒臭がりなんだぜよ」


「ええ、そうしたいのは山々ですが、もし出来たのならとっくにやってますね。あなた方の助力を得る必要もありませんでした」


「どうして……出来ないんです?」


 珍しくスイカが口を開きまくっていた。

 珍しいな。


「ソフィアは、多くの『女神』を生み出しましたが、それと同時に多くの『死神』を輩出してしまった。そう、ご存知の通り、ほぼ全ての女神は【死の呪い】によって消え去りました。そして、ミューテーション、メタモルフォーゼなどというモンスターに悪影響を及ぼす異常状態が発生――『レイドボス』が誕生したワケですね」


 アルクトゥルスは言葉を一度切った。


「ここからが本題です。

 サトル殿、覚えていないでしょうが、あなたは一度だけ『死の魔王・ゾルタクスゼイアン』と接触しているのですよ」


「え……」


 そういえば……以前そんな夢っぽいものを見た。

 フォルが魔王の娘だとかの。てっきり、夢だと思っていたんだが……アレ、本当だったのか!?


「あなたの仲間の聖女・フォルトゥナ様。

 彼女の胸に刻まれた『聖痕』を介して、魔王と繋がってしまったのですよ。ですが、あの情報は、あなたを陥れるための罠。ですので――申し訳ないのですが、誠に勝手ながら、混乱を避けるためにも余計な情報をこちらで消去(デリート)させて戴きました。

 あれは魔王の得意とする【情報操作(プロパガンダ)】という、この世で最も恐ろしい『心理スキル』なのです。彼はそんな情報・心理戦に長けた男。その知略を活かし、今現在、聖地・アーサーを支配している」



「マジか! そんな恐ろしい目に合っていたのか俺。

 ……まるで覚えてないけど、危うく魔王を信じるところだったぜ。でも、それでもフォルの『聖痕』は分からんな。俺は、確かフォルの『聖痕』に触れて意識を失い、あの変な夢を見たと思うんだが」



「そうです。あの『聖痕』は彼女が子供の頃に、私が与えたもの。聖痕は『聖女の証』。そして、ご存知でしょうが、それ故にフォルトゥナ様は【最強の幸運(フォーチュン)】をお持ちです。まあ、実のところ彼女の先天的能力でもありますが、それを更に高めているのが『聖痕』なのですよ。

 そんな『聖痕』を持つ彼女には、聖女専用【神託(オラクル)】スキルが備わっているのです。それにより、私と対話ができるようになるのですが、どうやら彼女は気づいていなかったみたいですね。なので、それを魔王に悪用されてしまったようです。

 それこそがサトル殿が見た夢だった――というワケです」



 困った。

 なんと反応していいやら。



「……あー、なんだ。つまりどういう事なんだ!?」


「つまり、死の魔王・ゾルタクスゼイアンは、この世界の【傷】という特異的存在。彼は、元々は『聖者』でした。ですが、闇に堕ちてしまい【死】を極めたのです。その強大な力を利用し、女神をすべて死神へと変えてしまった。その【死の呪い】は私の妻にも影響を――。

 この【死の呪い】を受けた者は、死神になるだけでなく、何れは魔王の糧として【生贄】にされます。彼の一部となるワケですね」


 魔王の一部……。

 なんて恐ろしい。そんなのって……!


「ですので、以前、魔王打倒のために『オルクス』『プルート』『モルス』『メサイア』の四人の死神を向かわせたのです。彼らは、私に唯一味方する特別な死神でしたから、討伐をお願いしたのですよ。

 ですが、オルクス、プルート、モルスの三人は、もう既に魔王の手に落ちました。ですので、現在の我が戦力は『聖者』のみ。しかしその数も決して多くはありません。敗北し、消えていってしまわれた方も多いのです。

 さて――なぜ、私が手を下せないか、そこでしたね。それは何故なら……」



「何故なら?」



「面倒臭いからです」

「殴るぞ」



「冗談です。冗談ですから、その真っ黒で物騒な拳を引っ込めてください……コホン。本当の理由はこうです。


 ――神はサイコロを振らない。


 この世界は出鱈目(デタラメ)に見えて、規則正しく、あらゆる法則によって成り立っている。この世、すべての森羅万象には【(ことわり)】があるのです。私はそのように(・・・・・)この世界を創造しましたから、神といえど【(ことわり)】には従わねばなりません。無論、それを破ることもできますが、その瞬間、この世界は均衡を失い、崩壊し、全ては無に帰すわけですな。神様なんて所詮は『破壊と再生』しか脳がありません。それが現実です」



 だから、神王は干渉できないと――。



 そうだなよな。

 なんであれ、法・秩序・ルールは存在する。


 アレでもまてよ、王様の時はだいぶ干渉していたような。アレはありなのか!? ……でもま、バリアしてただけだし、いいのか……?


「分かったよ、俺たちがなんとかすりゃいいってことだな。それじゃ――『聖者』にしてくれ。俺たちがレイドボスをぶっ潰して【死の呪い】を何とかするさ。それで、神王の奥さんも復活ってワケだ。あと、メサイアも何とかなるんだろう?」



「その通りです。であれば、サトル殿が『聖者』になる意味も大いにあるというわけです。それに、あなたは最強になれるのですから、メリットだらけです。

 話が長くなりましたね――それでは儀式を」



 神王が儀式を始めようとしたその時――



「ごはっ…………」



 アレ……。

 俺、口から血が。



「サ……サトル! アンタ!」


 アグニが俺の腹部を見て驚いている。

 スイカも血の気が引いて、顔が真っ青だ。



 なんでそんな恐怖して俺を?


 俺の、腹……?



 自身の腹を見ると、血色の悪い腕(・・・・・・)が貫いていた。



 ――なんだ、この腕。



『私はこの時を待っていた……ようやく、ビフロストへ来られたのだ。……久しぶりだな、神王……それと、サトル』



「魔王・ゾルタクスゼイアン……! なぜここに!」



『神王よ、貴様は私の【隠された質量(ミッシングマス)】にまでは気づけなかったようだな。この『ダークスキル』は、サトルとの接触時に仕込んでおいたのだがね。おかげで、このビフロストへ容易くアクセスできた、感謝する。

 ……さて、このままサトルの体を介して、ビフロストへ出ても良いが……死んでしまうが致し方ない。私は、神を抹殺せねばならないのだから。許せよ、サトル』



「こ、こいつ……。ごっほごっ…………」



 だ…………大丈夫だ。

 俺には【リミットブレイクⅡ】がある――。


「し……神王! 俺に構うな、みんなを避難させてくれ!! 俺はスキルで蘇る! それでこの魔王を倒す。でも出来れば『聖者』にしてからにしてくれ!! ワンパンできるんだろ!」


「サトル殿。もうあなたは立派な『聖者』です。この部屋にきたその瞬間から、あなたはもう既に生まれ変わっていた! 仲間は任せなさい」



『おのれ、神王! 余計な真似を――死ね』



 ――俺の体から、魔王が飛び出てきた。



「ごほふぁぁっ…………」



 俺は……大量に出血し、死んだ。




 << ULTRA LIMIT BREAK >>




 きたきた……! やっぱり……!

 ちょうど、原初の女神・ソフィアもいるし……!



 って……『ウルトラ(・・・)』?



 とにかく、俺は『聖者』となり――、

 ついでに、究極の【リミットブレイク】を解放した!

いつも応援ありがとうございます。

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