第135話 大聖堂 - エクストラガチャ引いてみた -
トリスタンに連れられ、俺たちはある場所に向かった。
そこは、この聖地の――
例の『ナイツ・オブ・ラウンドテーブル』とかいうガチャが引ける【大聖堂】だった。
「まじか! でけー!」
はえーと、俺含め一同は大聖堂を見上げた。
本当、イカついな……。
中に入ると、どうやら、今日は【立ち入り禁止】になっていた。となると、俺たちの貸し切りか。
「お、アレは……なんだ?」
超特大の『エクサダイト』……!?
「そうです。あの人間サイズの『エクサダイト』は、凄まじい魔力を持ち、様々なアイテムを排出し、我々に恩恵を与えてくれるのです。しかし、利用には特別なチケットが必要でして、入手は困難を極めます」
トリスタンは、バカ真面目に説明してくれた。
「すげえな。アレだけでかいと、なんだかおっかないな」
「どうします? 良かったら、ガチャを引いてみますか?」
せっかくここまで来たし、少しくらい良いかもな。
「じゃあ悪いけど、寄り道させてもらうよ」
「どうぞ。私としても、何が出てくるのか興味がありますので」
なるほど――トリスタンも酔狂ってわけか。
「んじゃ、引く」
「どうぞ。【エクストラチケット】ですから――『エクストラガチャ』ですね。【使用】でガチャが開始されます」
「へえ。じゃ、いっくぞー!! っと、その前にフォル。手を繋いでくれ。お前の幸運が欲しい」
「え……わたくしが……欲しい!? う、嬉しいです♪ 兄様!」
「か、勘違いするな! お前の幸運が欲しいと言ったんだ!」
「分かっていますよ♪」
俺は、フォルの手を握った。
そして、みんなの注目が一斉に集まった。
「レジェンドレアきやがれ~~~~~~~~~~~~!!」
キュピ――――――――――ン!!
ガチャガチャ……ボコォォォ――――――!!
と、謎の効果音が響き渡った。
なんだそりゃ!
で、それは出てきた。
お――?
【 封印されし者の邪眼 】
コロッ……とまぁ、俺の掌にそんなベトベトな、グロすぎるモンが落ちてきた。
「――――――ぬ」
ヌメヌメー…………
「ぬめぬめええええええええええええええええええええ!?」
「「「「「ギャアアアアアアアアアアアアア―――――――!?」」」」」
みんなもそのギョロ目を見てビックリした。
「うわああああああ! なんだこの目、気持ちりィ!!」
どこが【エクストラ】なんだよ!!
しかも、レジェンドレアですらなさそうだぞ!?
俺はそれが不気味すぎて、地面に投げ捨てようとしたが――
「――――なんという神引き。これは、もう奇跡としか言いようがありません」
この声……どこかで………。
あれ。
そして、少年は俺たちの前に現れた。
なんという爽やかな笑顔。
あの砕けた笑顔は間違いない――
「アーサー少年……」
「お久しぶりです、サトルさん。それに、皆さん」
ペコペコと低姿勢で挨拶を交わすアーサー少年。
変わっていない、ちっとも。
「トリスタン、よくぞサトルさんたちを連れてきてくれました」
「当然の責務であります。王の為ならば、どのような命であろうと遂行致しましょう」
「つか、アーサー少年がなぜこんなところに。君は確か、【聖地・パーシヴァル】の復興支援をしていたんじゃ」
「はい。確かに【聖地・パーシヴァル】の一件――『アルティメット・デス・アナイアレイション・ドラゴン』討伐では大変お世話になりました。ですが……」
アーサー少年は辛そうな表情を見せ、だが、振り絞って言葉を出した。
「聖地・パーシヴァルは再び滅びました」
…………え。
聖地・パーシヴァルが滅んだ……?
「な……滅んだ」
「はい……残念ですが」
「なにがあった! 教えてくれ!」
「ええ。その為にも、あなた方に【エクストラチケット】を握らせたのですから」
うげ!
まさか、あのメサイアに言い寄っていた男って、そういう事だったのかい!!
身に覚えのあるはずの当人は、キョトンとしていたがな。
「なんてこった。俺たちはアーサー少年の掌で踊らされていたわけか」
「人聞きの悪い言い方をしないで下さいよ~サトルさん!
それより、大変なんです! 聖地・モードレッドから脅威が迫っています。竜殺し……『ドラゴンキラー』がこの聖地・トリスタンを滅ぼそうとしているのです!!」
「なんだ!? なんの話だ!?」
『慌てない慌てない。サトルさま、どうか我がアーサーをお守り戴きたい』
落ち着いた声が場を支配した。
なんかまた出てきたぞ!
てか、この声といい……あの角といい……!!
「あ! モンスターレース会場にいた……イゾルデの協力者!」
捕まえたはずのベルが驚いていた。いや、俺も驚いた。
「見覚えがあると思ったら……そういうことか」
アーサー少年といえば、傍に付き添っていた女性がいた。
彼女の名は――。
「マーリン」
「これはこれは、憶えていらしたとは光栄の極です。さて、手っ取り早く行きましょうか」
マーリンは指を鳴らし――
なんと……いきなり、俺たちを別の場所に飛ばしやがった。
これは【テレポート】か!?
「……どこだ、この砂漠!」
「聖地・トリスタンの外です。さあ、あと数分後には巨大な『ドラゴンキラー』が降ってきます。それを皆様に阻止して戴きたいのです」
「はぁ!? んな無茶な!!」
マーリンのヤツ、なにを言って……。
「マーリンの言っていることは本当です。僕を信じて、サトルさん」
「アーサー少年……。おまえ、ベルに抱かれてんじゃねーぞ、クソ羨ましいな!」
「え……うわ! ベルさん、なぜ僕に抱きついてくるんですか!?」
そや、前の【聖地・パーシヴァル】でも、ベルは、アーサー少年を気に入っていたな。くぅ~マジでそこ変われ!!
「いや~だってさ、アーサーくん、ふわふわしててさ~小さいし。なんかね、子供の頃の理くんにソックリなんだよね」
むぅ。怒っていいやら何やら。
――ってそりゃいい!!
「ああもう……次から次へと。じゃ、なんだマーリン。俺たちがその『ドラゴンキラー』を何とかすりゃいいんだな」
「ええ、お願いします」
しゃーねえ。
やるしかねーだろ!!
「メサイア、俺にフル支援を! フォルは『グロリアスサンクチュアリ』を聖地全体に張ってくれ。それとベルは、アーサー少年を守れ。リース、いざとなったら……【アルマゲドン】の使用を頼む。いいな」
みんな静かに頷く。
「サトルさん。僕もあなたに力をお貸しします」
「……え。アーサー少年が?」
「はい。僕には特別な力があるんです。サトルさんになら任せられますから。どうか、コンスタンティンに渡らぬよう使って欲しい」
アーサー少年は『黄金』に光りはじめた。
この光――。
この聖なる光は、まさか。
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