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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第三章 星屑

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第163話 オートスキルを覚醒させよ

 ああああ騎士団のギルドマスター『ああああ』と合流した俺は、干支ノ助(えとのすけ)のこと、この星の都で貴族たちがやりたい放題やっていることなど……悪事を聞かせてもらった。


「なんて話だよ。それが事実なら、この都は星の都つーか……『貴族の都』じゃねぇか」

「その通り。反論の余地なしだ。

 さっきも言ったが、この都は『マックノート家』、『ヘールボップ家』、『ハレー家』の御三家が牛耳っとる。中でも『マックノート家』はこの都最大の大貴族。あの花の都の王にも認められているっちゅー話やな」



 マックノート家――その正体はまだ分からんが、(ろく)でもないのは確かだ。



「情報ありがとう。そいじゃ、干支ノ助のこともよろしく」

「おう、こっちは任せておけ。サトルには返しきれない恩があるからな。ワシの敬愛するオヤジが言うとったわ。人間、大切なのは日々の感謝と恩返し。施されたら施し返さなあかん。恩返しや!!」



 固い握手を交わし、ああああは気絶した干支ノ助を連れて去った。


 ……明日は頼んだぜ。



「サトル。いきましょう」

「そうだな、さっさと宿へ行こう。俺はもうクタクタだ」



 ◆



 宿屋・ムーンライトで一夜を過ごすことになった。


「あー、ねむ。なんだか睡魔(すいま)に襲われているなぁ俺……」


 ベッドの上で転寝(うたたね)ていると、目蓋が百トンの重さとなり、俺は――――眠ってしまったんだ。



 ・

 ・

 ・



 誰かの声がする。



『――――よ、覚醒させるのです』


「……やめろ、俺は眠いんだよ……」


『あなたは、まだまだ可能性を秘めている。さあ、覚醒するのです』


「かく……せい?」


 なんだろう。

 この声、一瞬は神王・アルクトゥルスかと思ったけれど、いつもと違う。女性の声だった。あれ……こんなこと初めてかも。



『サトルよ、スキルを……【オートスキル】を覚醒させなさい』



「あんたは……何者なんだ」



『わたくしは『フォーチュン』です。あらゆる万物の運命を見守る守護神。そして、聖女である『フォルトゥナ』を加護する存在です』



「え…………あんたがフォルの口癖の存在……なのか」



『ずっと見守っていましたよ。この星の都から――』



 声は遠のいていく。



「まて、あんた……いや、フォーチュン! あなたは何者なんだ!?」

『いずれ会いましょう。どうか、星に願いを――』



 ・

 ・

 ・



「――――――はっ!」


 目覚めると、全身が汗だくで……つゆだくだった。

 なんであんな夢を。


 いや、あれは確かに本物(・・)だった。

 声だけで姿は見えなかったけど、フォーチュンだったのだ。



 なんで俺に?



「……ていうか、【オートスキル】の覚醒だって……そんな限界突破があったのか。知らなかったぞ」



 滝のように汗を流しながら、俺は意表を突かれていた。


 まさか、まだまだ強くなれるとはな……。

 みんなを守れるというのなら、俺は覚醒でも何でもしてやる。



 でも、どうやって?


 なにをすればいい?



