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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第一章 救世主

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第26話 聖者への道 - 誰がために聖鐘は鳴る -

 狂暴にして、最強のドラゴンから家を守り抜いた直後……『ポインセチア城』の中へ案内された。どうやら、聖者のための儀式があるらしい。



 王座に辿(たど)り着くと、そこにはビキニアーマー姿の『ベル』がいた。相変わらず、すごい恰好(カッコウ)だ……。あと獣耳。あの猫耳の類の耳は、いつか触ってみたい。あと今更気づいたけど、尻尾(しっぽ)も。



「ベル……!」

「やあ、理くん。あと皆さんも。それに、ミクトラン王」


「ベル。この3名が『聖者』を(こころざ)す者たちです。

 紹介しましょう。まず、この幼き少女は『マーリン』出身で、ある伝説を残した賢者の娘。不羈(フキ)魔法使い『スイカ』です。二人目は、古き歴史を持つ炎の使い手、アーカム家の長女『アグニ・アーカム』。

 そして、最後に冒険者の――『彼岸花(ひがんばな) (サトル)』です。

 以上、3名が『聖者』の道を歩む方々です」



「承知致しました、王様。それでは、これを――」



 ベルから(くば)られるソレは……


 あのメサイアが首にかけている『ネックレス』そっくりだった!

 これは……どういうことだ!?



「皆さま。このネックレスは『ヒトの魂の輝きを示す』モノです。

 ご存知の方もいるかもしれませんが、現在では死神……元々は、女神の持つモノ。それと同等品です。――ですが、あなた方に差し上げるネックレスは完成品ではありません。『聖者』になったその時こそ、それは初めて完成するのです」



 ――そう、ベルは淡々(たんたん)と語った。



 魂の輝き……ということは、メサイアの黒々(・・)としたあの輝きは……どういう事だ? つまり、腹黒って事か!? でもないよな、イイヤツだし。



 そう考えていると、王様から、それぞれにネックレスをかけられていた。

 今度は、俺の番か。


拝領(はいりょう)します」


「サトル殿。あなたの行くべき道は決まっています。

 他の二人、スイカとアグニはそれぞれの道を……あなたとは少し違う道を行きます。ですので、あなたはそのまま『ビフロスト』へ向かうのです。いいですね」


「はい。いろいろ有難うございました。俺は、家の為……みんなの為なら『レイドボス』を倒しますよ。だから、世界の為とかでは動けないですが」


「ええ、それは百も承知です。

 なによりも、あなたはとても特別な存在(・・・・・)なのです。ですから――」



 王様は、幽寂(ゆうじゃく)(まなこ)で俺を見つめ、



「アルクトゥルスの加護があらんことを……」



 そう祝福してくれた。

 これがきっと――ベルの言っていた【大いなる祝福】なのだろうか。


 そんな静かな時の中で、



 ゴーン、ゴーン……。ゴーン、ゴーン……。

 ――と何処(ドコ)からともなく、



 【鐘】の音が。



「……鐘の音?」

 俺がそうつぶやくと、他のふたりも同じようにつぶやいていた。



「それは【聖鐘】(ホーリーベル)――。

 聖者の道を歩む者にしか聞こえない【大いなる祝福】です」



 ベルはハッキリとそう言った。


 そうか。

 これこそが【大いなる祝福】なんだ。



 結構うるさいな……!



 まだ鳴ってるよ。

 これずっと鳴り続けるのか?


 スイカ……だっけ。

 口数の少なそうな黄緑髪の少女は、まるで気にせず立ち()くしているように見える。


「……」


 いや……そうでもなかった。

 なんだか急激に感情を失った顔している……。

 やっぱり、うるさいんだな。



 一方、アグニとかいう赤髪少女は、



「じゃ、アタシは一足先に『エーリューズニル』ヘ向かう」



 と、耳を押さえながら行ってしまった。


 それを見て、(あわ)ててスイカとかいう少女も、



「…………あたしは『ナーストレンド』へ」



 ()け足で行ってしまった……。


 そんな急がなくてもなぁ?


 それよりも、



「あークソ。これずっと鳴りっぱなしなのか、ベル」

「うん。この祭りが終わるまでね」

「うげー…終わるまでかよ。あと何時間だよ」

「あと一時間くらい。それまでは我慢だね」


 うあー…。一時間も我慢しなきゃならんのかよ。

 この鐘の音!


「あぁもう俺も行く。じゃ、王様……ベル。世話になったよ」

「サトル殿。……この世界は闇に包まれつつありますが、希望もあるのです。もしも、神王にお会いになられたら……あなたはきっと――」


 そこで、王様は言葉を切った。



「いえ、今はあなたの信じる道を行けばいい」



 なんだか気になるが。

 気にしないでおこう。


「理。この祭りが終わったら……わたしも合流するから、その時はよろしくね」

「まじ? ベルも俺の家に住むのか?」

「そうだね。それもいいかも。だって、わたしは、理に会うために今まで頑張ってきたんだから。だから、ねぇ、王様」

「ええ。ベルはもう立派な『聖戦士』です。私が教えることはもう何もありません。自由に生きると良いでしょう」


「へえー、ベルって『聖戦士』だったのかー…へー…。えぇッ!?」

「隠していてゴメンね。これは神王様が特別にってね」


 まさかベルが『聖戦士』だったとは。

 一応、聖者って解釈でいいのだろうか。分からん。


「驚いたよ。ま、とにかく、たまに遊びに来いよ」

「……うん、たまに会いにいくよ、理。それじゃあね。頑張って」

「おう」


「それでは、体にお気をつけて。サトル殿」



 俺は挨拶を済ませ、城を出た。



 ◆



 城門を出ると、三人が待っていた。


「よ、みんな」


「サトル! どうだった!?」

「サトルさん、どうでしたか!?」

「兄様、どうだったんですか!?」



 そんな風に一斉に飛び掛かってきた。



「なんかな……。頭の中で、鐘の音がずっと鳴ってるんだよ。それが鳴りやまない……脳内でスゲ~反響してる。きつい、だるい……」


「あ~、それか……。それシンドイのよね」



 メサイアが舌を出し、両耳を押さえゲンナリしていた。

 ……あ。やっぱり分かるんだ。という事は、メサイアも。



「なんだ、メサイア。お前は経験済みなのか」

「ま……まあね。その、大昔にちょっとね。そう、昔よ昔」

「なんだ、汗すごいぞ」

「う、うぅ……。今のは聞かなかったことにして頂戴(ちょうだい)


 ん~?


「あ、兄様。そのネックレス……姉様と一緒のですね」

「ああ、そうそう。メサイアのヤツと同じ。どうやら、聖者になるには、これが必須らしくてね。貰ったんだが。魂の輝きが分かるとかなんとか」


「へ~! それは面白いアイテムですね。今のところ無地ですけれど」


 そう、今のところ色はなにもない。

 きっとこれから現れるに違いない!?



「さあ、みんな。家に帰ろう」



 ご~ん、ご~ん。


 鐘の音め……。

いつも応援ありがとうございます。

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