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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第一章 救世主

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第12話 武闘派聖女 - 一撃必殺の覇王天翔拳! -

【花の都フリージア:草原フィールド】


 メサイアによれば、この周囲には【Lv.100】相当の『レッドゴブリン』に『レッドオーク』が大量に生息する危険地帯(・・・・)だという。そや、そうだったな。


 だけど、レッドゴブリンにレッドオークだと……?

 俺の知るゲームの世界の仕様とは少し違うらしい。


 なんだかイヤな予感がする組み合わせだ。

 俺がどうにかして、メサイアたちを守っておかないとマズイ気がしてきた……うん、小屋には絶対近づけさせないぞ。


 俺は、小屋の周囲を固めるべく【オートスキル】の『煉獄(れんごく) Lv.2』と『ヒドゥンクレバス』の発動に問題がないかを念のため確認(チェック)した。


「オーケー」

「なにがオーケーよ?」


 メサイアがベッドの上で、黒いワンピースのスカート部分をたくし上げていた……。なぜ、たくしあげる! アレが見えそうだぞ、アレが! ギリギリ見えてないけども! でもちょっと見たい気も!


「メサイア。それ以上は危険だぞ」

「あぁ~…これ。なに、意識しちゃった~?」


 ニッ……と、悪戯イタズラっ子のような表情を俺に向けてくる。

 いやだってなぁ。あと数センチなんだけどなぁ。(きわ)どいところまで来ているのに、不思議と見えないものだ。どうなってんだか。


「これでも俺は男。……一応、健全な男子なのだ、多少なりとも意識はするぞ」

「そうね。男の子だもんね。でも、残念でした~! これはね、こうすると――」


 と、メサイアはスカートの中から『醤油煎餅(しょうゆせんべい)の袋』とこの世界の通貨であるお金『プル』を落とした。ベッドの上にたくさん落ちてる。


「はぁ? どうなってんだよ、お前のスカートの中……」

(のぞ)いてみる?」

「……バ、バカ。出来るか! そんな事……。教えてくれ、それはどーゆー理屈(りくつ)なんだ」

「ふふ。そんな顔を真っ赤にして、案外可愛いところがあるのね、サトル」

「う、うるさい……」

「じゃあ、説明してあげるけど――」


 メサイアがスカートについて説明しようとした、その時。



「サトルさん!」

「兄様!」



 リースとフォルが慌てた様子で俺を囲んだ。叫んだ。なんだ騒々(そうぞう)しい。


「どーした、ふたりとも。俺は今、メサイアのスカートの謎について(たず)ねているところなんだ。忙しいから後にして…………ん?」


 ん!?

 なんだか、小屋の外が変だ。


「サトルさん。外に『レッドオーク』がいっぱいですぅ!!」

「マジか! 来やがったか!」


 俺は、窓に向かいおそるおそる顔を出した。

 するとそこには……

 数十体の『レッドオーク』の群れが。


「……多いな。しかも【Lv.160】もあるのか。……んなッ!」


 おかしい。

 俺の【オートスキル】で燃えていない。凍ってもいない。いつもなら、ある距離までモンスターが接近すると自動的に排除(はいじょ)されるのだが、まったくされていなかった。


 どうして?


「メサイア、あのレッドオークだが」

「違う……」

「違う? なにが違うっていうんだ?」


「レッドオークじゃない! アレは、突然変異(ミューテーション)の『タイラントオーク』よ!! ボス属性付きのヤバイヤツよ!」


「なに!? 『タイラントオーク』だって…………って、なんだそれ」

「あんたね……」


 メサイアは、呆れた顔で俺を見る。

 オイヤメロ。そんな可哀相(かわいそう)なガキを見るような目で俺を見るな!


「とにかく、ヤバイのよ!! いったん、小屋から出るわ。生命(いのち)優先よ。いい皆」

「は……小屋から出るだぁ!? んな事できるか。小屋が破壊されたらどうする! そんな真似をするくらいなら、俺は戦うぞ」


「戦うって、あんたのレベルじゃ無理よ。確か今【Lv.107】だっけ。ちょっと(きび)しいわ……。それに【オートスキル】もほとんどダメージを与えられていなかったでしょ」


 ちょっとか。

 ちょっとならいけるだろ。

 一応、少しダメージを与えてはいたらしいが……効かなかったのは、なかなかに(くや)しいな! レベルがまだ低いってことは理解できるが、くそう!


