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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十三章 新世界

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第475話 古のツンデレ女神

 おでん缶の販売が始まり、直ぐに反応があった。

 やはり『自販機』というもの自体が珍しくて話題となり、そのウワサがカムラン中に流れて勝手に宣伝されていった。


 次の日には郷中のエルフたちが集まり、列をなしていた。


 おでん缶はあっという間に売れ、保存が効くし美味いという評判で大変好評。一日も立たずに売り切れてしまった。



「完売、ですね……!」



 感動して涙を零すフォル。

 これだけ多くの人に料理が行き渡って満足してもらえるんだ。そりゃ嬉しいよな。

 という俺も、感じたことのない感情が込み上げていた。


 商売ってこんなに楽しいものだったんだな……!


 もうしばらくはカムランでビジネスしてもいいかもしれない。


 そして、土地を貸してくれたルクルも涙を滝のように流していた。



「こんな多くの方に買っていただけるなんて感激です……。僕のポーションが飛ぶように売れてる~…!」


「ルクルのおかげだよ」

「いえいえ、僕なんて何も。自販機を作ったサトルさんたちが神です!」



 神という意味では間違ってはいないけどな。

 今回の功労者であるメサイアも“女神”だしな。


 その本人は、ここにはいない。

 疲れているのか照れているのか何なのか、顔を見せようとしなかった。



「メサイアさんも来ればよかったのに」



 俺が思っていたことをリースが口にする。



「多分、いつもの(なま)け癖だとは思うけどね」

「そうなのでしょうか」


「大丈夫。あとで俺が様子を見に行く」

「お願いします」



 現場をみんなに任せ、俺は一足先にルクルのポーション屋へ。

 その屋根にメサイアの姿があった。


 あんなところでゴロゴロしてるし。

 アイツは屋根が好きだなぁ。


 ひょいっとジャンプして俺は、屋根へ飛び移った。



「どうした、メサイア」

「……なんだ、サトルか」


「誰を期待していたんだよ」

「そ、それは……」



 なんで照れているんだ?

 なんで背を向けるんだ?


 耳まで赤くして解かりやすい反応だな、オイ。

 これは明らかだ。コイツは照れているんだ。自分の成し遂げたことに。

 エルフ達の反応があまりに良かったものだから、感情がぐちゃぐちゃになったんだろうな。俺もだけど――。



「人の役に立てたんだ、誇っていいじゃないか」

「なによ。煽てたってなにも出やしないわよ。出せてもスカートの中から煎餅(せんべい)なものよ」


「それはそれで欲しいけどな」

「はい」


 本当に出す奴がいるか。

 相変わらず謎スカートだな。

 ちゃんと袋詰めされている新品だから困る。

 メサイアのスカートの中は四次元なのか……? それともホワイトスキルと繋がっているのだろうか。女神の不思議だね。


 俺は煎餅を頬張りながら、次の製造を頼んだ。



「追加で1万ほど頼む」

「……は?」



 当然、メサイアは顔を青くした。

 ですよねぇ。



「頼む。完売でもう在庫がないんだ」

「もう!? そんなに人気なの?」



 半身を起こし、状況に驚くメサイア。

 まさか売れるとは思わなかったらしい。



「おでん缶は、俺の期待値を越えてくれたよ」

「凄いわね。大儲けじゃない」

「そうでもない。まだ数が足りなくて利益がそれほどではないんだ」


「なるほど、それで増産ね」

「そうだ。もっと数を増やさないと莫大な利益は生み出せない」


 缶を作って貰わないとな。

 建築スキルは、メサイアにしか使えないのだから。


「仕方ないわね。でも、鉄を切らしてしまってるのよね」

「なら、俺が採りにいくさ。この周辺ダンジョンにいるモンスターが鉄をドロップするんだよ」


「へえ。聞かなかったけど、ちなみにどんなモンスター?」


「アイアンゴーレムだ。アホみたいに防御力が高いんだが、俺の敵ではない」

「解かった。私もついていく」

「マジか。お前はここでのんびりしていてもいいんだぞ」


「いいのよ。気晴らしもしたいし」

「そりゃ嬉しいな、ありがとう」


「べ、別にあんたの為に――」

「なんで、いちいちツンデレなんだよ!?」



 とはいえ、お互いになんだかソワソワしている。目を合わせられない状況が続いている。……なんだこの不器用すぎるラブコメ。いつから始まった?


 いつものメサイアはどこへ行った?

 誰か教えてくれ。



 そんな妙な空気の中で『ドォン』とカムランの街中で爆発が起きていた。



 あ、あれは……自販機の設置している場所の辺りじゃないか!



「サトル……」

「ああ! 急いで向かうぞ!」



 フォルとリース、ルクルが心配だ。

 それにお客さんも!


 なにがあった……?

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