表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第二章 聖地巡礼

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/572

第109話 宝の在り処

 赤い月。

 血が(にじ)んでいる。まるで月が血の涙を流しているかのように不気味で、恐怖心を(あお)っていた。そんな真っ赤な月だった。



 嫌な予感を抱いたまま、リースと外へ散歩(・・)へ行くことにした。が、異変に気付いた皆も合流してきた。家の外には、俺、メサイア、ベル、フォル、リースといつものメンバーとなった。……おっと、パロもだったな。


「なんだ、結局みんな集合か」

「なんだって何よ、サトル。散歩とか言いつつも、このアヴァロンに眠るという伝説のお宝探しに行くんでしょ? 独り占めはさせないわよ」


 と、メサイアはまるで名探偵であるかのように、ビシッと指をさしてきた。


「チッ。バレたか。そうさ、リースとデートついでにお宝探ししようと思ったのさ。……まあ、無断で悪かったよ。みんなもスマン。この通りだ」


 俺は素直に頭を下げた。


「お気になさらず兄様。それより、お宝ですよ! リース、そのお宝って『聖剣』のことじゃないですか!? そうですよね!」


 フォルは目を輝かせ、興奮していた。むしろ、リースに襲い掛かっていた。……おい。なにしてんだこのヘンタイ聖女。


 そいや、フォルのヤツも随分と前に『聖剣』の話をしていたっけな。


「フォルちゃん、そんなにぎゅっとしないでぇ~~~! あと、変なところ触らないでください~~~!」


 へ、変なところ!? どこだ!? どこなんだ!?


 夜で視界が悪いんだよね……チクショウ。


 ワーワーやっとると、ベルがフォルを引きはがした。


「そこら辺にしておこうね、フォルちゃん。リースちゃんが苦しそうだよ」

「あ……ベルさん。すみませんです」


 ほう、ベルのヤツ、すっかりお姉さんポジションだな。

 相変わらずの露出度90%超えのビキニアーマーだけど。


 おっと、ベルのビキニアーマーに見とれとる場合じゃない。


「さあ、みんな。お宝探しに行くぞー!」


 俺はみんなに号令を出し、出発を宣言したが――。



『まてい!!』



 図太い声に静止させられた。


「誰だ止めたヤツは!」

「私だ……さっき振りだな、サトル」

「あ、あんたは! リースの親父さん……ふんどし一丁で何やっとるんですか!?」

「そんな事はどうでもいい」

「いやよくねーだろ!? 若い娘さんの目の毒だぞそれ。あー…ほら言わんこっちゃない。女性陣、めっちゃ引いてるぞ」


 俺は、リースにジェスチャーで振ると、


「お父さんサイテーです」


 そんな核ミサイル並の一言が返って来た。


「ぬぉぉおぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!」


 リースの親父さんは、即死級のショックを受けていたが、なんとか踏みとどまっていた。なにっ!? アレを耐えるだと……! 俺だったら死んじゃうね!


「…………くぅ。……い、いいか、サトル。悪いがアヴァロンから出て行ってもらう。今すぐにだ」


「はぁ?」


「聞こえなかったのか? 追放(・・)といったのだ」


 まて、親父さんは何を言っている?

 追放だって?


 エルフの郷を?


 なぜ、ホワイ?


「逆恨みならよしてくれ。俺は宝探しに行くんだ」

「宝探しだと!? 罰当たりな! おのれ……所詮はよそ者、賊だったか。信じた私が愚かだった……。今なら娘に免じて見逃す。頼むから、静かに出て行ってくれないか!」


 あの目は本気か。

 親父さんは正気を失ったワケでもなさそうだ。ならば、ここで対立しても無意味。彼の言葉に従い、俺たちは出ていくしか――。



『そうはさせん!! 我らエルフの郷に不法侵入(・・・・)した輩がいると聞いていたが、……お前が(かくま)っていたとはな!! ベラドンナ!!』



 ベラドンナ――リースの親父さんの名前か。

 そんな名前だったとは、意外すぎた、いや、そこはいいな。


 それより、またエルフが複数人現れた。

 今度はちょっとイカついおっちゃん達だ。


「ベラドンナ。お前は俺たちを(だま)していたんだな」

「ま、まて! 違う。この方たちは娘の仲間で……ええい!!! サトル、私の大切な娘を……リースをよろしく頼む……! 娘は……私の宝なんだ……傷ひとつ付けてみろ!!! お前とリースの結婚は絶対に認めんからな!!」


 その言葉の次には、親父さんは激しい光を同胞(エルフ)達に向かって放ちまくっていた。なんて、スキルの連射速度だ……バケモノか!



「お……親父さん! あんた! 分かった……!」



 俺が戦っても良かったが……。

 いや、それをしたら余計に心象を悪くさせてしまう。


 ここはリースの親父さんを頼りにするしか……ない。


「お父さん! お父さぁぁぁぁぁあん!!! サイテーなんて言ってごめんなさい! だから……だから、戻ってきて!!」


 リースは大粒の涙を流し、親父さんのもとへ駆けだそうとしていたが、メサイアに止められていた。



 そうして、俺たちはエルフの郷・アヴァロンから追放された。



 ◆



 郷から離れ、まだアヴァロンが見える距離。


 赤い月が俺たちを見下すように、ゲラゲラと笑っていた。


 今宵起きるであろう、運命を暗示しているかのように。


 その通り、残酷な運命がまた始まった。


「サトにゃん、アレを見るにゃ!」


 見張り番をしていたパロが、アヴァロンの方角を指さし騒ぎ出した。……まさか。



 まさかなのか。



「……そんな……」



 リースが信じられないと手で顔を(おお)っていた。



 ……アヴァロンが燃えていた。

 メラメラとグラグラと……。こんなに離れているのに、熱気が伝わってくるほどに、その炎は凄まじかった。


 ――アヴァロンはまた(・・)滅んだ。



 ……また?



 なんで、俺はまた(・・)と思った?

 そんなはずはないのに。この違和感は何だ。

いつも応援ありがとうございます。

もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら、ぜひブックマーク・評価をお願いします。感想もお気軽に書いて戴けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