 つーか、そもそも、戦力はなにも俺だけじゃない。


「おい、メサイア。リースとフォルの存在を忘れていないか? このエルフと聖女は、そのタイラントオークを超えるレベルだぞ。一応、リース【Lv.329】、フォルトゥナ【Lv.533】だ。余裕だろ」

「それはそうだけど、リースは戦うのが好きじゃないでしょ。フォルも聖職者(プリースト)だし、戦闘には不向きじゃないかしら」


 なんだか、メサイアはいつになく弱気だ。

 だが、俺はそうは思わない。


「リース。一緒に戦ってくれるよな?」

「良いですよ~。小屋がなくなったらひきこもれないじゃないですかぁ。ですから勇気を振り(しぼ)ってでも戦います! ……でも、あたしは後方からしか戦えないです……」


「充分。よし、じゃあ、フォルはどうだ?」

「お任せ下さい! タイラップだかタイアップだか知りませんけど、わたくしの奥義『覇王天翔拳(ハオウテンショウケン)』をついにお見せする時がきましたね!!」


 ぶんぶんとフォルは、シャドーボクシングを繰り出していた。


 は、速い……!

 むちゃくちゃ速い!


 手元がまったく見えないぞ!


 結果、二人とも乗り気だった。

 つーか、フォルに至ってはる気マンマンで闘志(とうし)をメラメラ燃やしている。なんか、いつもと違って生き生きしてるな。なんていうか……これ以上なく、バイタリティ(あふ)れている。心強いなぁ。


 にしても、なるほど……『殴り聖女』はあながち間違いではないらしい。


「みたいだぞ、メサイア」

「ぐっ……お、おかしいわね。……ああ、もう分かった。戦えばいいんでしょ、戦えば!」

「よっしゃぁ、俺たちの小屋を守るぞ……!!」



 ◆



 ありがとうございましたぁぁぁ!! フォルトゥナ様!!


「つ、つえぇぇ…………」


 数十体はいた【Lv.160】の『タイラントオーク』は全滅した。フォルの奥義『覇王天翔拳(ハオウテンショウケン)』とやらの大技スキルが連続(コンボ)攻撃されまくった結果だ。

 演舞のような柔軟(じゅうなん)かつ機敏(きびん)な動きで、次から次へと一撃(・・)で『タイラントオーク』を拳で沈めていた。


 あの動きはヤバかった。人間を辞めていた動きだ。

 そもそも……なんも見えなかった(・・・・・・・・・)んだけど。速すぎて。


 唯一、蒼白い龍とか虎のエフェクトがド派手に見えた気がするが、如何せん一瞬の出来事。俺の今の動体視力じゃあ、到底(とら)えきれないらしい。


 くそう、歯がゆいぜ。


 ただ、言えることは、アレは、インフレした少年漫画並みのハイスピードだったとは思う。うん。間違いない。あんな戦闘民族を見た事がある。

 あの聖女は……フォルは……プリーストというか、どっちかといえば、武闘派の『モンク』だな。


「ふぅ~~~……。如何(いかが)でしたか、兄様!」


 可愛らしくウィンクを飛ばしてくるフォル。

 いやぁ、そりゃもうね、イロイロ凄すぎてなんと言っていいやら。


「あ、あぁ……圧巻(あっかん)だったよ。格好良かった。フォルのおかげで俺たちも小屋も助かったよ、ありがとな」

「い……いえいえ! こ、これくらい普通ですよ」


 フォルは、モジモジと体をくねらせ、すっごく照れていた。よっぽど嬉しかったのか、笑顔が(こぼ)れ落ちそうだった。そ、そんな顔を向けられると、俺……()れてまう。


「ま、まあなんだ。フォルは本当に『殴り聖女』だったんだな。感服(かんぷく)したよ」

「ええ、これでわたくしの強さがハッキリ分ったかと思います。ですので、兄様。以後は、わたくしを子ども(あつか)いしないでくださいね! ちゃんと大人のレディとして扱ってくださいまし」

「あぁ、認識を改めるよ。さて――」


 さて、小屋に戻るかと、背を向けようとしたところ、


「きゃぁぁぁあっ~~! こっちに『レッドゴブリン』現れましたぁ!!」


 突然、リースが叫んだ。

 後方から『レッドゴブリン』の群れが!

 ……くそっ、終わったかと思ったのに!


「よし、今度こそ俺の出番だな。みんな、手出し不要だ。俺の【オートスキル】でヤツ等を倒す…………すぅ!?」



 あれぇ~~~…おかしいなぁ。

 『レッドゴブリン』は確かにいるんだけど、その更に後方から『巨大なゴブリン』がのしっと現れた。デカイ。かなりの巨体だ。



「おい、メサイア。あれはなんだ」

「あれは……『キングレッドゴブリン』らしいわ。ボスね」

「そうか、ボスか」

「ええ、ボスね」

「……なんだってぇえええ!?」



 次から次へと!!

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