第404話 第9998代皇帝・ゴーレムの精霊王
「――というわけです」
「まて、ハショりすぎだ! もう一度説明しろ! 今ので第9998代皇帝ジークムント・ケッヘルのことがサッパリ分からなかった」
シモノフは、ゴチャゴチャと何か言っていたが、意味不明すぎた。
「ですから、陛下はエルフ族であり、ドラゴン族でもあり、ドワーフ族でもあり、オーク族でもある。そして、天使と悪魔の血を引き……ゴーレムの精霊王でもある」
…………。
やっぱり、意味わかんねええええええええ!!
第9998代皇帝ジークムント・ケッヘルはバケモノか、何かかよ。
「つまり、いろいろとハーフなんだな」
「そういうことです!!」
「最初からそう言え!」
まったく、とんでもない皇帝らしいな。
なんだよ、エルフとかドラゴンとか……!
でも俺には種族とか関係ない。
最強装備をしているし、なんなら神様なので。
「で、どうするのです?」
「なにが?」
「私との決着ですよ。つけるんですか、それともこのまま皇帝陛下に挑みますか」
「もちろん、時間を無駄にしたくない。お前とは戦わない。イイヤツそうだしな」
「な、なんですかそれ! 私を侮辱するとは……う、嬉しくなんてないんですからね!!」
なんでツンデレ風なんだよ。
てか、めっちゃ嬉しそうじゃねぇか!
とりあえず、シモノフに戦意はないようだ。
「じゃあ、案内を頼むよ」
「分かりました。えっと……」
「ああ、俺のことは“サトル”でいいよ。みんなにはそう呼ばれているからな」
「では、サトル。城内へご案内しましょう」
背を向ける執事のシモノフ。
俺は彼の後をついていく。
シモノフの後をついていくと、ゴーレムモンスターに襲われる気配は全くなかった。
なるほど仲間には反応しないというわけか。
城内へ入ると、やはりゴーレム兵がこちらを警戒した。
「大丈夫なのか?」
「ええ。ゴーレム兵、彼は“お客様”です」
『――――』
どうやら、ゴーレム兵は俺を客として認識したようだ。襲われる心配はなくなった。そもそも、襲われても、あの程度ならワンパンだけどな。
しかし、フォルたちの様子も気になるな。
こっちに追いつけるかどうか。
まあ、フォルならきっと大丈夫だろうけど。
一番心配なのはニコラスだ。
きっと今頃は、
アイツは、フォルに守られているに違いない。
「シモノフ、城の中も厳重なんだな」
「ええ、まあ……皇帝陛下をお守りする為にです」
「それにしても、なんでゴーレムなんだ?」
「陛下がゴーレムの精霊王でもあるからです」
「ああ、言っていたな」
「エルフ族であり、ドラゴン族でもあり、ドワーフ族でもあり、オーク族でもある。そして、天使と悪魔の血を引き……」
「だから、それはいいって!」
「左様ですか。……まぁ、とにかくですね、偉大なお方なのです」
「けど、俺を通して良かったのか?」
「……サトル。私をただの執事と勘違いしているようですが、誤解なきよう」
「なに?」
「私は、陛下の力を信じているから、あなたを落とした。それだけです」
さっきまで感じなかった殺気を感じた。
コイツ……忠誠心は人一倍か。
異常なまでの闘気を発していやがる。
なるほど、本気ではなかったか。
となると皇帝も、それなりのレベルというわけか。
面白い。
久しぶりに腕がなる。
「そろそろか?」
「ええ。この先が“皇帝の間”となります。これより先へ進めば……二度と外へ戻れないでしょう」
「それはどうかな」
俺は【超覚醒オートスキル】を展開。
いつ襲われても、無数のスキルが反撃する。
そして、極めつけは超覚醒・世界終焉剣エクスカイザー。
さて、皇帝とやら……ついにご対面か。




