表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チュートリアルと思ったらチートリアルだった件  作者: へたまろ
第4章:魔王クラタ誕生「魔王ですか?」「いいえ、会長みたいなもんです……」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/137

第2話:アンデッド参勤交代

 ヴラド伯爵は知ってる。

 伯爵ってのは知らなかったけど。

 エリザベート伯爵夫人……

 さて誰でしょうか?

 急に来た、来客です。 ヴラド伯爵は知ってる。

 伯爵ってのは知らなかったけど。

 エリザベート伯爵夫人……

 さて誰でしょうか?

 急に来た、来客です。

 ブラムスのダンジョンに。

 正解は


『2人ともヴァンパイアの始祖です。もう一人ジル男爵と呼ばれる方が居ますが、彼はイコール配下ですので、この世界の3大ヴァンパイアの二人ですね』


 有難う石ころ。

 うん、でもヴラドは知ってるって。

 カーミラのご主人様だね。


 それ以前に、二人とも有名なヴァンパイアだし。

 こういう固有名詞を使い回すから、いまいち乗り切れない。


『イレギュラーな存在なので、ダンジョーン様が連れてきただけですよ。魔力との相性がずば抜けて良い、地球人ですし』


 強引なこじつけと、ご都合主義乙。

 あと地球人言うのやめよう。

 ファンタジーの種類が変わってくる。


『あっちの記憶はいじってますから、地球談義とかは無理ですよ』


 本当に便利な設定だね。

 デウスエキスマキナも、神を登場人物にすれば自由自在ってか?


 本当は、その神様ってGMとかって呼ばれてるんじゃないかな?

 GMコールとかできないかな?

 

「この度は、ヨシキ・クラタ様におかれましてはご健勝のことと存じ上げ喜ばしく思います」


 おっと、石ころとくだらないやり取りをしていたら、なかなかの美丈夫が丁寧に挨拶をしてきた。

 その前に、結構なご挨拶を受けてるけどね。

 うん、かなりというか、ちょっと前に。


「あー、君はあれだね? 部下を俺のダンジョンに送り込んだ奴だね?」

「ひいっ!」


 ひいっ! って。

 酷いな。

 まだ、君には何もしてないのだけど?

 まあ、いいや。

 ちなみに、このダンジョンの主はまだ戻ってきてない。


「フフッ、勇ましい殿方ですわね? 私はエリザベート・バートリと申します。この度のご活躍、大変素敵ですわ。今後は、ヨシキ様に忠誠をお誓い致しますので、是非、ブラムス様の時と同様、私共のダンジョンもよしなにお計らい頂けると有難く存じ上げます」

「耳が早いんだな。まあ、特に何かされた訳でも無いし、これまで同様ってのが分からないから、俺なりに仲良くしようと思う」

「はっ、寛大なお言葉、有難うございますわ」


 なんか、若干小ばかにされてる気分だけど、これがこの人の敬語なんだよね?

 それよりも、胸デカいね。

 あと、肌ぴちぴち。

 えっ? 400歳?

 ババアだった。

 人妻?

 あー、そうだよね。

 伯爵夫人だもんね。

 ノーサンキューだったわ。


 俺の言葉を受けて、エリザベートがヴラドに対して勝ち誇った目で見ている。

 この2人、仲が悪いのかな?


 まあ、良いや。

 俺的には人妻より、ヴラド君の部下の方が気になるし。


「そうだ、ヴラド君」

「はいっ!」


 そんな緊張しなくても良いじゃん。

 というか、本当にブラムスって強かったのかな?

 ブラムスを倒したのは伝わってるんだろうけど、ビビり過ぎじゃ無いか?


「君の所にいるカーミラちゃんね」

「あっ、その節は大変御無礼を致しました。あれはカーミラが勝手にやりましたことで、彼女には厳しい罰を与えることを「ちょっと、待って?」」


 いやいやいや。

 カーミラたんが、俺んとこに来たの君のせいだよね?

 何シレっと部下に責任を押し付けようとしてるんだ?

 なんか、俺の中のヴァンパイア始祖株がだだ下がりなんだけど?


