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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第三章 星屑

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第159話 星の都・アステリズム

 リースに誘導され、難なく出口を発見した。

 エルフの『テレパシー』はガチで有能だ。ついでに、俺の体のどこかにGPSみたいな追跡魔法が付属しているらしいが、今だにその正体は分からない。



「お~い! みんな、無事だったかー!」



 白い出口前に辿(たど)り着くと、そこには三人の姿があった。

 メサイアとリース、そしてベルだ。


「サトル~! 良かったぁ、みんなも無事だったの――――ねぇ!? ちょちょちょちょ、サトル! なぜ全裸なの!! あんたの[ガオー!!][ピヨピヨ]が丸見えよ!?」


「いや~。これには深海より深いワケがあってだな。説明すると日が暮れちまう。ところで、メサイア、葉っぱとかなにか隠すモノないか」

「ないわよ。……ああもう、リースもベルも凝視しない」


 メサイアが俺の前に立つ。


「はぁ、仕方ないわね。最近覚えた『女神スキル』なんだけどね~」

「ん? なんだ、また何か宴会(えんかい)スキルでも覚えたか」

「なわけないでしょう。なにその駄女神。違うわ、私のはこれよ」


 と、メサイアは何もない空間に手を伸ばしていた。


「うげ。なんだその、けったいなスキル」

「これね――『ホワイト』っていうの。ほら、こうやって、はい、服」

「うわ……なにも無いところから服が出てきた。でもこれ、メイド服では」


「う~ん。残念だけど、これが私の精一杯の一張羅(いっちょうら)よ。

 嫌かもしれないけれど我慢して。みんなジロジロ見ちゃうし……あとこれから『星の都』に入るのよ。そんな全裸でいられたら不審者すぎて即捕まるわ」


 メイド服の方が余計に不審者な気がする。しかし、全裸よりはマシか。まさかメイド服に身を包む羽目(はめ)になるとはな。



 ――で、数分後。



「………………」



 空気が死んだ。

 いや、どちらかといえば……ウェルカム?



「うわぁ。あんた、馬子にも衣装ね」

「あぅ……。兄様……とても可愛らしいです……素敵です♡」

「そんな、なんだか負けた気分になりました……。でも、なんでミニスカメイドさんなんですか!?」

「こりゃ参ったねぇ。こんなところに思わぬ伏兵がいただなんて。うーん、スクショ機能があったのなら、迷わず百枚くらい撮ったんだけどなぁ」

「しかも、ちゃっかりニーハイも。それに、なんという反則的な美脚。わたし、キッカーとしての自信が……」



 えー、なお、メサイア、フォル、リース、ベル、サイネリアの順で興奮気味に感想を述べてくれた。こんな格好で褒められても嬉しかねーよ……。


 てなわけで――ついに『星の都』へレッツゴーとなった。



 ◆



 【 星の都 アステリズム 】



 都を案内されながら歩くと、なぜか活気がなかった(・・・・)


