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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第一章 救世主

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第37話 ヴァルハラ - 女神の力を借りて攻略作戦 -

 ようやく『炭鉱ダンジョン』を攻略した。

 結局、半日以上掛かった。掛かってしまった……。


 もう日も沈み、夜だ。


「……ふぅ、さすがに疲れたな。でも、モンスターも全部倒したし、これでやっと【虹の空中庭園(ビフロスト)】へ……」

「何言ってるの、サトル。【虹の空中庭園(ビフロスト)】はまだまだ先よ」



「……なんだって?」



「いい、サトル。この『炭鉱ダンジョン』の奥にある扉。そこからやっと始まりよ。扉の向こうは『ヴァルハラ』という塔のようなものに通じていて、しかも100層もあるの。その第99層にある【虹】を使えば、ようやく【虹の空中庭園(ビフロスト)】へ辿(たど)り着けるの。先は長いわよ」



「ほうほう、100層ねー…って、100層もあんのかよ!? おいおい、もっと簡単に攻略する術はないのかよ。ワープとかないのか」

「ある事にはあるけど、まー…神王にバレたら、神罰を受けるかもしれないわ」

「だよなあ。てか、今日やっと攻略した『炭鉱』がまだ始まりですらなかったとか、そっちの方が衝撃的すぎたわ。あー、もう今日は疲れた。帰って飯にしようぜ」


「賛成です~…あたし、もうクタクタで一歩も動けないですぅ~…」


 リースがゲッソリしている。

 魔法スキルを乱発しまくってくれたからなぁ……。

 疲労困憊(ひろうこんぱい)になるよな。


「リースは、わたくしが背負いますよ」

「フォルちゃん。ありがとうなのです……。でも、どうせならサトルさんにぃ~!」


 まだ余力があるのか、フォルがリースをおんぶしていた。

 さすが筋力だけはあるな。


「それじゃ、メサイアは俺が……」

「却下。あんた、私の胸の感触を楽しもうとしたでしょ。下心ありまくりね」


 メサイアは、胸を押さえジトっとした目を向けてきた。

 ちぇー…。


「でも、サトル。今日は頑張ったわね」


「………………」


 マジか。

 メサイアがあんな向日葵(ヒマワリ)のような笑顔を――。



 ……やべ、俺ちょっと……いや、かなりときめいた。

 あの破顔(はがん)卑怯(チート)だぜ。



 ◆



 いったん、山小屋へ戻った。

 『炭鉱ダンジョン』のちょい隣に展開し、設置した。おかげで、楽に行ったり来たりを出来るってものだ。

 ひとまず、体力を回復せねば。


「……フォルの手料理も食べれたし、そろそろ風呂へっと」



 ぴくん。

 三名がその俺の言葉に反応を示した。


 なぜ、風呂って単語でそう期待するかな。

 な~んか、嫌な予感がするぞ。



 ――で、


 風呂の扉は、厳重にロック!

 今日はひとりで色々考えたい気分なのだ。



「サトル~。お邪魔するわ」

「うあぁぁぁぁぁぁ!? もうロック解除されてるー!!」



 振り向くと、そこには半裸(・・)のメサイアが。

 入ってきやがった。


「おま……! しかも、バスタオル一枚……! くぅ、それは中々刺激が……。つか、フォルとリースは?」

「あの二人なら……しばらく眠って貰ったわ」



 眠って貰ったって……この女神、なにをしやがったァー!?

 なんか不敵に笑ってるし、怖いんですけどー!