「いや、お前のせいだろ?」

「ひいっ! すいません! すいません! すいません!」


 どんだけ謝るんだ、こいつは。

 まあ良いや。

 本題に行こう。


「あー、まあ、その事は良いんだ。良いんだけどさ……彼女独断専行のきらいがあるじゃん?」

「はいっ、私も困っておりまして」

「困ってるんだ? ふーん……」


 勝手な行動する部下って困るよね?

 そういうのって、やっぱりさ上司の資質が問われると思うんだ。

 そういう部下を上手くコントロール出来てこそ、良い上司だと思うんだよね?

 本人に注意することは簡単だけど、それでモチベーション下げられてもね。

 勝手に行動するって事は、自分で考えて行動出来るって事だからね?

 ただ、判断基準が未成熟だから……会社の方針と違う方向に勝手に動くから怒られる訳で。

 これが、会社と同じベクトルに向いた行動だったら、褒められてドンドン取り立てられてくべき人材になるわけさ。

 だから、そういった人を頭ごなしに怒るのは違うと思う。


 というようなことを、懇々と説明した。

 で結論。


「取りあえず、君には手に余るようだから、僕が直接面倒見るよ」

『……』


 秘書が何か言いたそうだ。

 でも、秘書が一人ってのは大変だろ?

 これは、お前の為でもあるんだ。


『いえ、マスターにダンジョンマスターとしての自覚が目覚めれば、これほど楽な仕事は無いのですが?』

「俺って、ほら、褒めて伸びるタイプだから」

『マスターは、死んで伸びるタイプでしょう?』

「ちょっ、誰うま!」

『言葉くらい、そろそろ威厳を持って欲しいものです』


 このくそ石ころめ!

 たまには……まあ、素直に褒めてくれることもあるが。

 なんか、感性がずれてるというか。

 そこ褒める? みたいなことで褒められたり。

 一番俺とベクトルがずれてるのは、この秘書かもしれない。


『マスターはダンジョン運営のベクトルがずれてます』

 

 くそっ……口じゃ勝てない。

 そもそも、世界観が違うから完全にアウェーだし。


「よ……宜しいのですか? でも、聖水漬けとかは、ご容赦願えませんか? 彼女も、根っから悪い奴というわけではないですし」


 こいつ、自分の手が離れた瞬間に部下に対して庇う事の出来る良い人上司アピール始めやがった。

 完全に他人事だから、吐けるセリフじゃねーか。


「俺もそう思う。環境が悪かったんだろうなと……あれっ? て言う事は、君が悪いんじゃ?」

「ひっ! いえいえ、彼女が私の指示を無視して勝手な事をしたの事実ですので」


 よしっ、こいつは捨て駒にしても良い奴認定確定だな。

 

「私も、ヨシキ様とご一緒しなくても宜しいのですか?」

「あー、バートリーさんは今まで通りダンジョン運営頑張って。ただ、何か事を起こす時は教えてね」

「いやですわ。エルとお呼びになって!」


 めっちゃ、色目使われてる。

 確かに、別嬪さんではあるけど。

 人妻にはあまり興味が無いというか……色々と面倒くさいというか。

 なまじ、旦那さんが出て来たところで腕力で解決できちゃう辺りが申し訳ないというか。


「ふふっ、未亡人ですわよ?」

「あー、いや……まあ……ゆっくりと考えとくから。今日はもう良いよ」

「つれない方ですね」


 未亡人ならOKだけど、あんた色々とこじらせてるからね?

 要注意人物だよ。

 セーブポイントが俺に警告するまでもなく、距離を置かせてもらいます。

 

――――――

ヴラドとエリザベート

ヴラド

 

「あれは駄目だ」

「なんていうか、生きてるのに死んでいるというか……聖人に一歩足を踏み込んでましたわね」


 ブラムス様の部下から、この度ブラムス様がヨシキ・クラタ様の配下に降ったので挨拶されたしとの案内が来た。

 で、登城してみたらカーミラがこてんぱんにやられたダンジョンのマスターだった。

 もしかしてカーミラをけしかけたから、アンデッドのトップに仕返しに来たのだろうか?

