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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第一章 救世主

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第11話 炎の騎士 - 煉獄と青炎の激闘 -

 大通りの向こうから、馬に(またが)った男たち三人がやってきた。イカツイ鎧に、ゴツイ剣とかいう()りは、どこかの国の『騎士』ってところだろうか。顔は(かぶと)(おお)っているので見えない。


 そいつらは、俺たちの目の前まで来ると……


「貴様か。貴様が炭鉱の『SHEEP(シープ)-RX87-2』を倒したと聞いた。誠か?」


 若い青年の声。

 俺と同年代、二十代っぽい男って感じ。馬から威圧的に見下ろされているが……ん? 炭鉱ボスモンスターだって? そりゃ、以前に倒したな。


「あぁ~、それ俺。これでいいか、じゃあな」

「……まて。どうやら本当のようだな」


 青年騎士は馬から静かに降りた。

 只ならぬ気配……こりゃ、ひと悶着(もんちゃく)あるなと俺は思った。だるいな。逃げようか。全力の猛ダッシュで逃げてやろうか。


「ふっ、随分と逃げ腰だな。女を連れているクセに情けない(・・・・)ヤツだな」


 ぷっつーん。

 殴る。一発ぶん殴る。


「まあまあ押さえて、サトル。挑発に乗ったら負けよ」


 (さっ)したメサイアが俺を(おさ)えてくる。

 むぅ……そうだな。冷静になれ俺。喧嘩(ケンカ)を買ったところで、なんの得にもならない。メリットあるか?


 ない。な~んもない。


「かったりぃし、お前と戦うつもりはないよ。じゃあな、俺たちは帰る」

「そうか……。なら、我がアーカム家に伝わる秘技……『ファイアーボルト六連』を喰らうがいい!」


 騎士はいきなり剣を抜き、構えた。

 なにッ!?


 ファイアーボルトだって?

 それ自体は王道の火属性魔法スキルじゃないか。だけど、六連だと!


 俺がプレイしていたサクリファイスオンラインでは通常、スキルの発動はどんなに多くても二~三連続が限界だっていうのに、それを上回る六連だって? そりゃトンデモない威力に違いない。てか、マズイ。いきなり襲ってくるとかコイツ本当に騎士か!? 騎士道精神とやらはないのか!


 青年騎士は剣をブンブン振り回し、嵐のような()い炎の(うず)を上げた。って、マジか。


「あ、()い……炎!?」


 俺は息を飲んだ。

 なんて火力だ!!

 そういえば『青』って完全燃焼していて、温度が凄く高いんだっけ……? ――いや、それよりだ。俺は、目の前に太陽があるかのような熱気にやられそうだった。なんてクソ熱い……! 灼熱(しゃくねつ)だ!


「サトルさん! もし、必要ならサポートしますよ!」


 てくてくと歩いてきたリースが心配してくれる。でも、大丈夫だ。俺には女神がくれた【オートスキル】がついている!



「くらえぇぇぇッ――!! ファイアーボルト六連!!」



 騎士(ヤツ)がスキルを放出した。

 ――だったら、俺は自慢の【オートスキル】で応戦だ。



「もっとも俺は……自慢じゃないが、立っているだけだがなッ!!」



 ファイアーボルト六連が直撃してくる寸前、俺の【オートスキル】の『煉獄(れんごく) Lv.2』が発動した!!

 あれからパワーアップした『煉獄(れんごく) Lv.2』は更に火力が増し、イノシシの時とは比べ物にならない程の、そりゃあ、自分でも爆笑してしまうほどの超馬鹿火力となっていた。



『ゴォォォオォォォオォォォォオォォオオオオ!!』



 突如(とつじょ)として『青炎』と『煉獄』が衝突する。

 もちろん『煉獄』の方がランク的に上だ。しかも高火力となった『Lv.2』だぜ。


 呆気なく騎士の炎を押し返し――


 飲み込んだ。



「「「ぎゃあああああっ!!!」」」



 後方で戦闘を見守っていた騎士達もまとめて炎に包まれた。強烈な炎の柱が上がるや騎士たちは倒れた。――倒した!



「やれやれ、終わったな。さすがに死んではいないみたいだが」

「そうみたいね。さすがに高レベルの騎士たちのようだから、皆ある程度のダメージを受けただけみたいだけど……うん、気絶してるみたい」


 騎士を枝で突くメサイア。

 どうやら、俺の勝ちみたいだな。


「サトルさ~ん、ケガとかないです?」

「兄様! さすがです。わたくしは信じておりましたよ! もし、治療が必要ならお申し付けくださいね。癒しの力でヒールしますよ」


 リースとフォルも俺を心配してくれた。気づいたら、俺はみんなから心配してもらえていた。……俺はなんて幸せものなんだ、ちょっとホロリときたぜ。


「これくらい平気だ。コイツ等は放置して……帰ろう。俺たちのマイホームへ」


 騎士たちを悪臭漂う馬小屋に投げ捨て、俺たちはこの場を後にした。にしても……あの騎士たちは一体なんだったんだ?



 ◆



 小屋に帰ると、フォルが『ぼたん鍋』――つまり、イノシシ鍋を作ってくれた。

 そういえば、まだイノシシの肉の在庫が大量にあるんだった。幸い、俺のスキル『ヒドゥンクレバス』で冷凍して簡易冷凍庫の中に放り込んであるので、(くさ)ることはないが。


 みんなで和気藹々(わきあいあい)卓袱台(ちゃぶだい)に置かれた鍋をつつき、舌鼓(したつづみ)を打った。ちなみに、卓袱台(ちゃぶだい)は『鉄の街ジャービス』で買ったものである。



「イノシシの肉いっぱい取っておいて良かったな、メサイア」

「そうね。思えばあの『草原フィールド』に(とど)まっていても良かったかもね」


 一輪の花のような笑みを浮かべるメサイアは楽しそうだった。


「そうですね、あたしは引きこもりたいので、メサイアさんに賛成ですがっ」と、リースは液体のようにとろける。そして、その隣でフォルも「わたくしは次の街へ行ってみたいです。いろいろ見て回ってみたいので。兄様はどうしたいですか?」と視線を向けてきた。


 ――俺か。

 うーん。俺もどちらかといえば、寝てゴロゴロ出来ればそれでいいんだが。イノシシの肉はまだ沢山あるし、さっき街で野菜や調味料もたんまり買った。この人数だし、しばらくは余裕でやっていける。


 それに、何よりも可愛い女の子達と一緒に生活……最高だね。酒がウマすぎるぜ。


 そして『小屋拡張』の為の材料も(そろ)ってきた。これで、悲願であるマイルームも作れるかも。せめて、小屋は大きくしたいところだな。


 よしよし、楽しくなってきたぞ。


 次はそうだな~?

 この波に乗って、次の街の前まで行ってみるか!


 そこで、ひとまずはまったりして、拡張して……家を豪華にしていこう!

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