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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第一章 救世主

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第16話 女神の真実 - レベルはそれでも勝手に上がる -

「メサイアがどうした」

「その御方(おかた)は、女神ではない(・・・・・・)。正しくは『死神(・・)』だ」


 し……『死神(・・)』だって……?


「――だろうと思ったよ」

「な、なによ。気づいていたのサトル!」


 (あせ)りながらメサイアが叫ぶ。


「当たり前だろ。こんな黒服姿の女神なんぞおるワケないと思った。あと、やたら触れるのを嫌がるネックレス。あれも、禍々(まがまが)しいオーラを(まと)っていたしな。とても、神聖なモノとは思えなかった」


「……ふ、不覚。もう少し女神らしく振る舞っておけば良かったわぁ」

「女神じゃないと素直に認めるんだな、メサイア」

「まーね。でも、一応、女神よ。『元死神』の『現女神』ってとこ」

「なんぞそれ。死神が女神に転身したのか」


「それ話すと長いのよね。()(つま)んで話すのなら、この世はもともと女神で(あふ)れていたの。でも、今はひとり――いえ、ふたりを除いて全員、死神よ。だから、女神なんてほとんど存在しないの」


 女神が存在しない?

 なんじゃそら?


「そういう事情なので、サトル。私の花婿(はなむこ)になってください!」


 あの女騎士(チャルチ)、まだあんなこと言ってるよ……。

 意味分からんわ!


「俺は……メサイアが死神だろうが女神だろうが何だって構わん。俺にとってコイツは『救世主(メシア)』だからな。その事実だけあれば充分だ」

「そうですか……。サトル、あなたの意志は固そうだ。――では、私は無理を押し通してでも貴殿を奪い取るだけ――と、言いたいところですが、時間がなくなりました。残念です……」


 チャルチは剣を(さや)に収め、背を向けた。

 時間だって?


「この先の花の都フリージアを越えた場所にある『聖地パーシヴァル』という国で(いくさ)があるのです。……それでは、またどこかで」


 と、チャルチは宙をハイジャンプして飛んで行ってしまった。

 な、なんつージャンプ力だよ。

 ――いや、スキルを駆使して補助しているのか。チャルチの足元を見ると、氷の結晶の紋様が展開している。あれをバネにしているってところか。

 ありゃ、いろんな意味で只者じゃないな。


「あら。行っちゃった」

「い、行ってしまいましたねぇ」

「お手合わせしてみたかったのですが」


 メサイアもリースもフォルも空を見上げながら、つぶやいていた。

 ともあれ……助かった、のか?

 でも、(いくさ)って……物騒だな。


 【Lv.167】 → 【Lv.171】


 ――あ、そういえば、こうしている間にもモンスターを【オートスキル】で狩っていた。レベルアップっと。新しいスキルも取れそうだぞ。



 ◆



 小屋へ戻ったはいいが、リースと二人きりになってしまった。

 メサイアは、隣国の『聖地パーシヴァル』の情報取集だとかで、花の都フリージアへ向かった。フォルもその護衛に。ついでに、いろいろ物資を買ってきてくれるそうで、久しぶりに、マイホームの改築も出来るかもな。


「いやぁでも、このポテチは美味いなぁ」


 みんなと一緒に食べられなかったのは残念だが、いやしかし、改めてフォルの【料理スキル】は本物だな。おかげで、俺がかつて食っていたポテトチップスと同じものが完成した!

 これを食べられる日が来ようとなぁ……。

 感慨(かんがい)深いものがある。

 てか、まて……。

 このポテトチップスも自動販売(・・・・)したら……大儲け出来るんじゃ?

 売りまくって、家を建てるのもありかもな!