 直属の上司の私をすっ飛ばして、私達にとって神に近い存在であるブラムス様のところに報復に行くなんて誰が考えるだろうか。

 でも実際に会ってみて、感じた。

 あのお方は、生者でありながら完全に死を超越した雰囲気を纏っていた。

 ブラムス様や、イコール様よりも死の極致に近い存在だというのが分かる。

 それならばわざわざ私みたいなのを叩くより、その上を叩いた方が話が早いと思うのは納得だ。

 右手からも、凄いオーラを感じたし。

 若干、神に近い気だった。


「それにしても、私も色々とやらかしたと思ってましたが……あのお方はそれ以上でしたわね?」

「ああ……首だけ残して、五体バラバラに聖水漬けにするとか……正気の沙汰とは思えない」

「それは? もしかしてあのお方に対して「いや違う! 格が違うという意味だから!」

「ですわね。そこらの少女の生き血風呂なんかよりよっぽど残酷でしたわ。最高位の存在が苦悶に歪む表情を見て、どのような愉悦を感じていたのでしょうか」


 危ない危ない。

 うっかりと、貶めるような発言をしてしまった。

 これを告げ口されたら、簡単に酷い目に合わされそうだ。

 あのお方は、そう言った事に関して何の機微も抱くことなくやってしまう。

 そんな雰囲気を纏っておられた。

 

 例えば全身を拘束した状態で、耳に1滴ずつ不規則な間隔で聖水を垂らすとか……

 ブルッ……

 思わず想像して、寒気がした。


「それにしても、カーミラは上手い事取り込みましたわね?」

「はっ?」

「あれは、カーミラを気に入った様子でしたから。羨ましいですわ」

「そうなのか?」


 エリザベートの言葉に疑問は残るが、それならあんまりな事はされないだろう。

 もしかしたら、それがきっかけで私の評価も上がったり。

 カーミラが私の良い部分を色々と報告してくれるのを、願うしかない。


「精々、カーミラさんに立場を抜かれないように頑張らないと。私のチャームが完璧にレジストされてましたし」

「お……おお」


 そうだった……

 もし、カーミラがあの方と結ばれたら私は彼女の下に付くことになるわけだ。

 それは困る。

 でも、カーミラに嫌われてるって事はないと思うし。

 いや、無いと信じたい。


「というか、エリザベートはチャームなんか掛けてたのか?」

「まあ、出来れば私とも仲良くしてもらいたいじゃないですか」


 くそっ。

 この女あざといぞ!

 なんで、私は男なんだ。

 女なら、同じように……えっ?レジストされたの?

 エリザベートのチャームって、かなりスキルレベル高かったはずなのに。

 ブラムス様ですら、胸をチラ見したりするレベルなのに。

 いや、あのお方はチラ見どころか、ガン見してた気が。


「冷静にエロい目で見られるのも、感じちゃうわ」

「あー、そうか……冷静にエロい目ってのもおかしな話だな」

「あそこまで、正直な方ならきっと夜は獣に……ああ、火照ってきちゃった」

「まあ……ほどほどにな」


 どうしよう。

 一旦ダンジョンに返って、カーミラの世話係って事で適当に女を見繕った方が良いだろうか?

 いや、全員妾とかになったら私の立場が。

 ああ……困った。




 ブラムスのダンジョンに。

 正解は


『2人ともヴァンパイアの始祖です。もう一人ジル男爵と呼ばれる方が居ますが、彼はイコール配下ですので、この世界の3大ヴァンパイアの二人ですね』


 有難う石ころ。

 うん、でもヴラドは知ってるって。

 カーミラのご主人様だね。

 

「この度は、ヨシキ・クラタ様におかれましてはご健勝のことと存じ上げ喜ばしく思います」

「あー、君はあれだね?部下を俺のダンジョンに送り込んだ奴だね?」

「ひいっ!」


 ひいっ!って。

 酷いな。

 まだ、君には何もしてないのだけど?

 まあ、いいや。

 ちなみに、このダンジョンの主はまだ戻ってきてない。


「フフッ、勇ましい殿方ですわね? 私はエリザベート・バートリと申します。この度のご活躍、大変素敵ですわ。今後は、ヨシキ様に忠誠をお誓い致しますので、是非、ブラムス様の時と同様、私共のダンジョンもよしなにお計らい頂けると有難く存じ上げます」

「耳が早いんだな。まあ、特に何かされた訳でも無いし、これまで同様ってのが分からないから俺なりに仲良くしようと思う」

「はっ、寛大なお言葉、有難うございますわ」


 なんか、若干小ばかにされてる気分だけど、これがこの人の敬語なんだよね?

