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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十三章 新世界

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第454話 性別変換スキル『ペルソナ・ノン・グラータ』

 ユーモレスク宮殿の奥。

 巨人専用のような巨大扉の前に立つ俺たち。

 リースを抱えたまま、ここまで来た。この際なのでリースを降ろしたくない。このまま勝利して事を終えたいが……カムランを支配しているポウラがいるはず。


 となれば、リースを抱えたままはキツいか。

 俺が女に、リースが男の子にされるかもしれんし、力だって失うかも。


 覚悟しなければな。いろいろと。



「さて、行くか!」

「このまま行くんですね?」

「もちろんだ。リースをお姫様抱っこしたまま勝利する!」

「幸せすぎて死んじゃいますっ! でも、無理なさらないで下さいね」


 柔らかい小さな手が俺の頬に触れる。

 リースの笑顔が大天使のように映り、俺の鼓動を加速させた。


 うおおおおおお……元気百倍だぜ!!


 目がメラメラ燃える俺。

 今ならポウラをワンパン出来そうな気がしてきた。実際戦ってみないと分からんけど。


 というわけで俺は巨大扉を――開けられなかった。

 デカすぎて無理!



「どうやって開けるんだ、コレ」

「任せてください!」



 武器召喚して杖を取り出すリース。なるほど、魔法でなければ開けないわけか。


 簡単な呪文を唱えると巨大扉は開き始めた。

 ゴゴゴと重苦しい音を響かせて。


 ガシャンと最後まで開いて、ようやく奥を覗くことができた。……濃霧(のうむ)のせいでよくは見えないが、かなり広そうだな。


「宮殿の中に霧ってどうなってんだ?」

「サトルさん。これは魔力によるものです。風属性魔法で払いましょう」



 即座に『ダークサイクロン』を放つリース。火力は抑えているものの強烈な風によって霧は簡単に掻き消えた。一気に視界良好となり、奥の部屋の広さが判明。



「こ、こりゃ……広い」

「なんだか、お庭みたいな雰囲気ですね」



 どこぞの庭園がそのまま押し込められたような、そんな部屋だった。無駄に広いし、天井も高すぎる。本当は巨人専用なのかもしれない。


 そして、気配がひとつ。


 あれがポウラか……?


 気になって足を運ぶ。すると謎の光線がの体に命中。ふわふわとした感覚に陥りかけたところで、すぐに光は消えた。……なんだ、こりゃ?



『……どういうことなの。なぜ貴様には性別変換スキル『ペルソナ・ノン・グラータ』が効かないの……!』



 今のは性別変換だったのかよ。

 でも、俺には効かなかった。


 男である俺は、本来なら女になるはず。


 ――あ、いや……まてよ。俺はすでに“女”の俺を持っているじゃないか。今もリアルタイムに動いている『ヘデラ』が!


 だから俺には性別変換は無効というわけだ!


 そうだよな、女の俺もいるんだから……ここで性別変換されるのはパラドックスが許さんわな。



「よかった、サトルさん。か弱い女の子にならなくて……!」

「大丈夫だよ、俺は。そもそもヘデラがいるからね」

「……あ! なるほど!」



 リースも察したようで納得していた。


 ということは今の俺は無敵じゃないか!?



「残念だったな、ポウラ。俺にはそのナントカというスキルは通じねえ!」

「この世に性別変換が効かない人間がいるとはね。貴様、性別すらない異種族なのか?」


 ついに姿を現す桃色の髪をしたエルフ。ポウラは、小柄な女の子だった。しかし、黒い目隠しをしていてハッキリとした容姿は分からない。分からないが、美少女っぽいことは確かだ。

 しかし、エルフってのは何故こうも薄着なんだろうな。

 腰には剣。ルクルの言っていた通り、こいつは騎士らしい。



「俺は人間さ。それより、ポウラ。支配を止めろ! みんなの性別を元に戻すんだ」


「……元に戻せ? ふざけるな。このカムランは今やわたしのモノ。いずれアヴァロンも手に入れる。全エルフの郷は支配下に置く。奴隷のようにな」



「お前こそふざけるな。自分のやらかしたことで逆恨みすんな」

「フン、許せなくて当然でしょう。わたしの好きな人を寝取ったエルフを殺して何が悪いッ!」


「なに……?」


「わたしはカムランの(おさ)の娘だった。騎士を(こころざ)して恋愛とは程遠い場所にいた。でも、恋とは突然訪れるもの。稲妻のように始まってしまった。……現れた騎士の名はアロンダイト。闇の騎士アロンダイト」



 アロンダイト……?

 どこかで聞いた名前だな。


 どこだ……?


 なんか昔に戦ったような覚えがあるような、ないような。



「って、サトルさん!」

「へ」


「その騎士さんとは戦ったり、共闘したりしましたよ!?」

「なにィ!?」



 そうだったけ。随分昔だろうし、憶えていない。ていうか、色々ありすぎて記憶が曖昧だ。



「あたしのお姉ちゃん、カローラとかグレンさん、チャルチさんとかいたじゃないですか~」



 あ……ああああああああああああ!!


 思い出したー!!



 そや、闇の騎士なんてのいたな。光の騎士っていうのも。かなり前だぞ、それ。


 闇の騎士アロンダイト。

 そうか、あの狂人野郎か。


 褐色肌で、無駄にイケメンだったような気がする。でも狂っていたんだよなぁ。

 最終的には正気に戻って俺たちの援護をしてくれたが。


 そういえば、あの後どうなったのか知らなかったな。


 なるほど、その闇の騎士アロンダイトに恋してしまったわけか。だが、ポウラは“寝取られた”という。


 どんな状況だよ!

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