第21話:王国ダンジョン研究所
目を覚ましたミランと、ジェウォンと話をして色々な設定が分かった。
まず、このダンジョンがあるのはファースト王国のファースト地方の草原の中らしい。
あれか?最初の場所だからファーストなのか?
彼らはこのダンジョンからすぐ近くにある、メラミの町から来たとの事だ。
ジェウォン達のパーティは火の誓いというC級パーティらしく、それなりの実績を上げている中堅組らしい。
ミランはこの辺りの魔素が薄くなっているという事から、新たなダンジョンが出来たのではという予測を立てた王立ダンジョン対策部周辺地区魔素観測所のスタッフらしい。
なんでもダンジョンというのは周辺の魔素を取り込んでしまうらしく、そのため魔素が少なくなった場所には新たなダンジョンが出来ている可能性が高いとの事だった。
魔素が薄くなることで魔獣の活性化が抑えられるというメリットもあるが、それ以上にダンジョン産の魔物が外に出る事の方が危険らしく新たなダンジョンが出来た場合は大きくなる前に早急に対策を取るらしい。
厳密には入り口を魔素の吸収を押さえる素材で出来た扉で塞ぎダンジョンの拡張を防ぐとともに、ダンジョンコアを破壊しうるであろう戦力を持ってダンジョンの破壊を行っているらしい。
『私は特殊素材で出来てますから、この世界に現存する道具では壊れませんからご安心を』
チッ!
もしかしたら、こいつらにコアを壊して貰えるかと思ったのに。
安心というか、残念でならないよ。
「貴方、マジックコートを使って無いみたいだけど魔力は大丈夫なの?」
「ん?俺は元々魔力なんて持って無かったから問題無いし」
「でも……凄い魔力を内包しているように見えるのだけど」
ミランが新しい設定を教えてくれた。
なんでもダンジョンに挑む人たちはマジックコートと呼ばれるものを身に纏っているらしい。
と言っても魔道具の一種で、ダンジョンに魔力を吸収されなくなるといった効果がある装飾品らしい。
指輪だったり、ネックレスだったりと形は様々だ。
値段もそんなに高いものではなく、冒険者ギルドで普通に買えるらしい。
うん、ギルドあるんだ。
という事はクエストをこなして、ギルドランクを上げたりってのも可能って事か。
商業ギルドや、鍛冶ギルドもあるらしいからやっぱり自由度はかなり高そうだ。
いや、もしかしたら冒険者ギルドにしか登録できないってオチもあるかもしれないけどね。
「そんな事言ってもな……魔力と無縁の国から来たし」
「魔力と無縁……でも、ダンジョン内で魔力を普通に纏っている……もしかして……」
何やらミランが気になる事を言い出した。
おお、ようやく話が進みそうだ。
もしかしての後はなんだ?
勇者か?
それとももしかして、ダンジョンマスターってバレたのか?
あとはありがちな異世界人って結論か?
「トラベラー?」
「はっ?」
「いや、貴方達のようにある日突然この世界に現れて、途轍もない力や才能を持った人たちの事よ。彼らの国の言葉で旅人って呼ぶらしいけど」
ああ……3番か。
異世界人……
なるほど、ある程度最初で強化されるような仕組みはこの為か。
たぶんこのゲームは、最近はやりの転生ものや転移ものを題材にしたゲームなのだろう。
だから、なんの説明もなくいきなり実験的にモニターをやらされたのか。
うん、日本で最も重視されるべき人権はどこ行った?
完全に誘拐、監禁に加えて傷害もあり得るぞ。
このゲーム作ったやつ大丈夫か?
それとも、俺の親にこっそり許可取ってるとか?金と引き換えに。
だけど、成人した俺にいくら親の許可取ったところでそんな勝手は許されるはずは無いしな。
まさか……本物?
ハハハ、いや流石だよ。
どこの制作会社かしらないけど、そこまで思わせるクオリティは認めざるを得ないとしか言えないな。
『いい加減、現実を見てください』
「黙れ非現実!」
「はっ?」
「いや、何でもない。ちょっと通信が入っただけだから気にしないで」
部下が何か言ってるが、こいつはあくまでサポーターだからな。
うん、気にしない気にしない。
「旅人って事は……プレイヤーが他にもいるって事か」
「プレイヤー?それは聞いた事無いわね」
「そりゃそうだろう。プレイヤーって言葉はたぶん禁句だからな」
って事は本格的にこいつらに付き合わないといけないって事か?
でも、他にも強制的に拉致られた奴等が居るって事が分かっただけでも良かった。
NPCはもしかしたら運営の人かもってクオリティだから、モニターが滅茶苦茶少ないかと思ったわ。
いや、それすらも会話でしか判断できないから騙されてる可能性は高いか。
「取りあえず多分俺はそのトラベラーって奴だと思うわ」
「じゃあ、身分証とかも無い訳ですね。一応私達の機関ではトラベラーの保護も活動の1つですから、是非付いて来てもらいたいのですが」
「何故急に敬語?」
「いや、トラベラーの方達は一応王陛下が、国の客人として対応しろとおっしゃってますので。まあ、貴方達の非常識な力を鑑みれば当然の対応ですが」
おお、利用する気満々じゃねーか。
そもそも、NPCがプレイヤーに勝てる訳無いしな。
ゲームでストーリ上だと敵兵に囲まれて捕まったり銃で撃たれて仲間が死んだりするけど、フィールドバトルだと同じタイプの兵なのに鉄砲で打たれてもこっちは大したダメージ受けない上に、6人纏めて魔法で一掃とかざらだからね。
あれは理不尽だと思う。
ボスキャラ扱いの将軍クラスは別として。
その前の戦闘だと撃たれてもダメージちょっとしか喰らわないのに、ストーリー上離脱した仲間がムービーでは撃たれたら死ぬとか本当にイラつく。
「つってもさ……俺が付いてかないとお前ら出られないだろ?」
「……」
俺の言葉にミランが全力で顔を背ける。
そして、そのミランの視線の先に居たジェウォンが首を横に振る。
うん、あんたの護衛じゃここでは自分の身も守れないからな?
「どっちかっていうと、連れて帰ってくださいじゃない?」
「……はい」
俺の言葉にミランが力なく首を縦に振った。
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レベル:721
名前:ヨシキ・クラタ
スキル
初級スキル
罠探知レベル:20
格闘レベル:20
中級スキル
武術レベル:20
槍術レベル:7
剣盾術レベル:4
棍術レベル:2
罠回避レベル:20
従魔使役レベル:10
上級スキル
状態異常無効レベル:7(飢餓、毒、窒息、恐怖、威圧、溶解、石化)
痛覚調整
物理攻撃無効レベル:12
4属性吸収レベル:5(炎熱、雷電、風刃、冷気)
クラタ近接流格闘術:開祖
クラタ一刀流:開祖
クラタ二刀流:開祖
罠無効レベル:20
特殊スキル
罠操作
従魔召喚
収納
帰還
ステータス
STR:S
VIT:A
AGI:SS+
DEX:B
INT:C-
MND:SS
LUK:F
総合評価:Sランク生命体
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ブクマ、評価、感想頂けたら幸せです。
次話は0時に投稿予定です。