 胸デカいね。

 あと、肌ぴちぴち。

 えっ?400歳?

 ババアだった。

 人妻?

 あー、そうだよね。

 伯爵夫人だもんね。

 ノーサンキューだったわ。


 俺の言葉を受けて、エリザベートがヴラドを勝ち誇った目で見ている。

 まあ、良いや。

 俺的には人妻より、ヴラド君の部下の方が気になるし。


「そうだ、ヴラド君」

「はいっ!」


 そんな緊張しなくても良いじゃん。

 というか、本当にブラムスって強かったのかな?

 ブラムスを倒したのは伝わってるんだろうけど、ビビり過ぎじゃ無いか?


「君の所にいるカーミラちゃんね」

「あっ、その節は大変御無礼を致しました。あれはカーミラが勝手にやりましたことで、彼女には厳しい罰を与えることを「ちょっと、待って?」


 いやいやいや。

 カーミラたんが、俺んとこに来たの君のせいだよね?

 何シレっと部下に責任を押し付けようとしてるんだ?

 なんか、俺の中のヴァンパイア始祖株がだだ下がりなんだけど?


「いや、お前のせいだろ?」

「ひいっ! すいません! すいません! すいません!」


 どんだけ謝るんだ、こいつは。

 まあ良いや。

 本題に行こう。


「あー、まあ、その事は良いんだ。良いんだけどさ……彼女独断専行のきらいがあるじゃん?」

「はいっ、私も困っておりまして」

「困ってるんだ?ふーん……」


 勝手な行動する部下って困るよね?

 そういうのって、やっぱりさ上司の資質が問われると思うんだ。

 そういう部下を上手くコントロール出来てこそ、良い上司だと思うんだよね?

 本人に注意することは簡単だけど、それでモチベーション下げられてもね。

 勝手に行動するって事は、自分で考えて行動出来るって事だからね?

 ただ、判断基準が未成熟だから……会社の方針と違う方向に勝手に動くから怒られる訳で。

 これが、会社と同じベクトルに向いた行動だったら、褒められてドンドン取り立てられてくべき人材になるわけさ。

 だから、そういった人を頭ごなしに怒るのは違うと思う。


 というようなことを、懇々と説明した。

 で結論。


「取りあえず、君には手に余るようだから、僕が直接面倒見るよ」

『……』


 秘書が何か言いたそうだ。

 でも、秘書が一人ってのは大変だろ?

 これは、お前の為でもあるんだ。


『いえ、マスターがダンジョンマスターとしての自覚に目覚めて頂ければ、これほど楽な仕事は無いのですが?』

「俺って、ほら、褒めて伸びるタイプだから」

『マスターは、死んで伸びるタイプでしょう?』

「ちょっ、誰うま!」

『言葉くらい、そろそろ威厳を持って欲しいものです』


 このくそ石ころめ!

 たまには……まあ、素直に褒めてくれることもあるが。

 なんか、感性がずれてるというか。

 そこ褒める?みたいなことで褒められたり。

 一番俺とベクトルがずれてるのは、この秘書かもしれない。


『マスターはダンジョン運営のベクトルがずれてます』

 

 くそっ……口じゃ勝てない。

 そもそも、世界観が違うから完全にアウェーだし。


「よ……宜しいのですか?でも、聖水漬けとかは、ご容赦願えませんか?彼女も、根っから悪い奴というわけではないですし」


 こいつ、自分の手が離れた瞬間に部下に対して庇う事の出来る良い人上司アピール始めやがった。

 完全に他人事だから、吐けるセリフじゃねーか。


「俺もそう思う。環境が悪かったんだろうなと……あれっ?て言う事は、君が悪いんじゃ?」

「ひっ! いえいえ、彼女が私の指示を無視して勝手な事をしたの事実ですので」


 よしっ、こいつは捨て駒にしても良い奴認定確定だな。

 

「私も、ヨシキ様とご一緒しなくても宜しいのですか?」

「あー、バートリーさんは今まで通りダンジョン運営頑張って。ただ、何か事を起こす時は教えてね」

「いやですわ。エルとお呼びになって!」


 めっちゃ、色目使われてる。

 確かに、別嬪さんではあるけど。

 人妻にはあまり興味が無いというか……色々と面倒くさいというか。

 なまじ、旦那さんが出て来たところで腕力で解決できちゃう辺りが申し訳ないというか。


「ふふっ、未亡人ですわよ?」

「あー、いや、まあ、ゆっくりと考えとくから、今日はもう良いよ」

「つれない方ですね」


 未亡人ならOKだけど、あんた色々とこじらせてるからね?