 夢が(ふく)らむなぁ。


 ――なんて今後の商売を考えていると、


「サトルさ~ん、お茶ですぅ」


 リースが熱いお茶を()れて来てくれた。


 ……フム。

 そういえば、リースには聞きたいことが山積(さんせき)していた。そろそろ、聞いておくべきだろう。こんな二人きりになる機会なんて滅多にないだろうし。


「なあ、リース。聞いていいか」

「はい? なんでしょう」

「単刀直入に聞くが……リース、キミの服についてなんだけど……」

「あたしの服、ですか?」

「うん。なんでそんなに、スケスケ(・・・・)なんだい?」

「ス、スケスケ……って? ……あ。あぁっ……!」


 今指摘されてようやく気付いたのか、リースは赤面してしまった。今にも大噴火しそうだ。……可愛すぎる。


「あ、あのっ。あのあの…………これはぁ……」

「お、おい、リース。もしかして、初めて気づいたのか!? いやさ、黄色が透けて見えてたし……」


 色の付いた布地がね。あと、ラインとかもね、クッキリと。おかげで、目の保養に最高でしたが。


「こ……こんな、はしたない姿でごめんなさいぃ……」


 リースは、(くちびる)()み涙目で、とても……すっごく恥ずかしそうにしていた。いやー、マテ、キミ、風呂上がりの時、裸で普通にウロついていたよね?


 なんで、今の状況で恥ずかしがるかな!?


 が、そんな風にされては、さすがに胸が苦しい。

 というか……正直、たまりません。


「ふぇぐっ……。は、恥ずかしいです…………見ないで下さいぃ」


 俺に見られているのが相当恥ずかしいのか、リースはその場で(かが)んだ。手で体を隠し、羞恥心(しゅうちしん)でいっぱいだ。

 一体、どういう心境の変化なのやら。

 意外な反応に、俺はどうしていいか困る……。


「そ、そのなんだ。そんなつもりはなかったんだ。なんかスマン」


 ――と、俺は自身の、ジャージの上着を脱ぎ、それをリースの肩にかけてあげた。


「……サトルさん」


 リースは、ウルッと瞳を(うる)ませる。

 そんな()(たま)れない状況に俺はつい、


「リース……誤解しないでくれ。俺、リースのことはすげぇ可愛いと思ってるしさ……」


 なんて、気持ちを馬鹿正直に吐露(とろ)してしまっていた……。

 あっ……つい雰囲気に流されて!!

 しまった、俺なに言ってんだー!

 バカか俺は……。

 こりゃ、嫌われちゃうかなぁ~…とか覚悟していると、


「…………」


 時が止まった。


「――――」


 自分も時が止まったが、次第にリースが俺に抱きついている。

 小さい、本当に小さな体が俺に密着を。

 しかも、リースは目を閉じ、まるでキスを待っているかのような……そんな体勢だった。

 ……やば。

 俺……今、心臓口から飛び出そう。

 動悸(どうき)が狂いに狂いまくっている。激しいくらいに。


 こんなに。

 こんなにもドキドキするのは、人生で初めてだ。たぶん、リースもいっぱいドキドキしているのか、心音が聞こえそうだった。


 あぁ、くそっ……手が震えてきやがった……。

 女性経験皆無(かいむ)の俺には(こた)えるぜぇ。



「リース……」


 なんとか気持ちを落ち着かせ、俺はリースの肩に手を置いた。



 そして、


 【LEVEL UP!!】

 【LEVEL UP!!】

 【LEVEL UP!!】

 【LEVEL UP!!】

 【LEVEL UP!!】

 【LEVEL UP!!】


 レベルが上がった。



「レベルアップうるせええッ!!」



 【Lv.171】 → 【Lv.177】



「あはは……サトルさん。レベルアップおめでとうございます」

「あ、ありがとな」


 すっかりそんな雰囲気でもなくなった。

 おのれ、いまだに鬼湧きしている『レッドオーク』と『レッドゴブリン』が攻めてきたのだろうな。なにもこんなタイミングで襲って来なくてもいいだろ。


 あとちょっとだったのに……!

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