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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第二章 聖地巡礼

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第105話 円卓のはじまり

 アヴァロンへ向かう。

 そう結論に至ったが、どうやって?

 今から海へ出るにも時間が掛かりすぎる。準備をしている間にも、軍に追いつかれてしまうだろう。なお、海軍もいるらしいので、海もすでに展開中のはず。


 となると、抜け道はないように思えたが、その心配も杞憂(きゆう)に終わった。



「そんなに焦らなくても大丈夫ですよ、サトルさん。このウルトラレアアイテムの『ユニリング』を使えば、なんと、アヴァロンへ帰れるんです!」



 じゃじゃ~んと可愛らしく出されたそれは、エルフの郷に帰還できる――もといワープ可能な代物らしい。なんだその便利アイテム!



 てか、それがあるんだったら、直ぐに帰れるんだよな。



 なんて疑問に思っていれば、リースが補足を入れてくれた。


「このアイテムには制約がありまして、一か月に一度しか使用できないんです。ですので、今日が丁度、再使用できる日なんですよー」


 なるほど、今までもこっそり家に帰っていたんだな。ともかく、それがあれば一発でエルフの郷へ行けるワケか!!


 すごい!!


 これなら、軍勢と鉢合わせることなくオサラバ出来るわけだ。素晴らしい。実に素晴らしい。


「よし、行こう」

「はい! では、皆さん、あたしの肩に手を」


 指示され、俺含めみんなリースの肩に手を置いた。いよいよだ。


 これで何事もなくエルフの郷へ――そう思ったその時だった。


 遥か遠方から大勢の声が。



「「「「「――――――――――!!!」」」」」



 なんて数、コンスタンティン軍か!!

 もうそこまで来やがったか!!


 いくらなんでも早すぎるぞ……!


「まずい、リース。急いで移動を頼むぞ!」

「はい!!」


 ギリギリワープ出来るか……!


 間に合え……!


 そう祈りを込めたが、俺の方に向かって『剣』が飛んできた。



「うわっ!!」



 俺は咄嗟(とっさ)にそれを回避し、リースから手を放してしまった。



「あ……」



 まずい、リースたちに置いていかれて――



 しまった……。



「……おい」



 ウソだろ……俺だけ置き去りかよ。つーか……



「「「「「――――――――――!!!」」」」」



 軍がもう目と鼻の先だった。



 こりゃ…………戦うしかないか?



 いや、戦う意味がない。

 ひと暴れしたところで得られるのは、俺が悪者になるということだけだ。


 だったら逃げるしか、どこかに隠れる(・・・)しか……。



 隠れる……?



 俺は自身の右腕に付けているバンドを見た。



 いつしか手に入れ、最近はすっかり活躍することのなくなった『ファントム』があった。それは『インビジブル』状態になれる――つまり、透明人間(・・・・)になれる神器に等しいアイテムだ。


 使い方は簡単。

 タップするだけでいい。


「っしゃぁっ!!」


 なんでそんな重要なことを忘れていたかなぁ俺!

 即タップし、自身の姿を透過した!


 よし、この状態で安全なところへ――。



 ◆



 聖地・コンスタンティンの街は観光客と軍人でごった返していた。そのおかげもあり、俺はその雑踏の中へ紛れることに成功した。

 だが、もとより俺の姿は透明。見えるはずもないが。


 見えるはずもないのだが……。


 露天商が連なる場所で、俺はふと視線を感じた。


 ん……?


 あの少女、俺の方をじっと見ている?


 いや、そんなはずはないよな。今の俺は透明人間だぜ。見えるはずがない。そんなワケはないと、歩き出すが、やはりその視線は俺を追っていた。


 ……なんで俺を見ているんだ。


 つーか、まずい。

 もしも見えているのなら、あの少女が叫びでもしたら、俺は軍に見つかって終わる。そうなる前にも、早々に立ち去る方がいいな。


 しかし、少女は俺の方へ歩み寄り――



「おにーさん幽霊にゃ?」



 そう言い放った。


 にゃ?


 いや……やっぱり、見えているのか!!


 ああ、こりゃまずいぞ……。



「違う違う、俺は幽霊なんかじゃない。フツーの人間で、これはワケあって透明化しているだけなんだよ」

「そうなんだにゃ。てっきり妖精さんかにゃーと」

「……さっき幽霊って言わなかったか?」

「そうだっけ? そんにゃことより、おにーさん軍に追われているんでしょー。助けてあげよっかにゃ?」

「な、なぜそれを!」

「街に軍人多すぎだし、いつもはこんな物騒じゃにゃいから。だから、大体は察しがつくにゃ。それより、ここで叫ばれたくにゃいよね~。じゃあ、こっちへおいでにゃ。安全な場所があるんだにゃぁ~」


 少女に腕を引っ張られ、俺はどこかへ連行されることになった。


 まだ同意もしていないんだけどなー。

 ……軍に捕まるよりはいいか。



 ◆



 街からかなり離れた場所に、少女の家はあった。


「なっ……! こりゃ家つーか大豪邸!」

「ここがパロの家にゃー」

「キミはいったい何者……」

「あー、申し遅れたにゃ。パロミデスがぼくの名前だにゃ~。パロと呼んで欲しいにゃー。よろしくにゃー! サトにゃん」



 『パロミデス』――少女は屈託(くったく)のない笑顔でそう名乗った。



 あ……?

 サトにゃん??

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