最終話:チートリアルと思ったら、チュートリアルだった件
その後、チジョーンは自分の住んでいたところに戻って行った。
いや、宮殿もう無いんだけど?
「大丈夫ですよ。地上の事なら、あの方に適う神は居ませんから」
「いや、意味が分からない。何故、大丈夫になる?」
「チジョーン様の魔法で、簡単に直りますし」
なるほど。
チジョーンは宮殿や、自然をすぐに創り出せるらしい。
凄い能力じゃ無いか。
「マスターも使えますよ?」
「えっ?」
「いや、ヴァルハランドでチジョーン様やガイア様含め、多くの方の神気を魔力に還元して吸収したじゃないですか」
「そういえば……それと何か関係が?」
「そこからはわしが「クロノさん、教えて」
ダンジョーンがどや顔で説明を始めそうだったので、無視してクロノに質問する。
クロノ曰く、神気は元を辿れば魔力らしい。
光属性の魔力を昇華させて、神聖属性の魔力に変換し、それをさらに濾過して特化させたものが神気だとか。
うん、良く分からん。
でもって、あの場に居た神々の神気を取り込んだことで、それぞれの特性まで手に入れたらしい。
ここに来て、最強になった気がする。
今なら、ダンジョーンも……
「なんか、俺の扱い酷く無いか?」
「いや、そもそも俺のダンジョンで勝手に寛ぐな! 話が終わったんだから、とっとと帰れ!
ダンジョーンを追い出そうとするが、勝手に部屋が増えてた。
「なんで、部屋作った?」
「いや、俺の家もグチャグチャだからさ……ここにしばらく住もうかと」
「出てけ!」
取り敢えずクロノの力も使えるようになったみたいなので、ダンジョンの外に転移で送り出す。
数秒後には、普通に目の前でお茶啜ってたけど。
「凄いな? 受動転移無効を発動させたのに、効かなかったわ」
「たぶん、味方にかけるタイプの転移なので、発動しないことが状態異常と判断されるんじゃないでしょうか?」
「何それ? そんなのまで状態異常にしちゃったら、クラタの攻撃全部当たるってことじゃん。っていうか、結果の強制とか無敵すぎね?」
「まあ、当人の努力の結果です」
どうやら、俺の転移魔法は誰にも防げそうにないらしい。
おお、ようやくチートな感じになってきた。
「まあ、これで慣れたと思うから、その身体はここに置いておいて、クラタには次の世界に旅立ってもらうかな?」
「はっ?」
また、意味の分からないことを言い出した。
「いや、もう神に進化してるからね? そんな身体邪魔になるだけだし、魔力を吸収出来るように、お主からみて右の弁を半分くらい開いてくれ」
「ええ? この身体に愛着があるんだけど?」
「取りあえず、開いてみ」
「はあ……」
開かざるをえなかったので、弁を開く。
おお、結構魔力が集まって来るな。
「ひょいっ!」
「えっ?」
そして、次の瞬間魂だけふっとばされた……はずなのに、実体がある。
「神の魂じゃ。普通に自分の身体くらい作り出せるからな?」
「ああ、もう作り出した」
「呆れた適応力だ。よほど知能も高いと思われる」
「いや、知能は低いですよ?」
「こらっ、クロノ!」
クロノが勝手なこと言ってる。
いや、結構高い方だと思うけど?
「じゃあ、この世界で得たノウハウを使って、他の世界のダンジョンを纏めにいってもらおうかな?」
「いや、働くって言って無いんだけど?」
「良いよ、給料もはずむし、面白おかしく生きていきたいでしょ?」
「いや、ここに女が沢山いるんだけど?」
「ハッハッハ、知ってる!」
どうやら、ダンジョーンは俺がモテるって事を知ってたらしい。
聞いたかクロノ?
俺の魅力が分かるやつがここにも居たぞ?