 要注意人物だよ。

 セーブポイントが俺に警告するまでもなく、距離を置かせてもらいます。

 

――――――

ヴラドとエリザベート

ヴラド

 

「あれは駄目だ」

「なんていうか、生きてるのに死んでいるというか……聖人に一歩足を踏み込んでましたわね」


 ブラムス様の部下から、この度ブラムス様がヨシキ・クラタ様の配下に降ったので挨拶されたしとの案内が来た。

 で、登城してみたらカーミラがこてんぱんにやられたダンジョンのマスターだった。

 もしかしてカーミラをけしかけたから、アンデッドのトップに仕返しに来たのだろうか?

 直属の上司の私をすっ飛ばして、私達にとって神に近い存在であるブラムス様のところに報復に行くなんて誰が考えるだろうか。

 でも実際に会ってみて、感じた。

 あのお方は、生者でありながら完全に死を超越した雰囲気を纏っていた。

 ブラムス様や、イコール様よりも死の極致に近い存在だというのが分かる。

 それならばわざわざ私みたいなのを叩くより、その上を叩いた方が話が早いと思うのは納得だ。

 右手からも、凄いオーラを感じたし。

 若干、神に近い気だった。


「それにしても、私も色々とやらかしたと思ってましたが……あのお方はそれ以上でしたわね?」

「ああ……首だけ残して、五体バラバラに聖水漬けにするとか……正気の沙汰とは思えない」

「それは? もしかしてあのお方に対して「いや違う! 格が違うという意味だから!」

「ですわね。そこらの少女の生き血風呂なんかよりよっぽど残酷でしたわ。最高位の存在が苦悶に歪む表情を見て、どのような愉悦を感じていたのでしょうか」


 危ない危ない。

 うっかりと、貶めるような発言をしてしまった。

 これを告げ口されたら、簡単に酷い目に合わされそうだ。

 あのお方は、そう言った事に関して何の機微も抱くことなくやってしまう。

 そんな雰囲気を纏っておられた。

 

 例えば全身を拘束した状態で、耳に1滴ずつ不規則な間隔で聖水を垂らすとか……

 ブルッ……

 思わず想像して、寒気がした。


「それにしても、カーミラは上手い事取り込みましたわね?」

「はっ?」

「あれは、カーミラを気に入った様子でしたから。羨ましいですわ」

「そうなのか?」


 エリザベートの言葉に疑問は残るが、それならあんまりな事はされないだろう。

 もしかしたら、それがきっかけで私の評価も上がったり。

 カーミラが私の良い部分を色々と報告してくれるのを、願うしかない。


「精々、カーミラさんに立場を抜かれないように頑張らないと。私のチャームが完璧にレジストされてましたし」

「お……おお」


 そうだった……

 もし、カーミラがあの方と結ばれたら私は彼女の下に付くことになるわけだ。

 それは困る。

 でも、カーミラに嫌われてるって事はないと思うし。

 いや、無いと信じたい。


「というか、エリザベートはチャームなんか掛けてたのか?」

「まあ、出来れば私とも仲良くしてもらいたいじゃないですか」


 くそっ。

 この女あざといぞ!

 なんで、私は男なんだ。

 女なら、同じように……えっ?レジストされたの?

 エリザベートのチャームって、かなりスキルレベル高かったはずなのに。

 ブラムス様ですら、胸をチラ見したりするレベルなのに。

 いや、あのお方はチラ見どころか、ガン見してた気が。


「冷静にエロい目で見られるのも、感じちゃうわ」

「あー、そうか……冷静にエロい目ってのもおかしな話だな」

「あそこまで、正直な方ならきっと夜は獣に……ああ、火照ってきちゃった」

「まあ……ほどほどにな」


 どうしよう。

 一旦ダンジョンに返って、カーミラの世話係って事で適当に女を見繕った方が良いだろうか?

 いや、全員妾とかになったら私の立場が。

 ああ……困った。




次回は明日、6時投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