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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第十三章 新世界

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第450話 エルフの支配者

 (おび)えて震えるエルフ。

 俺は腰を下ろし、そのエルフの肩に手を置いた。


「命は取らないよ。ていうか、俺たちは冒険者だ」

「……え。あれ、あなた方はいったい……?」


 顔を上げるエルフは若い女性で、リースと同じくらい美人で可愛かった。……やはり、金髪エルフはレベルが高い。

 てか、和風の着物なんだな。


「俺はサトル。こっちの黒いのがメサイア。銀髪が聖女でフォル。そっちビキニアーマーがベル。そして、エルフのリースだ」


「ポウラ様ではないのですね……」

「ポウラ?」


「はい。このカムランを支配するエルフの騎士にございます」



 エルフの騎士か。

 カムランっていうくらいだから――そうなるよな。

 つまり、ここも“聖地”に関連する場所ということ。


 俺の考えていることを察したのか、リースは不安気に声を漏らす。



「サトルさん。このカムランには自由がないのかも」

「そうだな。エルフはいつもこんな目に遭っている。でも、今回はエルフの騎士が支配しているらしい。今までとは少し違うな」


「こんなの悲しいです。みんな怯えて生活するなんて……」

「ああ。街の様子もおかしかったしな」



 人があまりにいなさすぎだ。

 つまり、ポウラというヤツが住民を力を抑え込み、恐怖で支配しているってところだろう。なんて野郎だよ。



「俺に任せろ、エルフさん」

「……申し遅れました。私はポーション屋を営むルクルと申します」


 ルクル? なんだか男っぽい名前のような気が。いやいや、こんな美人が男の子なわけないだろう……!


 しかし、さっきから背後からリースの殺気を感じるんだよな。


 相手がエルフなだけに激しく嫉妬しているに――うん、しているね。


 振り向くと不満そうな目線を俺に送っていた。



「…………」



 これは早々に離れておいた方がいいな。



「ルクルさん。もっとポウラのことを教えてくれ」

「解かりました。では、こちらへ。お茶も淹れますので」

「そりゃ助かる」



 ◆



 美味すぎるコーヒーをいただく。

 香りも最高だな。

 ポーション屋なだけあって、茶葉の扱いもプロ級なのかもしれない。



「へえ、こりゃコクが深いや」



 表情をわずかに崩して感嘆するベル。おぉ、マジか。コイツが絶賛するとはね。

 メサイアやフォル、リースもコーヒーを美味しそうに味わっていた。


 さて、本題だな。



「教えてくれ、ルクルさん。ポウラってヤツはなぜ、こんなことをしているんだ?」

「……はい。あれは半月前でした……」



 彼女の話によれば、それは突然起きたそうだ。



 性別不明エルフのポウラは、過去に事件を起こしてしまい以来はずっと幽閉されていたらしい。

 だが、半月前に監禁されていた部屋から脱出。このエルフの郷カムランへの復讐を決めて、ついには支配に収めたという。


 しかも、たった一人で……。


「ひ、ひとりで?」

「はい。あの方はたった一人で人口一万人を平伏させたのです」


 そんなことが可能なのか?

 エルフは、いろんな魔法をスキルを持つ種族。

 もちろん抵抗もあったはず。

 なのに、たった一人でカムランを落とすとは……何者だ?


「いったい、どんな力を?」


 俺の代わりにリースが聞いてくれた。

 ルクルは恥ずかしそうに視線を落とし、意外すぎる事実を教えてくれた。



「じ、実は……私は本当は男なんです」


「え?」



 俺もだが、みんな固まった。

 いやいや、こんな超絶美人が男?


 胸も膨らんでいるし、肌も透き通っているし……ありえんだろ。



「ウソウソ、信じられないわ!!」



 ガバッと立ち上がるメサイアは、ルクルの胸などに触れて確かめた。いいなぁ、俺も触りたかったぜ。



「あぅ」

「ごめん。でも確かめたかったの。……っていうか、やっぱり女じゃん」


「今は女なんです。これは、ポウラのスキルによって性別が変えられてしまったんですよぉ……」



「なんだって!?」



 俺とメサイアたちは驚きのあまり叫んだ。


 性別を変えるだと……!?


 そんなスキルが存在するのかよ。



「男性エルフは全員、か弱い女性にされてしまいました。それと同時に魔力も奪われて反抗できなくなり……今や支配下に」



 な、なんだって……そんなことが可能なのか。

 性別を変えるだけでなく、相手の魔力も奪う。んな、ムチャクチャな!



「……恐ろしい敵だね」



 さすがのベルも青ざめていた。

 ワンチャン、女は男にされてしまう可能性もあるからな。……マズい、俺の仲間が男にされたら、それはそれで困る!



「兄様、今なにを想像していましたか?」



 じっとした目を向けるフォル。……見透かされてんなぁ。



「大丈夫。お前たちを男になどさせん!」

「わたくしも嫌すぎです。聖女が男だとか……お嫁にいけませんし!」



 確かにそれは嫌だ。

 くそう、ポウラという奴をなんとかしないとイカンな。先手を打っておかないと、こっちの性別を変えられてしまうぞ。



「よし、今回はお前たちは留守番だ!」

「なんでよ!!」


 バンッとテーブルを叩くメサイア。ってうぉい、聞いてなかったのかこの女神は!


「男にされちまうぞ、メサイア」

「……う。だ、大丈夫よ。女神だもん!」

「そういう問題じゃないだろ。てか、男になったお前を見たくないぞ……」


「そ、そうね。今回ばかりはサトル一人に任せるしかないかも」


 そんな中でリースだけは手を挙げた。



「あたしは行きます!」

「リース……」


「だって、エルフ族のひとたちが困っているんですよ。見過ごせません」

「だが男になるかもしれないんだぞ」

「そ、それでもですっ!」


 リースの決意は固いようだ。正直、リースなら美少年になれそうだ。だが、やっぱり女の子の方がいい!


 まあいい、一人くらいなら守れるさ。



「よし、今回はリースだけを連れていく。みんな、いいな!」



「仕方ないですね」


 と、フォル。


「解かった。任せる」


 ベルも納得。

 最後にメサイアも「こっちはこっちで情報収集しとくから」と全員が賛同してくれた。


 よぉし、俺とリースでポウラをぶっ潰すぜ!

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