「ヘルと、メイベルとかって人間以外には相手にされてないんだろ?」
「……」
やっぱ、こいつ殺そう。
「あっ、そこでは俺の代わりに働いてもらうから、ダンジョン生成能力と、体組織改造のスキルを……もう持ってるし。そりゃそうか、俺の魔力全部吸収しちゃったんだから、当たり前だ……」
どうやら、魔力を溜めるところを操作できるようになったことで、ダンジョーンのスキルまで使えるようになったらしい。
「まあ、ここでやってきたことをチュートリアルだと思って、ダンマスとダンジョン神の仕事両方をやってきてね? クラタの身体があったら、ここはそのうち魔力が枯渇するだろうし」
「そうなる前に、神々が手を出して「来られないよ? だって、しばらく俺がここに居るし」
「えっ? いや、逆でよくね?」
「我はもういっぱい働いた! これからはその方が働いてくれると嬉しい」
「急に偉そうに情けない事を言うな!」
中途半端に偉そうな言葉遣いで、おねだりされても……
おっさんだし。
と思ったら、子供になった。
黒髪の可愛らしい、ちょっと健康的に日焼けした目のクリっとした男の子。
を思いっきりぶん殴って、引き倒して馬乗りになってその顔をボコボコにする。
元の状態を知ってるから、躊躇なんかしない。
おっさんは、ガキになろうが美女になろうがおっさんだ!
いや、こいつはくそジジイだったわ。
「お前は、鬼か!」
「ダンジョーン様に決まった身体はありませんから……まあ、今後のマスターも好きな身体を作り出せますよ?」
「そうか……じゃあ、超絶イケメンに……」
「次に行って貰うところは、地球でも有名なタコみたいな知的生命体の居る場所ね」
……
「じゃあ、行って来て頂戴!」
強制的に転移で、他の世界に飛ばされたのが分かる。
周りには、タコのような生き物がたくさん。
「ナンダコイツハ!」
「ワレワレハ、ウチュウジンデアル」
宇宙人って……
原住民だろう!
「卯接吻人って意味ですよ、マスター? 卵型の頭に、キス顔の生き物って意味です」
「酷くね?」
本当に、ここで一からやり直し?
「大丈夫ですよ、あっちの世界の従魔は召喚出来ますし。転移でいつでも行き来できますから」
「良かった……じゃあ、戻ってあっちでゆっくり「それは無理です! 向こうにはダンジョーン様がいらっしゃるので、あまりサボってると強制的にこっちに飛ばされますから」
まあ、それでも無理矢理転移で……地球にも行けるんじゃね?
取りあえず、長期休暇を申請して、一旦地球に帰って少しのんびりしよう……
「たまには、息抜きも必要ですしね」
「うんうん、じゃあ、ちょっと帰って来る「えっ?」
「いや、一人で少しあっちでゆっくり「はっ?」
……
……
……
「一緒に行くか?」
「はいっ!」
おお!
デレた!
「そんなに、離れるのが寂しかったのか?」
「いえ、あちらの神様にもご挨拶して、ダンジョーン様のやったことを謝っておかないと、地球の管理下の人間を攫ったとなると、それこそ有象無象の神々に物量で滅ぼされかねませんから」
「本音は?」
「私と、マスターの仲の良さをアピールして、溜飲を下げようかと……」
「で?」
「マスターと人型で、2人でゆっくりするのも悪く無いかなと……ほんのちょっとだけ思いました」
「よしっ、じゃあ2人で一ヶ月くらい日本を楽しむか!」
「はいっ!」
FIN
これにて、一旦完結します。
まだまだ、後日談や閑話が山ほどあるので、長い休暇を頂いてから書き始めようかと。
具体的には、ほぼ最初の作品と呼んでいい「魔王に転生したけど人間に嫌われ過ぎて辛い」を完結
させた後に書き始めようかと。
同時進行で、「邪神の左手 善神の右手」週2投稿ペースを予定して進行していく予定です。
ここまで、お付き合い頂き有難うございましたm(__)m
ちょこちょこ、手直しも加えていきますが、無事完結ということで。
多くの感想、評価有難うございました♪