「ねぇ、サトル。バスタオル(めく)ってみたい……?」


「ゴ…………ゴクリ……」


 そ、そりゃ。男としては当然、(めく)りたいだろ。


「なーんてね。さあ、椅子に座って」

「くっ……俺の心を(もてあそ)びやがって。いいさ、座るよ。で、ナニをしてくれるんだ。背中を洗ってくれるのか? それとも、サービスしてくれるのか」


「サトル……」

「うお……メサイア。どうした」


 メサイアは言葉を返すことなく、俺の横に腰を下ろした。

 その姿を見せてくれるだけでも、充分ヤバいっていうのに、俺の手を握るなりそのまま自身の『お腹(・・)』へ触れさせた。



「……お、おま! おおお腹!」



 いや、ま……たかがお腹だし、タオル越しではあるが、いや……タオルなんて、ただの布切れだ。本物の感触に限りなく近い。これが、メサイアのお腹。


 ふんわり、もちもちしている……。

 な……なんて甘美(かんび)な感触だ……ずっと触っていたい。



「私こんなにドキドキしてるの……。どうかしてるみたい」

「ば、ばか。俺だってドキドキしとるわ……!」

「……こ、このまま聞いて」


 このままって……

 メサイアのお腹に触れている状態でかよ……。


「いい、サトル。

 まず、明日から向かう『ヴァルハラ』だけど……確かに、いちいち一つ一つ攻略してたら、何年掛かるか分かったものじゃないわ。そんなの肉体的にも精神的にも持たない。だから、ちょっとだけズルをする」



「……その方法は?」



「まず【聖者の試練】の期間中は、いくら私の力でも【虹の空中庭園(ビフロスト)】へは直接アクセス出来ないの。でも、実は『女神の力』でボスフロアまでは飛べる。つまり、20、40、60、80層まではワープ可能。でも、試練だから、ボスは一体ずつ倒さなきゃいけない。何故なら全部倒さないと【虹】が起動しないの」



 マジか!

 つい驚いて、俺は手の力を強めてしまった。

 するとメサイアは、


「……ちょ! …………ば、ばかぁ。いきなり力を()めないでよ……」


 まずい。

 そう思って俺は手を離そうとしたのに……

 メサイアは俺の手を離そうとしなかった。


「こ……このままがいいの。私、サトルにお腹を触れられたまま説明したい」

「なんでだよ!? さすがに話に集中できないだろうが……」


 あわわ……。

 ダメだ。メサイア、これだけは絶対譲らないと言わんばかりに、強い意思を顔で主張している。(こば)めないなこりゃ。


 ま……お腹だしいいケド。


「わかったわかった。……けどな、どうせならタオル越しじゃなくて、(じか)がいいけどな」

「な……直って……もう!! う、うぅ……。分かったわよ。タオルは取りたくないから、隙間から手を入れて……」


 メサイアは頭を(うつむ)かせ、もう顔真っ赤で限界そうだった。


「バ、バカ! 冗談だ! これでいい! これでいいから!」


「……うん。

 話の続きだけどね、各層に配置されている四体のボスは、それは超強力よ。その代わり、パーティを組んでいれば仲間内で挑んでもいいの。だから、戦力を増やすという手もある」


「ほー。そんな手を使ってもいいんだな」


「そ。【聖者の試練】とは言うけれど、パーティを組むのは禁止されていないの。神王がオッケーって言ってるんだから、いいんでしょう。ちなみに、昔はギルド単位の大規模な攻略も多かったけどね」


「それなら何とかなりそうだな。有益な情報をありがとうな、メサイア」

「役に立てたのなら良かったわ」


 そんな風に、まさに女神の微笑みを浮かべてくれたのだから、俺はドキッとしてしまった。――で、つい手に力が入ってしまった。


「……ひんっ!」


 (くすぐ)ったいのだろう、そんな(こら)えるような甘い声が、俺の耳元で(ささや)かれる。やば……メサイア、こんな声も出せるんだな。


 というか、よっぽど擽ったかったのだろう、体の力抜けてるじゃないか。

 やれやれ……。


 俺はお腹から手を離して、メサイアを椅子に座らせた。


「俺は、また後で風呂入りなおすよ。だから、お前はちゃんと体を温めてから出るんだぞ。いいな」

「……うん。そうする」


 メサイアのヤツ、完全にボ~っとして、恍惚(こうこつ)としてる。

 俺は……まだ手にお腹の感触が残っている。



 むぅ~…。

 ほとんど内容が頭に入らなかったぞ。

いつも応援ありがとうございます。

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