 条件はなんだ? モンスターの一万匹狩りとか? 裏レイドボスを倒すとか? 聖地を全部巡る――とか、あれ、それはもうやったな。


 もし『聖地を全部巡る』が覚醒の条件なら、らくちんでいいんだけなー。

 残念ながら、メサイアが言うには『不老不死』だったな。けど、そんなモノはなかった。デマだったのだ。あったモノといえば――――。



「兄様、なにを悩んでいらっしゃるのですか?」

「俺のオートスキルがあるだろう。覚醒させいたいんだ。なにか方法があるのかなーって。うーん……」


「じゃあ、わたくしにキスすればいいと思いますのですよ♡」


「そうだな、フォルにキスを…………をぉ!? お、お、おまいつの間に!? どこからワープしてきた!」


 ビックリした。

 隣にフォルがいやがった。


「なにをそんなに驚かれているのですか。わたくしはずっと居ましたよ。そんなことより、兄様、今日はわたくしの()ですから、身を委ねてくださいね♡」


「は? なんのことだよ」


 と、フォルはシスター服を脱ぎ捨てて、下着姿になってしまわれた。


「うわっ!?」

「聞いてください、見てください。わたくしこの度、バストアップしました!」

「知らねーよ!? 見て分かるかってーの」

「もう兄様ってば、そうは仰いますが興味津々ですね♡ 息子さんはお元気ですよ♡」

「う、うるさい……」


「あ、そうそう。わたくしこう見えて、体がすごく柔らかいんですよ~」



 と、下着姿のフォルは(あし)をグっと上げた。

 すげえ……あれは『I字バランス』ってヤツか。すごい開脚。つか、なぜそれを俺に見せた。いや、大変素晴らしいものをありがとう。眼福である。


 まあでも、フォルはあれでも戦う武闘派聖女。接近戦大好きっ子である。

 あんなに体が柔らかいのも納得できる。

 いつも人間離れしたスゲェ動きしているからな。



「キレイだよ、フォル」

「はい、とても嬉しいです♡ そうでした、わたくしただ下着姿になったのではありません。今日は特別にこちらをっと」


 じゃじゃ~んとそれを出した。


「え、それって……」

「そうなんです。明日のためにウェイトレスの格好をしてみようかと!」

「へ……なに言ってるんだ、フォル」

「わたくしも大会に出場します!」

「いやいや……大会に出るのは俺だけでいいよ。フォルには傷ついて欲しくない」

「そう言ってくれるは大変嬉しいです。ですけれど、わたくしにも使命があるんです」

「使命?」

「この星の都はあらゆる要素が複雑に(から)み合っているのですよ。わたくしの『フォーチュン』、『奴隷にされてしまっているエルフ』、『怪人マグネター』、そして何よりも悩まされている『星の貴族(スターリング)』の存在。これらは全て関係しているんですから」


 だから自分も粉骨砕身(ふんこつさいしん)の思いで尽力したいと、そうフォルは、俺に祈った。……まったく、そんな露出した格好で言われては、拒否れなかった。


「分かったよ。一緒に出場しよう」

「ありがとうございます♡ では、そんな優しい兄様にはウェイトレスで癒してあげますね♡」


 早着替えするフォル。なんとたったの0.5秒で着替えた。なんて速さ!

 でもって、なんというフリフリ。ミニスカで可愛いな。


「ではいただきまーす♡」

「まて、なぜ舌を出す! なぜ腹筋を狙おうとする!?」

「なぜって……当然でしょう?」

「やめい、ヘンタイ聖女! たまには普通にさせてくれよ~」

「……普通なんてつまらないです。凡庸(ぼんよう)は人の進化の可能性を停滞させてしまいますよ。ヘンタイだからこそ、人は進化していくのです」


「なにまともに語ってんだよ、ヘンタイウェイトレス」

「ヘンタイウェイトレス聖女はお嫌いですか?」


「……う、どちらかといえば好きだけど」

「ではいいではありませんか♡ さあ、わたくしに全てを委ねて。兄様のことをぎゅっとしてあげますからね♡」



 ――結局、俺はフォルには勝てなかった。



 ◆



 フォルとイチャイチャしまくっていたら、深夜前になっていた。

 まずい、シャワー浴びて寝ようっと。


 浴場は決まった場所にあるらしく、俺は歩いて向かっていた。



「あった、ここか~」



 ガラっと戸を開けて、脱衣所で服を脱ぎ捨てた。

 あとは適当に浴びるだけ。

 そうして、浴場へ入ると――なぜか人影があったんだな。なんだ誰かいたのか、まあ今は男湯だし、他の客だろうと……思っていたのだが。



「メサイア……」

「あ……サトル」



 なんとメサイアと鉢合(はちあ)わせてしまった。



「す、すまん……入っていたのか。のれんが男湯になっていたから、てっきり……」

「う、うん。いいの……」



 ん――なんだか顔が赤いな。

 いや、こんな裸同士なのだから当然の反応なんだろうけど……いや、それとは違う反応な気がする。あれは逆上(のぼ)せているとか、そんな感じ。


「お、おい、メサイア。なんか息が荒くないか?」

「…………もう二時間以上は入っているからかな」


「な、なにやってんだよ!」


 俺はメサイアの元へ向かった。

 その瞬間、メサイアは脱力し、倒れて(おぼ)れそうになった。俺は彼女の体を支え、お姫様抱っこで風呂から出した。


「……どうして、そんな無茶を」

「違うの……これは全てサトルのため……」


「お、俺のため?」


「たぶん……さっき凄く眠くなったんじゃないかな。あれ、私もなの。だってほら、再契約したでしょう。つまり……私とサトルは繋がっているから……あのお告げである睡魔は回避できなかった」


 それで風呂にどっぷり浸かっていたらしい。


「く……。他の男に裸を見られていないだろうな!?」

「だ、大丈夫。女神のスキルで『認識拒否』をしていたから……それで見つからなかった」

「なんだその透明人間みたいなスキル。俺のファントムみたいだな」


 ちなみに透明人間になれるファントムはぶっ壊れて、使い物にならなくなったのでもう使えない。さすがに神器すぎたなアレは。

 人類の夢が(つい)えてしまったのう。


「とにかく……部屋へ戻りましょう」


「任せろ。でも……下着とかどうする……? 俺がつけていいのなら……やるけど。それかリースとかに頼むか?」

「……ううん。みんなには心配させたくない。だから、ヘンなとこ触らないでよ」


「信用しろ。つか、さすがに身動きできないメサイアにそんなことせんって。んなことしたら、サイテーすぎるだろう」



 コクっと弱弱しく(うなず)くメサイア。

 まさかの俺がメサイアの体を丁寧に()いたり、着替えさせたりして……しかも、自分の部屋に連れ帰ることになるとはな。



 詳しい事を聞きたいところだ。

いつも応援ありがとうございます。

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