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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第二章 聖地巡礼

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第124話 待ち望む聖剣

 エルフの郷・アヴァロンを去った。


 去っただけで、俺は『家』をアヴァロンの付近に建てた。



「サトルさん……。あの、旅立つのでは……」



 リースが死んだ魚のような目をしていた。



「アヴァロンからは出ているぞ。

 近くに住む予定なだけだ。……だってよ、アヴァロンって、バインバインのもちもち美人エルフが多いんだぞ!! もっと楽しまないと損だろ!?」



「……サトルさん! むぅ~~~!!」



 顔を赤くして、ふくれっ(つら)になるリース。

 あれ……珍しいな。



「エルフならここにいるでしょ! あたしで十分ではないですか!」



「すまんリース……」

「え……!?」



「確かに君は、金髪で、背も低くて可愛げがあって……出てるところ出てるし、かわいいけど……」



「けど?」



「好き」

「……はい♡」



 ――なんてやっとると、空から――



「うおっ!? 盾!?」



 盾が猛スピードで降ってきていた。超デカイやつ。



「な、なんだベルか。そや、すっかり忘れていたわ。おかえり」

「ごめん。遅くなった」


「遅くなったってお前……今までどこで何をしていたんだよ。ほんの少しだけ心配したぞ」

「ほんの少しか~。ひどいなぁ。こっちは大変だったんだよ。最高指導者(プロビデンスマスター)とかの相手でさ」



「――――? なんだって?」



 今とんでもないことを聞いた気がする。



「いや、だから、最高指導者(プロビデンスマスター)って、オールバックの似合わないヘンな奴が襲ってきたの。余裕で倒したけどね」



 ど……どういうことだ!?


 ベルのところにも最高指導者(プロビデンスマスター)が!?


 バカな。生きていたのか……いやしかし、ベルは倒したと。



「その最高指導者(プロビデンスマスター)だが、俺も倒したぞ」


「へ? 理くんも!?」


 驚くベル。顔ちかっ!!


「近いって。そう、俺らはお前と別れてからみんなと一緒に『グラストンベリィ』へ行った。そこヤツが現れて、魔剣を――」



 かくかくしかじかっと説明すると、ベルは、



「ふぅん……そっちにもか」


 要警戒だね。と、ベルは俺の肩に手を置く。



「ベル。お前、神王様に聞いてみてくれないか。最高指導者(プロビデンスマスター)のこと」


「……そんなコトもあろうかと、シアを通じて聞いておいたよ」


 あ、そか。

 メサイアのスキルで聞けばよかったんだ。


「さすが、ベル。で、何かわかったか?」

「うん。最高指導者(プロビデンスマスター)はね……双子の兄弟のようね。だから、私の方には『弟』が現れたみたい」


「双子の兄弟だったのか! ……でもどっちも倒したし、もう大丈夫か」


「警戒はしておくべきだね」


 ――と、ベルは俺の方へ倒れこんだ。


 ぐぅ~~~、とベルの腹から音が鳴った。


 なんだ、腹減っていたのか。


「動きすぎてお腹へっちゃった……」



 新スキルを試しまくっていたところ、最高指導者(プロビデンスマスター)の弟に遭遇、かなりヤバめな激戦になって帰ってきたようだ。


 だから、ハラペコなのだか。


 よし、美味しいもん食わせてやるか。



 ◆



 【 聖地・コンスタンティン - 王の間 】



 王のもとにドクトリンが裏切り、暴走した末に倒されたと情報が入っていた。


「愚か者が。奴は所詮、金の亡者……それだけのつまらぬ男だった」


 だが、王は首を(ひね)った。


 あのアヴァロンに『聖剣』がなかったのだ。

 信頼できる情報屋によれば、あそこには確かに『聖剣・エクスカリバー』が眠っていたという。しかし、あったのはニセモノの『魔剣』だった。



 だとすれば……



「そうか。すでに持ち出されていた――ということか。聖剣があるかのように見せかけ……『魔剣・エクスカイザー』とすり替えた……と。

 そんな珍妙なスキルを行使できる者はただひとり……『マーリン』め……くだらぬ」



 そして、王は怒りのままその少年の名も叫ぶ。



「アーサー!! 貴様に聖剣は渡さぬ!!!」



 ・

 ・

 ・



 ◆



 【 聖地・トリスタン 】



 少年アーサーは――笑っていた。


 この上なく上機嫌に。


 とある、面倒臭がりのおっさんと同じように。



 少年には、この先に何が起こるか分かっていた。



 彼とまた会える、と。



 待望を胸に、夕陽を望む。

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