「……ん。おい、サイネリア。これはどうこった。人っ子一人いないぞ」

「ど、どうなっているのでしょう……。いつもはもっと雑踏がありまして……人々の笑顔であふれているのに…………なんだか非常に嫌な予感がしますわ」



 彼女が不安がる通り、都の大通りには――



「こ、これは……」

「サトル、これ……この都の人たちよね」

「ああ、そうだろうな、なんでこんな倒れて……メサイア、そっちを頼む。フォル、グロリアスヒールで回復できるかやってみてくれ」


「わ、分かったわ」

「分かりました……」


 二人は、倒れている人たちの救出へ向かった。


「なあ、サイネリア。これは一体どうなってんだよ。ここの住人たち全員ぶっ倒れてるって……こんなことありえるのかよ」



「…………マグネター。まさかこの星の都にまで……」



 多分、そうなんだろうなと思考を巡らせていると……



『これはこれは……おかえりなさいませ、お嬢様』



 道の向こうから、誰がしっかりとした足取りで、歩み寄って来ていた。


「あなた……フェクダ」

「サイネリア、知り合いか」

「ええ、彼女は女準男爵(バロネテス)ですわ」


 いや、知らんし。

 まあでも、サイネリアと顔見知りみたいだし、なにより……。

 あのゴテゴテしたスチームパンク風のドレスで、コーディネートを装っているところを見ると貴族で間違いないな。



「これはご丁寧に、ご紹介ありがとうございます。

 ですがね、サイネリアお嬢様、お父上様がお呼びなんですよ。それ以外は……消せ(・・)とのご命令です」



「な、なんですって……彼らは『力』よ。なぜ」


「なぜぇ!? そんなこと、詮索(せんさく)せぬ方が長生きできますよ、お嬢様。さあ、こちらへ。あなたはお父上様には逆らえないはずですよ」


 ギリっと唇を()むサイネリアは……俺の方を向いた。



「申し訳ないですわね、サトル。どうやら、ここまでのようです……。裏切者と(ののし)って戴いても構いませんわ」



 と、サイネリアはキックスキルで俺を襲った。


「当たらんよっと。ついでに、お前を傷つけるつもりもないよっと」


 ブリッジして、俺は緊急回避。

 ……まあ、サイネリアのスキルの特性は分かってるし、動きは簡単に読めた。とりあえず、顎を砕かれなくて良かったぜ。



「みんな、横やり不要。いいな」



「分かってるよ~理くん。好きなだけ暴れちゃいなよ~。みんなはわたしが責任をもって盾で守ってあげるからさ」


「おう、ベル。ところで――こうブリッジして観察して悪いが……お前、ビキニアーマーを新調していたんだな」


「ん~? 今更気づいたのかぁ。でも、あんまりジロジロ見ないでね、恥ずかしいから。ていうか、このまま理くんの顔面を容赦なく踏みつけるから」


「踏み……それはそれでアリだな。――っと、頭に血が上る前に起き上がろうっと……おととととと!!」


 ――っぶね、あのフェクダとかいうヤツのレイピアが、俺の頭上を(かす)めていた。その剣先はベルの方へ飛んでいったが、シールドスキルが防いだ。



「チィ……外したか!」

「なぜ俺たちを狙う。この都の人たちもお前がやったのか」


「そう思うのなら……この私をどうするつもりかな。メイド姿をしたヘンタイさん」


「どうもしない」


「どうもしないだと……戦わないというのか、負け犬が!!」

「戦わないだなんて、一言も言ってないぜ。

 言っておくが、俺はそこらの冒険者とは戦法が違うんでね」



「なに!?」



 ヤツの攻撃に反応し――【オートスキル】が発動。



『チェンジマテリアル!!』



 ヤツのレイピアを物質変換し、グニャグニャのドロドロにした。

 早い話、ゴミになった。


「……っ! なんだこれは……! なぜ勝手に『武器破壊』が!?」

「悪いんだけどさ、俺たちの邪魔しないでくれるか。えーっと……フェ、フェンスさん? ん、違う、フェイバリット?」



フェクダだ(・・・・・)!!」



「――っと、あぶねっと」


 サイネリアのキックが飛んできていたが、病気のような弱弱しい蹴りだったし、本気じゃなかったので俺は彼女の足首を掴んだ。

 すると、逆さまになって、重力に引っ張られてドレスも(めく)れた。

 へえ、純白か。


「サイネリア。邪魔するなよ。俺たち仲間だろ」

「さあ、なんのことでしょうか。ですけれど、わたしは一旦、邸宅(うち)に帰りますわ。お父様に事情を聞いてみようと思いますの。ですから、こちらの邪魔はしないで戴きたいですわ」


 あんな真剣(マジ)に訴えられてはな。


「分かった。好きにしろ」


 手を放すとサイネリアは、宙で飛躍しクルクル回転してフェクダの元へ着地した。それから、なにか耳打ちし背を向けた。



「次に会う時は敵かもしれませんわよ、サトル」

「ああ、そん時はそん時だ。でも、助ける方法を必ず見つけるよ」



「………………メルシー」



 彼女はぼそっとそう言い残し、去った。



 ◆



 しばらくして、都は元に戻った。

 誰もが普通の日常を取り戻し、活気に満ちていた。


 どうやら、メサイアたちのおかげで人々は回復したようだ。――にしても、どんな毒を盛られたのやら。



「サトルさん♪」

「おうリース、どうした。なんか機嫌良さそうだな」

「ええ、見てください! この国の人たちを」



 んー? 普通に見えるけど。

 まあさっきは、みんなぶっ倒れて、正直死んでいるかと思っていたくらいだけど。どうやら、気絶していただけだった模様。いったい誰が何の目的で、あんなことを。


「――んぉ? ちらほら『エルフ』がいるな。へえ~、アヴァロン以外にもエルフがいたんだな。しかも、あんな美女ばかり……」


「むぅ~~~~~~…」


「おいおい怒るな。リースが世界一可愛いエルフに決まっているじゃないか」

「許しました♡」


「けど、あっちの娘も捨てがたいなぁ……お尻とか」

「……殺しますよ」

「リースが世界一可愛いエルフ」

「許しました♡」


「おほー! あのお姉ちゃんエルフの服……すげぇスケスケだぞ」

「……殺しますよ」

「リースが世界一可愛いエルフ」

「許しました♡」



 なんて繰り返していると、さすがにメサイアからお叱りを受けた。



「こら、サトル。リースで遊ばないの。

 お腹空いたし、なにか美味しいモノでも食べましょう」


「そうだな。都も元に戻ったし、まずは腹ごしらえだな」


 俺たちは良さげなお店を求めて歩き始めた。



 ふ~む……それにしても。

 『エルフ』と『星の都』……関係は深いな。

いつも応援ありがとうございます。

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